投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2017年 1月21日(土)11時10分55秒
アメリカ大統領就任式では新大統領が聖書に手を置いて宣誓しますが、トランプはオバマを真似てリンカーンの聖書を用いたそうですね。
クリスチャントゥデイ紙によると、
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ドナルド・トランプ氏は、20日に行われる米大統領就任式で、第16代大統領のアブラハム・リンカーンが就任時に使った聖書と自身が家庭で使っている聖書を用いて宣誓を行う。
リンカーンの聖書は、バラク・オバマ現大統領が2009年と13年の就任式で、リンカーン本人が1861年に使って以来、初めて使用した。副大統領となるマイク・ペンス氏は、第40代大統領のロナルド・レーガンの聖書を使って宣誓する。レーガンの聖書が使われるのは、本人が使用して以来、今回が初めて。
http://www.christiantoday.co.jp/articles/23053/20170119/turmp-lincoln-bible-inauguration.htm
だそうです。
同記事に、
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大統領や副大統領が宣誓する際、聖書に手を置いて誓うことは義務ではないが、初代大統領ジョージ・ワシントンの1789年の就任式以来の伝統となっている。米国の憲法は、大統領が職務を忠実に遂行し、憲法を堅持することを宣誓するよう義務付けているものの、聖書などの宗教的文書を用いることについては言及していない。
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とあるように、聖書に手を置いての宣誓は明文の憲法上の根拠に基づくものではありませんが、しかし、これが法律的には全く無意味な慣例・儀礼であって無視しても大統領就任の有効性について全然問題が生じないかというと、そこは若干面倒な議論が出てきそうですね。
ま、現時点では大統領選に勝利するには少なくとも「なんちゃってクリスチャン」であることが必要でしょうから、当面はその種の問題は顕在化しないでしょうが。
ところで、この記事の最後の方で、
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副大統領となるペンス氏は、レーガンが共和党に転向したことを評価しており、レーガンが用いたのと同じ歴代誌二7章14節を開いて宣誓する。
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とありますが、「レーガンが共和党に転向」云々は意味が分からないので、英語記事を確認してみたら、
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Mike Pence credits Ronald Reagan, the 40th US President, with his conversion to the Republican party. He will open the Bible to 2 Chronicles 7:14, the same verse Reagan used.
http://www.christiantoday.com/article/trump.to.swear.in.on.lincolns.bible.and.his.own.family.bible/103969.htm
となっています。
翻訳者は conversion の主体をレーガンとしていますが、ペンス氏じゃないかなと思ってウィキペディアでペンス氏の経歴を見ると、
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In his childhood and early adulthood, Pence was a Roman Catholic and a Democrat. He volunteered for the Bartholomew County Democratic Party in 1976 and voted for Jimmy Carter in the 1980 presidential election,[16] and has stated that he was originally inspired to get involved in politics by people such as John F. Kennedy and Martin Luther King Jr..[16] While in college, Pence became an evangelical, born-again Christan.[16] His political views also starting shifting to the right during this time in his life, something which Pence attributes to the "common-sense conservatism of Ronald Reagan" that he began to identify with.[16][17]
https://en.wikipedia.org/wiki/Mike_Pence
ということで、もともとカトリックで民主党支持者の家庭に生れたペンス氏は、自身もケネディやキング牧師に心酔してカーター大統領に投票するような民主党支持者だったにもかかわらず、レーガン大統領の影響を受けて共和党支持者に変わった訳ですね。
とすると、やはり「副大統領となるペンス氏は、レーガンが共和党に転向したことを評価しており」は誤訳で、正しくは「副大統領となるペンス氏は自身が共和党に転向したことをレーガン大統領に帰しており」ですね。
もう少し分かりやすく訳せば、「自分が共和党員になったのはレーガン大統領のおかげ」くらいでしょうか。
レーガンがペンス氏にとってそういう重要な人物であったからこそ、ペンス氏は自身の宣誓にレーガンの聖書を用いた訳ですね。
