「三谷幸喜 創作を語る」(三谷幸喜/松野大介・著 講談社)
ここでは、三谷さんの創作に対する姿勢や葛藤が語られている。
たとえば、製作側から無理難題を言われた時、三谷さんはこう対応する。
「ピンチが大好きなんです。遊び心なのかな。
『振り返れば奴がいる』のスペシャル版では、織田裕二さんと鹿賀丈史さんをそれぞれ立たせたいから、ふたりをなるべく別のシーンに立たせたいとスタッフから注文がきたんです。そういうのはわかるけど、脚本家からすれば作品のクオリティとは関係ない話。〝そんなこと言われても無理です〟と思うのが普通だけど、僕はそういう注文を聞くとうれしくなっちゃう。それじゃあと、同じ病院内で鹿賀丈史さんがエレベーターに閉じ込められた話にした。加賀さんは全編、エレベーターの中だから織田さんと絡まないんです。そういうアイデアを考えるのが好きですね」
映画監督を始めた理由のひとつには、演出家が自分の脚本をイメージどおりに作ってくれなかったことがあったらしい。
「映画監督を始めた理由はいくつかあって、まず『竜馬におまかせ!』とか、コメディドラマに関しては自分の〝間〟があるんです。でも僕が書いてる時に想定したテンポと、出来あがった作品とにテンポの違いが多々あった。
仮に1時間ドラマのために書いたものは僕の考えるテンポでやれば確実に収まるのに、演出家が読むと、「異常にページ数が多いからカットしてくれ」と。
「僕はカットしたくない、全部が大事なシーンの台詞だから、これが収まる速いテンポで撮ってください」とお願いするけど、「撮ってみたが、尺がオーバしたので編集でこれとこのシーンをカットしました」とか結局言われるわけです。こっちは全部を計算して書いた台本なのに、大事なシーンや台詞が抜けてしまっている。そのストレスがすごくて。
具体的に言うと、あれだけど、『竜馬…』に関しては、なんでこんなにチンタラしてるんだろうと思ってた。笑える台詞が抜かれて、ストーリーだけを追いかけてる仕上がりになっているんですよね。いい悪いは別にして、僕の計算と演出が合っていない」
大河ドラマに関しては、こんなこだわり。
「そんなにみんな戦が観たいのかな? でも、戦にドラマはないからなあ。
もしまた大河をやらせてもらえることがあったとしたらの話だけど、たとえば戦国ものだとしたら、戦のシーンを少なくして、もしどうしても必要なら、ただ戦ってるんじゃなく、なぜ一方が勝ち、なぜ一方が負けたのかを、丁寧に描きたい。僕は理数系だから、作戦をきっちり書きたいなあ。ワーツと合戦になって、圧勝みたいな展開は観ていてつまらない」
このことは現在、「真田丸」で実現されていますね。
この本「三谷幸喜 創作を語る」では、現在、脚本家をやっている方、脚本家を目指されている方が知っておきたい姿勢やノウハウがいっぱい語られています。
イチローさんが「古畑任三郎」に出演した時は、イチローさん、顔合わせの本読みの時、自分のセリフをすでに全部覚えて来てたんですって。
理由は、「自分はド素人なので、これくらいして準備してこないとみなさんに申し訳ないから」
興味のある方はぜひご一読を。
ここでは、三谷さんの創作に対する姿勢や葛藤が語られている。
たとえば、製作側から無理難題を言われた時、三谷さんはこう対応する。
「ピンチが大好きなんです。遊び心なのかな。
『振り返れば奴がいる』のスペシャル版では、織田裕二さんと鹿賀丈史さんをそれぞれ立たせたいから、ふたりをなるべく別のシーンに立たせたいとスタッフから注文がきたんです。そういうのはわかるけど、脚本家からすれば作品のクオリティとは関係ない話。〝そんなこと言われても無理です〟と思うのが普通だけど、僕はそういう注文を聞くとうれしくなっちゃう。それじゃあと、同じ病院内で鹿賀丈史さんがエレベーターに閉じ込められた話にした。加賀さんは全編、エレベーターの中だから織田さんと絡まないんです。そういうアイデアを考えるのが好きですね」
映画監督を始めた理由のひとつには、演出家が自分の脚本をイメージどおりに作ってくれなかったことがあったらしい。
「映画監督を始めた理由はいくつかあって、まず『竜馬におまかせ!』とか、コメディドラマに関しては自分の〝間〟があるんです。でも僕が書いてる時に想定したテンポと、出来あがった作品とにテンポの違いが多々あった。
仮に1時間ドラマのために書いたものは僕の考えるテンポでやれば確実に収まるのに、演出家が読むと、「異常にページ数が多いからカットしてくれ」と。
「僕はカットしたくない、全部が大事なシーンの台詞だから、これが収まる速いテンポで撮ってください」とお願いするけど、「撮ってみたが、尺がオーバしたので編集でこれとこのシーンをカットしました」とか結局言われるわけです。こっちは全部を計算して書いた台本なのに、大事なシーンや台詞が抜けてしまっている。そのストレスがすごくて。
具体的に言うと、あれだけど、『竜馬…』に関しては、なんでこんなにチンタラしてるんだろうと思ってた。笑える台詞が抜かれて、ストーリーだけを追いかけてる仕上がりになっているんですよね。いい悪いは別にして、僕の計算と演出が合っていない」
大河ドラマに関しては、こんなこだわり。
「そんなにみんな戦が観たいのかな? でも、戦にドラマはないからなあ。
もしまた大河をやらせてもらえることがあったとしたらの話だけど、たとえば戦国ものだとしたら、戦のシーンを少なくして、もしどうしても必要なら、ただ戦ってるんじゃなく、なぜ一方が勝ち、なぜ一方が負けたのかを、丁寧に描きたい。僕は理数系だから、作戦をきっちり書きたいなあ。ワーツと合戦になって、圧勝みたいな展開は観ていてつまらない」
このことは現在、「真田丸」で実現されていますね。
この本「三谷幸喜 創作を語る」では、現在、脚本家をやっている方、脚本家を目指されている方が知っておきたい姿勢やノウハウがいっぱい語られています。
イチローさんが「古畑任三郎」に出演した時は、イチローさん、顔合わせの本読みの時、自分のセリフをすでに全部覚えて来てたんですって。
理由は、「自分はド素人なので、これくらいして準備してこないとみなさんに申し訳ないから」
興味のある方はぜひご一読を。