平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

真田丸 第37回「信之」~いずれ会える日を楽しみにしておるぞ。では、おのおの、抜かりなく

2016年09月19日 | 大河ドラマ・時代劇
「いくさには勝ったのに、なぜこのような目に遭わねばならぬのか。
 さぞ理不尽と思うておろう。
 その理不尽な思い、さらに膨らませてやる。
 わしは、おぬしから、一切の兵と馬と武具と金と城と今後いくさに出る一切の機会を奪う。
 この生き地獄、たっぷりと味わうがよい」

 家康(内野聖陽)が昌幸(草刈正雄)に言ったせりふだ。
 生きていると理不尽なことが多い。
 正義はおこなわれないし、巨大な権力は黒を白にしてしまう。
 そんな現実を前にして、人は愚痴を言ったり、いらだったりする。
 昌幸でさえも
「信長がいた頃は苦労も多かったが、生きているという実感があった。わしは長生きしすぎた」
 と愚痴を言い、
「この役立たずが! 何のために徳川についた!?」
 と信幸(大泉洋)に当たってしまう。

 だが、理不尽な現実の中、人はそれでも声をあげ、戦うのだ。
<意地>
<反抗>
<不屈>
 信幸は、父親との縁を切るため「名を捨てよ」と家康に命じられたが、〝信幸〟を〝信之〟に変えることで意地を見せた。
 昌幸は、「いずれ会える日を楽しみにしておるぞ」と言った後、「では、おのおの、抜かりなく」。
 出浦昌相(寺島進)は重傷で動けない体でありながら、なおも家康を討つ策を考え、あきらめない。
 これに対して昌幸も「あいわかった」
 石田三成(山本耕史)の妻は、汚名を着せられた夫の名誉回復のために「あのお方は豊臣家のことしか考えていませんでした!」と何度も叫び続ける。
 彼らは屈していない。
 理不尽な現実に自分なりの方法で立ち向かっている。

 真田家の女性たちもそうだ。
 つらい現実を<当たり前の日常>にすることで乗り越えている。
 姉の松(木村佳乃)は、あたかも普通の旅立ちであるかのように「いってらっしゃいませ! 道中ご無事で」
 きり(長澤まさみ)は九度山に来てくれ、と言われて、「行くとしますか」(笑)
 明るいですね、彼女たちは。
 彼女たちの明るさは救いであっただろう。

 信繁(堺雅人)も娘すえと最後に心を通わせた。
 すえは、堀田作兵衛(藤本隆宏)が自分の父親だと思っている、と語った後にこう言った。
「またお会いできる日を心待ちにしております」

 というわけで、
 今回のサブタイトルは「信之」でしたが、「不屈」というタイトルもふさわしいように思いました。
 三成の妻の叫びは迫力があったなぁ。
 おそらく、こう叫ばずにはいられなかったのだろう。
 昌幸の「おのおの、抜かりなく」も深い言葉だ。
 昌幸はあきらめていない。まだ立ち向かおうとしている。

コメント (4)
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