アメリカ大統領就任式では新大統領が聖書に手を置いて宣誓しますが、トランプはオバマを真似てリンカーンの聖書を用いたそうですね。
クリスチャントゥデイ紙によると、
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ドナルド・トランプ氏は、20日に行われる米大統領就任式で、第16代大統領のアブラハム・リンカーンが就任時に使った聖書と自身が家庭で使っている聖書を用いて宣誓を行う。
リンカーンの聖書は、バラク・オバマ現大統領が2009年と13年の就任式で、リンカーン本人が1861年に使って以来、初めて使用した。副大統領となるマイク・ペンス氏は、第40代大統領のロナルド・レーガンの聖書を使って宣誓する。レーガンの聖書が使われるのは、本人が使用して以来、今回が初めて。
http://www.christiantoday.co.jp/articles/23053/20170119/turmp-lincoln-bible-inauguration.htm
だそうです。
同記事に、
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大統領や副大統領が宣誓する際、聖書に手を置いて誓うことは義務ではないが、初代大統領ジョージ・ワシントンの1789年の就任式以来の伝統となっている。米国の憲法は、大統領が職務を忠実に遂行し、憲法を堅持することを宣誓するよう義務付けているものの、聖書などの宗教的文書を用いることについては言及していない。
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とあるように、聖書に手を置いての宣誓は明文の憲法上の根拠に基づくものではありませんが、しかし、これが法律的には全く無意味な慣例・儀礼であって無視しても大統領就任の有効性について全然問題が生じないかというと、そこは若干面倒な議論が出てきそうですね。
ま、現時点では大統領選に勝利するには少なくとも「なんちゃってクリスチャン」であることが必要でしょうから、当面はその種の問題は顕在化しないでしょうが。
ところで、この記事の最後の方で、
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副大統領となるペンス氏は、レーガンが共和党に転向したことを評価しており、レーガンが用いたのと同じ歴代誌二7章14節を開いて宣誓する。
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とありますが、「レーガンが共和党に転向」云々は意味が分からないので、英語記事を確認してみたら、
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Mike Pence credits Ronald Reagan, the 40th US President, with his conversion to the Republican party. He will open the Bible to 2 Chronicles 7:14, the same verse Reagan used.
http://www.christiantoday.com/article/trump.to.swear.in.on.lincolns.bible.and.his.own.family.bible/103969.htm
となっています。
翻訳者は conversion の主体をレーガンとしていますが、ペンス氏じゃないかなと思ってウィキペディアでペンス氏の経歴を見ると、
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In his childhood and early adulthood, Pence was a Roman Catholic and a Democrat. He volunteered for the Bartholomew County Democratic Party in 1976 and voted for Jimmy Carter in the 1980 presidential election,[16] and has stated that he was originally inspired to get involved in politics by people such as John F. Kennedy and Martin Luther King Jr..[16] While in college, Pence became an evangelical, born-again Christan.[16] His political views also starting shifting to the right during this time in his life, something which Pence attributes to the "common-sense conservatism of Ronald Reagan" that he began to identify with.[16][17]
https://en.wikipedia.org/wiki/Mike_Pence
ということで、もともとカトリックで民主党支持者の家庭に生れたペンス氏は、自身もケネディやキング牧師に心酔してカーター大統領に投票するような民主党支持者だったにもかかわらず、レーガン大統領の影響を受けて共和党支持者に変わった訳ですね。
とすると、やはり「副大統領となるペンス氏は、レーガンが共和党に転向したことを評価しており」は誤訳で、正しくは「副大統領となるペンス氏は自身が共和党に転向したことをレーガン大統領に帰しており」ですね。
もう少し分かりやすく訳せば、「自分が共和党員になったのはレーガン大統領のおかげ」くらいでしょうか。
レーガンがペンス氏にとってそういう重要な人物であったからこそ、ペンス氏は自身の宣誓にレーガンの聖書を用いた訳ですね。
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