「バガボンド」第1巻。
ここでは又八との対比を使って武蔵が描かれる。
ふたりのリアクションが違うのだ。
例えば関ヶ原の負けいくさ。
武蔵は仰向けに天を見つめ、又八はうつ伏せで後悔ばかりしている。
これでふたりのキャラがくっきり浮かび上がる。
西軍の残党狩りとの戦いでもそう。
又八はうろたえ泣き叫ぶばかりだが、武蔵は戦う。
「俺を殺す気なら、殺してやる」
武蔵の戦いぶりはとても剣術と言えるものではない。
ただ類い希な膂力で圧倒するのみ。
だが目が違う。
狂気とも言える強い目。
うろたえる又八のリアクションと共に、この目で武蔵がただ者でないことが読者に伝わる。
武蔵と又八のリアクションの違いは、お甲、朱美に出会った時にも現れる。
まず女たちはこのふたりの男を前にして、武蔵を選ぶ。
武蔵の方が男前だしたくましい。
だから女たちは武蔵を選ぶ。
だが武蔵は女たちを相手にしない。女たちに関心を持たない。
一方、又八は軟派。
お甲に夜這いをかける。
夜這いをかけたのが又八であることがわかるお甲。
お甲は又八を受け入れる。
自分に関心を示さない武蔵より夜這いをしてくる又八というわけだ。
この辺、お甲は女。
作者は女というものを描いている。
そしてお甲の夫を殺した野武士の辻風典馬が登場。
お甲に惚れている典馬はいろいろちょっかいを出してくる。
そしてお甲が自分のものにならないとわかると、刀を使ってくる。
戦う武蔵。
例の狂気の目が再び登場。
そしてここでも又八との対比が。
武蔵が野武士たちと戦う中、又八は隠れている。
刀が家の中にあることを理由にして。
そして又八のもとにやってくるお甲。
ふたりは武蔵が戦っているにもかかわらず、外でまぐわう。
戦いの血が性欲を呼んだのか、性の中で恐怖の現実を忘れたかったのか、はだかで抱き合うふたり。
血しぶきをあげて殺し合いをしている男とまぐわう男女。
客観的に見れば、すごい描写だ。
そしてここでも又八と対比することで武蔵を浮き彫りにする。
すなわち
『戦いの修羅の中に生きる武蔵と女の肌の中に生きる又八だ』
あるいはこんな描写もある。
許嫁のいるおつうのいる故郷に帰るという又八。
そんな又八に武蔵は言う。
「俺はもう戻らぬつもりで村を出た。今日からは流浪が望みだ」
この様に対照的な人物を置くことで主人公を見事に描ききった「バガボンド」。
見事な筆力だ。
なお、作者の井上雄彦はこのふたりの生き方のどちらが正しいかは言っていない。
それはこらから展開されるこの作品のテーマでもあるからだ。
ここでは又八との対比を使って武蔵が描かれる。
ふたりのリアクションが違うのだ。
例えば関ヶ原の負けいくさ。
武蔵は仰向けに天を見つめ、又八はうつ伏せで後悔ばかりしている。
これでふたりのキャラがくっきり浮かび上がる。
西軍の残党狩りとの戦いでもそう。
又八はうろたえ泣き叫ぶばかりだが、武蔵は戦う。
「俺を殺す気なら、殺してやる」
武蔵の戦いぶりはとても剣術と言えるものではない。
ただ類い希な膂力で圧倒するのみ。
だが目が違う。
狂気とも言える強い目。
うろたえる又八のリアクションと共に、この目で武蔵がただ者でないことが読者に伝わる。
武蔵と又八のリアクションの違いは、お甲、朱美に出会った時にも現れる。
まず女たちはこのふたりの男を前にして、武蔵を選ぶ。
武蔵の方が男前だしたくましい。
だから女たちは武蔵を選ぶ。
だが武蔵は女たちを相手にしない。女たちに関心を持たない。
一方、又八は軟派。
お甲に夜這いをかける。
夜這いをかけたのが又八であることがわかるお甲。
お甲は又八を受け入れる。
自分に関心を示さない武蔵より夜這いをしてくる又八というわけだ。
この辺、お甲は女。
作者は女というものを描いている。
そしてお甲の夫を殺した野武士の辻風典馬が登場。
お甲に惚れている典馬はいろいろちょっかいを出してくる。
そしてお甲が自分のものにならないとわかると、刀を使ってくる。
戦う武蔵。
例の狂気の目が再び登場。
そしてここでも又八との対比が。
武蔵が野武士たちと戦う中、又八は隠れている。
刀が家の中にあることを理由にして。
そして又八のもとにやってくるお甲。
ふたりは武蔵が戦っているにもかかわらず、外でまぐわう。
戦いの血が性欲を呼んだのか、性の中で恐怖の現実を忘れたかったのか、はだかで抱き合うふたり。
血しぶきをあげて殺し合いをしている男とまぐわう男女。
客観的に見れば、すごい描写だ。
そしてここでも又八と対比することで武蔵を浮き彫りにする。
すなわち
『戦いの修羅の中に生きる武蔵と女の肌の中に生きる又八だ』
あるいはこんな描写もある。
許嫁のいるおつうのいる故郷に帰るという又八。
そんな又八に武蔵は言う。
「俺はもう戻らぬつもりで村を出た。今日からは流浪が望みだ」
この様に対照的な人物を置くことで主人公を見事に描ききった「バガボンド」。
見事な筆力だ。
なお、作者の井上雄彦はこのふたりの生き方のどちらが正しいかは言っていない。
それはこらから展開されるこの作品のテーマでもあるからだ。