もちろん、不要であれば倫理的に投与はしません。
心筋梗塞で造影が必要なとき、
あらかじめ造影剤アレルギーが判明している患者さんには、
可能であれば事前にステロイド薬他を投与する方法があるそうです。
今回話題にするのは、
①薬剤の脱感作:アレルギーを起こすとわかっている薬剤を、微量から開始して徐々に増量し、最終的にアレルギー症状を起こすことなく通常量投与に持ち込む手法。
②薬剤のチャレンジテスト:アレルギーを起こすかもしれない薬剤を、微量から開始して増量し(微量ではなく、症状を起こさせる量を試してもよい)、最終的にアレルギー症状を起こさせることにより原因と判明させる手法。
という二つの手技の違いです。
「微量から開始して徐々に増量」
という文章は共通していますが、最終目的は、
①アレルギー症状を起こさせない
②アレルギ症状を起こさせる
と真逆なのです。
いったい、何が違うのでしょうか?
帝京大学の山口正雄先生の説明では、
15分ごとに投与する薬剤量の違いとのこと;
①2倍に増量
②10倍に増量
この違いにより、以下の反応が誘導されるそうです;
①マスト細胞、好塩基球の無反応
②マスト細胞、好塩基球の活性化
慎重に2倍量ずつ増量すると薬に反応しなくなり、
大胆に10倍量ずつ増量すると症状を惹起する・・・
不思議です。
以上の話題は薬物アレルギーのお話ですが、
食物アレルギーへの対応にも応用できそうです。
乳児期に食物アレルギーと診断されて除去していた食物を、
幼児期に再開するとき、どのくらいのペースで増量していけばいいのか、
今ひとつ明瞭な基準がないのが現状です。
私は以下のように指導してきました;
・舐める程度で開始
・同じ量を3日間隔で2回試す
・症状が出ないなら次は1.5倍位に増量
・それを粘り強く繰り返す
★ 症状が出たらそこでストップし、主治医に相談
1.5倍程度、というのは経験から出てきた量ですが、
あながち間違いではないようですね。
<参考>
帝京大学ちば総合医療センター第三内科(呼吸器):山口正雄
アレルギー 70(2), 75-79, 2021