旧作品移動の第2弾、順番どおり、かっこうの麗夢同人小説第2作となる、「悪夢の純情」をこちらに移しました。
刊行は11年前の1997年の夏コミです。まだまだ荒削りなところが目立ちますが、実は現在11本書いている麗夢の長編小説の中で、これが一番のお気に入りだったりします。
執筆のきっかけは、確か1995年のこと。大阪の環状線に乗っていたとき、ふと、このぐるりと街を一周する沿線を利用して精神エネルギーを加速する環状粒子加速器(サイクロトロン)を設置したらどうだろう? と思いついたのが最初でした。敵役の主従2人は、そのときちょうど通過しつつあった森ノ宮駅と桜ノ宮駅からとったものです。その後、舞台はやっぱり東京だろう、ということで山手線沿いに展開することを構想して東京の地図を購入しました。残念ながら山手線が真円には程遠いことを知って最初の構想を葬りましたが、改めて東京地下にサイクロトロンを設置することにして、コンパスで何度も地図の上に円を描き、渋谷と将門塚がちょうど線上になるような円を求めたのです。
平将門にご登場願ったのは、当時の天狗な私の発想で、要するに、原作の死夢羅では最強の敵、というにはあまりに弱い。その弱さを際立たせ、上には上がいる、という形を作りたかったのがきっかけでした。西洋的な悪魔よりもよほど恐ろしく、強力な魔が我が国はある、ということを、示してみたかったのです。
もう一つ、この小説で目標にしたのは、いわゆる精神エネルギーを物理的に解釈できる形に見せること、でした。当時、「飛べ! イサミ」を楽しんでいたのですが、そこで扱われる精神エネルギーを増幅する宝石「ルミノタイト」に、はなはだ不満を持っておりました。そもそも精神エネルギー自体どういうものか判りませんし、どういう原理でそれを増幅するのかもわかりません。娯楽アニメなんですからそんなことに拘泥する必要はなかったといえば言えるのですが、当時の私はたとえそれでもそれなりの背景なり理屈なりが必要だ、と思っていたのです。そこで思いついたのが精神感応超伝導体、という設定でした。わざわざ名前を同じにする、といういかにも稚気あふれることをやってしまいましたが、当時はせめてこれくらいの設定は考えて欲しい、などと思っていたのです。
当時の超伝導現象を説明する理論として、2つの電子がペアを組んで原子核をすり抜けていくことで電気抵抗が無くなる、というものがありました。精神エネルギーだって、物理的に世界へ影響を及ぼしうる力であるからにはそれを構成する素粒子があるはずで、その素粒子、小説では霊子としましたが、その霊子が電子とよく似た性質を持ち、ペアを組むとしたら、それで超伝導現象が起こせるじゃないか! と考えたわけです。超伝導状態の物質の中では電気抵抗が無いのでエネルギーが減衰しません。精神エネルギーもまたしかりで、これにより永遠の精神、不死の生命が実現する、としたわけです。
当時はこの小説のためだけに東京まで取材旅行に行って、将門塚、皇居、警視庁、などなどを見学してその様子を頭に収めたり、設定を補強するための本を読み漁ったり、今にして思えばとにかくがむしゃらに暴走しておりました。その過程で発見した将門公の命日は、ラストをどう締めるか思いつかずに座礁しかけていたこの小説を、一気に結末まで仕上げさせてくれた一大発見でした。
鬼童とルミ子の出会いのシーンのように、経験不足から来るぎこちない流れが目立ったりもして、他にも今書いたらぜんぜん違った描き方ができるだろうな、と思うシーンもちらほらありますけど、この1冊を最後まで仕上げることができたおかげで、その後毎年1冊づつ長編小説を書けるようになり、今の自分があるわけですから、やはり私の同人生活のうえではもっとも重要な金字塔的1冊といえるのです。
刊行は11年前の1997年の夏コミです。まだまだ荒削りなところが目立ちますが、実は現在11本書いている麗夢の長編小説の中で、これが一番のお気に入りだったりします。
執筆のきっかけは、確か1995年のこと。大阪の環状線に乗っていたとき、ふと、このぐるりと街を一周する沿線を利用して精神エネルギーを加速する環状粒子加速器(サイクロトロン)を設置したらどうだろう? と思いついたのが最初でした。敵役の主従2人は、そのときちょうど通過しつつあった森ノ宮駅と桜ノ宮駅からとったものです。その後、舞台はやっぱり東京だろう、ということで山手線沿いに展開することを構想して東京の地図を購入しました。残念ながら山手線が真円には程遠いことを知って最初の構想を葬りましたが、改めて東京地下にサイクロトロンを設置することにして、コンパスで何度も地図の上に円を描き、渋谷と将門塚がちょうど線上になるような円を求めたのです。
平将門にご登場願ったのは、当時の天狗な私の発想で、要するに、原作の死夢羅では最強の敵、というにはあまりに弱い。その弱さを際立たせ、上には上がいる、という形を作りたかったのがきっかけでした。西洋的な悪魔よりもよほど恐ろしく、強力な魔が我が国はある、ということを、示してみたかったのです。
もう一つ、この小説で目標にしたのは、いわゆる精神エネルギーを物理的に解釈できる形に見せること、でした。当時、「飛べ! イサミ」を楽しんでいたのですが、そこで扱われる精神エネルギーを増幅する宝石「ルミノタイト」に、はなはだ不満を持っておりました。そもそも精神エネルギー自体どういうものか判りませんし、どういう原理でそれを増幅するのかもわかりません。娯楽アニメなんですからそんなことに拘泥する必要はなかったといえば言えるのですが、当時の私はたとえそれでもそれなりの背景なり理屈なりが必要だ、と思っていたのです。そこで思いついたのが精神感応超伝導体、という設定でした。わざわざ名前を同じにする、といういかにも稚気あふれることをやってしまいましたが、当時はせめてこれくらいの設定は考えて欲しい、などと思っていたのです。
当時の超伝導現象を説明する理論として、2つの電子がペアを組んで原子核をすり抜けていくことで電気抵抗が無くなる、というものがありました。精神エネルギーだって、物理的に世界へ影響を及ぼしうる力であるからにはそれを構成する素粒子があるはずで、その素粒子、小説では霊子としましたが、その霊子が電子とよく似た性質を持ち、ペアを組むとしたら、それで超伝導現象が起こせるじゃないか! と考えたわけです。超伝導状態の物質の中では電気抵抗が無いのでエネルギーが減衰しません。精神エネルギーもまたしかりで、これにより永遠の精神、不死の生命が実現する、としたわけです。
当時はこの小説のためだけに東京まで取材旅行に行って、将門塚、皇居、警視庁、などなどを見学してその様子を頭に収めたり、設定を補強するための本を読み漁ったり、今にして思えばとにかくがむしゃらに暴走しておりました。その過程で発見した将門公の命日は、ラストをどう締めるか思いつかずに座礁しかけていたこの小説を、一気に結末まで仕上げさせてくれた一大発見でした。
鬼童とルミ子の出会いのシーンのように、経験不足から来るぎこちない流れが目立ったりもして、他にも今書いたらぜんぜん違った描き方ができるだろうな、と思うシーンもちらほらありますけど、この1冊を最後まで仕上げることができたおかげで、その後毎年1冊づつ長編小説を書けるようになり、今の自分があるわけですから、やはり私の同人生活のうえではもっとも重要な金字塔的1冊といえるのです。
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