平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

僕の歩く道 第4回

2006年11月01日 | その他ドラマ
 言われたことしかやらない輝明(草剛)。
 そんな彼が自分の意思でやったこと。
 雨の中泣いている都古(香里奈)に傘を差してあげる。
 それは黄色い傘で。

 感情には出さないが、輝明は都古の心を理解している。
 都古の哀しい想いに共鳴している。
 リンゴを切る時、輝明がパニックに陥ったのは何も指示をされず放っておかれたからではなく、河原(葛山信吾)とうまくいっていない都古の哀しい想いを感じていたから。
 都古の哀しみの理由は輝明には理解できないが、心の哀しみだけは感じることができる。それは友人の大石千晶(MEGUMI)よりも深い理解。
 その都古への共鳴・理解が彼に傘を差させた。
 そしてラスト。
 離婚をして、都古と結婚するためにやって来た河原。
 雨の中、ひとりマンションの外で待つ輝明は再びパニックに陥る。
 それは都古が3分で戻らなかったからではなく、都古が失われてしまうのを感じたから。

 実に巧みなシナリオだ。
 輝明が傘を差し出すシーンまで、作品は輝明が言われたことしかしないことを何度も描く。
 ひとつしか買ってこない焼き芋、箸を取ってくれと言わないと取らない輝明、ベンチの自分の落ち葉しかはらわない輝明。
 これらの描写があるから、傘を差すシーンが活きてくる。
 理由の描写もそうだ。
 輝明がパニックに陥る表面上の理由は、長い間指示を出されなかったから、都古が3分たっても戻らなかったからだが、それらの理由の裏に上で述べた「都古への共鳴」という理由がある。
 表面上の理由があるから、裏の本当の理由が活きてくる。
 せりふなどで具体的には描かれないが伝わってくる。
 やはり巧みなシナリオだ。
 都古が悩む理由はいささかよくある通俗的な気がするけれど。
 都古ほどの思慮のある女性がなぜ河原に傾くかの理由もイマイチだが。

 さて、「僕」シリーズの第3弾のこの作品。
 この作品はどんなラストに向かって進んでいくのだろう。
 前2作には主人公の死、娘との生活といった明確な方向性があった。
 今回はまだわからない。
 次回、都古は結婚してしまう様だし。
 これまでは、輝明と彼のまわりの人たちの関わりを描くことで主人公・輝明を描くことに終始していた。
 では今後は?ラストは?輝明の黄色の秘密は?
 全12話の構成でどんな仕掛けが施されていくかも見逃せない。

コメント (2)
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