小児アレルギー科医の視線

医療・医学関連本の感想やネット情報を書き留めました(本棚2)。

NHK健康ライフ「子どもの肌を守る」(山本一哉先生)

2017年11月14日 08時00分32秒 | アトピー性皮膚炎

 健康ライフではお馴染みになっている山本一哉先生のお話。
 彼は小児皮膚科を立ち上げた功労者かつ重鎮です。
 相変わらずお元気そうで何より。

 気になったところをメモしておきます。

□ 11月6日(月)「アトピー性皮膚炎の要因」
・遺伝因子と環境因子がある。
・統計学的には生まれた季節と母親の年令との関連が指摘されている。
・アトピー性皮膚炎は「秋生まれ」に多く、10〜30%程度リスクが増える。理由は「乾燥」。角層が乾燥すると外から刺激物が入ってきやすい。秋に子どもを産むのは控えましょう(?)。
・出産時の母親の年令が高いほど子どもがアトピー性皮膚炎になりやすい。北欧発のデータであるが、日本にも当てはまる。

□ 11月7日(火)「スキンケアの必要性」
・子どものスキンケアを担当するのは本人ではなく周りの大人。
・女性が化粧する前には洗顔するように、スキンケアする前にキレイにすることが必要。
・赤ちゃんの肌は胎児期は乾燥や紫外線から守られている。出生後に乾燥と紫外線にさらされるようになる。
・つまり、生まれた直後(24時間以内)にスキンケアを始めるのが正解。
・遅れて始めても挽回は可能、保湿をし続けてください。

□ 11月8日(水)「外用薬の塗り方の考え方」
・内服薬は量が決まっているが、軟膏は塗る量が患者側に任されていることは問題である。
・塗る量は回数で調節する。
・FTU(フィンガー・チップ・ユニット)やローションであれば10円玉大などが目安になるがアバウトである。
・「塗り広げる」のと「すり込む」のは違う。

□ 11月9日(木)「生活で傷つく肌」
・本当に「肌が弱い」人は少ない(先天的な皮膚疾患など)。
・生活習慣にも左右される。
・子どもの手首の荒れ、湿疹がなかなかよくならないのは、手洗い後に服の濡れた袖先が当たってこすれているためのことが多い。
・紙おむつはウエストギャザー、レッグギャザーの部分が荒れやすい。
・肌に直接触れるものには気を遣いましょう。
・手触りのよい肌着でも、洗濯を繰り返せば、1年後には風合いが変わりゴワゴワになってしまうことが多い。すると肌に刺激(ヤスリ掛け)になる。
・耳切れは着替えの仕方が影響している。丸首の肌着・服を無理矢理脱がしたり着せたりしない。

□ 11月10日(金)「スキンケア製品の考え方」
・スキンケア製品は皮膚の中にしみ込むのではなく、表面を覆う、洗うと落ちる、補充できるなどが特徴として挙げられる。
・ジェルタイプはサッパリ感があり夏に向く製品、広げるには乳液タイプ、たびたび補充するにはそこにとどまるクリームタイプが向いている。
・スキンケア製品は薬ではないので、湿疹はよくならない。皮膚の健康状態、バリア機能を保つものである。
・「尿素」はバリア機能を低下させるのでスキンケア製品としてはよくないかもしれない。
・健康な皮膚では、洗う回数が多いところは塗る回数も多くなるはず。
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