平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

風林火山 第1回 「隻眼の男」

2007年01月08日 | 大河ドラマ・時代劇
 強者揃いだが、知略に欠ける武田軍。
 それを武田晴信(市川亀治郎)も感じている。
 そしてやって来た山本勘助(内野聖陽)は軍配(知略)でいくさをしようとしている。
 知略という武田の欠けているパーツに勘助というパーツが入り込むという仕掛けだ。
 これが物語の大きな構造。
 勘助というパーツはいったん甲斐を離れ三河の実家に戻る様だが、以後物語は勘助がどの様に武田家のパーツに収まるかが描かれていくだろう。
 それは何話かを過ぎての話。
 ドラマとしては物語、すなわち「人と人との交流」を描かなくてはならない。
 理解、対立、何でもいい、主人公と他の人物との交流があってドラマは面白くなる。
 今回、その役割をしたのはミツ(貫地谷しほり)だった。

 ミツは侍の嫁になるのが夢の娘。
 生きても死んでも誰にも顧みられることのない百姓という境遇が大嫌い。
 現状脱却。
 誰かいい侍がいたら、ここから抜け出したいと思っているなかなかの野心家だ。
 それは彼女が聡明だからだろう。
 そんなミツが見出したのは勘助だった。
 仕官して侍を目指すという勘助に心惹かれる。
 大ボラ吹きかもしれないこの男に何かを感じる。
 彼女の聡明さは隻眼の醜さではなく、勘助の才能を見た。
 そして温かい心を見た。
 赤部下野守(寺島進)を倒した時、「これがいくさだ」という勘助。
 勝つためには、出世するためにはこんなこともしなくてはならないという苦しみにも似た現実を見せる勘助にミツは言う。
 「勘助の心に花が咲いている」
 ミツは勘助の心に「温かいもの」があるのを見抜いていたのだ。

 面白い出会いである。
 互いの聡明さと心を理解し合い惹かれ合う関係。
 ふたりともまだ若く未熟で、自分のことしか考えていないのもいい。
 勘助は仕官・出世の野望に燃えていてミツどころではない。ただ、自分の才能と心を見出してくれたミツの聡明さは認めている。
 ミツも勘助に他の男とは違うものを感じてはいるが、一方で勘助を自分を現在の境遇から抜け出させてくれる道具としても見ている。
 このふたりが今後、どんな関わりを見せるか、大いに楽しみだ。

 物語には男性論理と女性論理があると思う。
 前述の「知略・軍師が必要という物語」は男性論理。
 「ミツと勘助の物語」は女性論理。
 このふたつがなくてはドラマは面白くない。
 特に今回は「義経」の繊細さ優美さとは180度違う、荒っぽい男っぽさ全開の映像だけに、この「女性論理」は必要だ。
 その意味では謙信は楽しみ。

 まだまだ未熟な勘助が今後どの様に円熟していくのかも見逃せない。


※現在スパムTBが多く、TBの方は中止させていただいております。

コメント (2)
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