平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

「ワルキューレの騎行」と映画「地獄の黙示録」~ワーグナーの音楽は人を狂気に誘う

2024年02月28日 | 洋画
 リヒャルト・ワーグナーの『ワルキューレの騎行』
 初めて聴いた時、これ頭のおかしい曲だと思った。
・高らかに奏でる主旋律を管楽器!
・キュンキュンと泣き叫ぶ弦楽器!
・ワルキューレのブリュンヒルデ(歌手)が Hojotoho! Hojotoho!  Heiaha!

 実際、ワグナーに心酔する人には狂気の人物が多い。

 バイエルンの狂王ルートヴィッヒ二世
 彼のノイシュバンシュタイン城はルートヴィッヒ二世の理想の世界を実現するために造られた。
 目指すのは神話世界の実現だ。
 ワグナーはこれをオペラで表現したが、ルートヴィッヒ二世は建築物で表現しようとした。

 
 ※ノイシュバンシュタイン城~ヨーロッパに旅行に行った時、拝観した。
  完全に観光地化されていたが、そうでなければルートヴィッヒ二世の狂気を感じたかもしれない。

 アドルフ・ヒトラー
 ワグナーは民族主義者で、英国の資本主義、フランスの共和主義を否定し、
 ドイツの偉大さを芸術で表現しようとしたが、ヒトラーはこれを現実で表現しようとした。
 ワグナー同様ユダヤ人を憎み、憎悪を加速させてホロコーストをおこなった。
 連合軍がベルリンに迫っているのに、バイロイトのワグナー音楽祭を強行しようとした。
 ……………………………………………………………………………

 そしてコッポラーの映画『地獄の黙示録』

 ベトナム戦争。
 飛来する米軍のヘリコプター部隊。
 任務はベトコンの一掃。
 ヘリコプター部隊の隊長は戦闘時に『ワルキューレの騎行』を高らかに鳴らす。
『ワルキューレの騎行』を響かせながらベトコンおよび民間人を攻撃していく。
 ワルキューレとは「戦場の戦士を天上の宮殿ヴァルハラへ連れて行く女神たち」のことだが、
 ヘリコプター部隊はまさにそれ。

 

『地獄の黙示録』は戦場でのさまざまな狂気が描かれたが、このシーンの狂気はすごかった。
 ここで『ワルキューレの騎行』を持って来るコッポラーのセンス!
 この狂気についていけないヘリコプター部隊の隊員が戸惑った顔をしている所にテーマを感じる。
 途中でベトナムの村の子供たちの退避シーンを入れた所もコッポラーの主張を感じる。

 ワーグナーの音楽は人間を狂気に誘う。
 もしかしたら人間は狂いたがっているのかもしれない。
 日常はあまりにも平凡で、人を常識や世間の目や法律や道徳で縛りつけるから。
 人がワーグナーの音楽に魅了される理由はこんな所にあるのだろう。


※動画はこちら
「地獄の黙示録」~ワルキューレの騎行(YouTube)

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする