平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

家売るオンナ 第9話~親子の絆を取り戻す6文字の言葉……なんでもけん

2016年09月08日 | 職業ドラマ
 親子の絆を取り戻す6文字の言葉。
 それは……
<なんでもけん>
 いったい何のことだろうと思っていたら<何でも券>。
 波留(八木優子)が子供の時に両親に渡していたプレゼントだった。
 それは<肩たたき券>と同じノリの<両親が望むことを何でもします>という券。

 上手いですね。
 視聴者は、親子の絆を取り戻す6文字の言葉って何だろう? と興味津々。
 で、手紙の封を開けてみると、<なんでもけん>という意味不明の言葉。
 でも、いっしょに人生を過ごしてきた親子なら意味がすぐわかる。
 <なんでもけん>が<何でも券>であることがわかって、視聴者も納得し、この親子がひとつ屋根の下、豊かに生きてきたことがわかる。
 見事な仕掛け!
 これぞプロの技!
 …………………………………

 二世帯住宅の壁を壊せ、と熱弁をふるうナイジェリア人ビクトル(星野ルネ)。
 彼に対する三軒屋万智(北川景子)のせりふもいい。
「ある程度の距離を取り、奥ゆかしく相手のことを思いやるのが日本人です」
 万智は、第一夫人から第五夫人までがいて、家族17人が同居するオープンなナイジェリア文化との違いを説明して、ビクトルの主張を否定した。
 これが凡庸な脚本家だったら、ビクトルの主張を採用して壁を壊していただろう。

 以前も書きましたが、脚本の大石静さんは、人間や社会をしっかり見ているんですよね。
〝ひきこもり〟〝潔癖な男〟〝物を捨てられない女〟〝寂しい離婚女〟〝愛人〟〝巨悪に切り込むフリージャーナリスト〟〝地味な校閲係〟など、すべての登場人物がしっかり描き込まれている。
 問題の解決の仕方も〝引きこもりは悪いことだから外に出られるようにしよう〟などという安易な価値観を押しつけない。

 僕は、大石静さんの人間やものの見方を学ぶために、この作品を見ています。

コメント (2)
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