平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

軍師官兵衛 第35回「秀吉のたくらみ」~「官兵衛、それ以上申すな。お主を罰したくない」

2014年09月01日 | 大河ドラマ・時代劇
 描かれるさまざまな人間像。

 長政(松坂桃李)は物事には裏があることを知らない。
 秀吉(竹中直人)と家康(寺尾聰)の陣羽織のやりとりを見て、素直に感動する。
「石田三成(田中圭)が官兵衛(岡田准一)と秀吉の仲を引き裂いている」という噂話を信じてしまう。
 これらが長政が「大坂で見てきたこと」だった。
 長政、黒田家の後継者としては、ちょっとイマイチ。
 成長期に官兵衛、秀吉、竹中半兵衛といった人物がそばにいたのに、学んだことは少なかったようだ。

 宇都宮重房(村田雄浩)は、名家の誇りと本領安堵のために生きている。
「名家の人間が草履取りの家来になるとは乱世も極まれり!」
 これが時代なんですね。
 古い権威は力を失っていく。
 足利将軍家しかり。
 時代に乗り遅れた者は衰退していく。

 一方で、出る杭が打たれるのも世の常。
 キリスト教。
 勢力をのばす新興勢力に秀吉は自分の地位を脅かされるのではないかと怖れる。
 秀吉の支配の基本は<金>と<領地>。あとは<関白>という権威。
 しかし、<信仰>はそれらと相性が良くない。
 あの官兵衛ですらキリスト教に取り込まれてしまったのだから、秀吉としては怖れずにはいられない。
 この作品では、秀吉が伴天連禁止令に至った過程が丁寧に描かれていた。
「九州に伴天連が領地を持っておるのか。まるで大名じゃな」
「あの船はなぜ大筒を積んでおるんじゃ?」
「この秀吉の水軍でも勝てぬか?」
 自分を脅かす者、抗う者は排除する。
 これは人として普通の心の動きだと思うが、本当に生きるということは厄介だ。

 伴天連コエリョは真っ正直。
 純粋に信仰に生き、秀吉を信じているから、相手がどう思うかを考えずに何でも正直に話してしまう。
 自分の発言が100%相手に理解され、受け入れられると考えている。
 正直や率直さの弊害。
 沈黙は金なり。

 石田三成は実戦を知らない官僚タイプ。
 降伏した島津の処遇に関しては<領地召し上げ><島津義久の切腹>という判断。そうしないと<しめしがつかない>。
 官僚タイプの三成はすべてを頭の中で考えている。
 <領地召し上げ><切腹>という判断が、その後、何をもたらすかを考えていない。
 やって来るのは、怒り、憎しみ、抵抗、混乱、戦闘。

 官僚タイプの人間が頭の中で考えた理論が、現実でそのまま考えたとおりになるとは言えない。
 現在のアベノミクスもね、円安と株価UPし、デフレからの脱却も何とか出来そうだが、果たして生活は豊かになったか? GDPは上がったか?
 生活を知らない人間が理論を弄んでいるような気がする。

 最後は茶々。
 <強い男>を求めて、ついに秀吉を受け入れる。
「化け物は化け物らしく生きて見せましょうぞ」という言葉は、汚名を受けても権力闘争の中で生きることを決めた人間の覚悟。
 大変な道に踏み込みましたね。
 普通の精神なら耐えられない。

 茶々、三成、コエリョ、宇都宮重房、黒田長政……
 それぞれが、それぞれの個性の中で、必死に生きている。

コメント (2)
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