ネットでは昨夜の関ヶ原は評判がよくないようだ。
いはく、
『兵士同士のぶつかり合いはよかったのですが、大谷吉継の切腹がカットされたり、
島津義弘・豊久、松平忠吉、池田輝政、山内一豊、安国寺恵瓊などの重要武将の出番がなかったり、
戦後処理がスルーされてたのは残念でした。関ヶ原に力を入れるなら全部描かないと』
まあ、島津義弘・豊久、松平忠吉、池田輝政、安国寺恵瓊らは前振りがなかったので
仕方ないんですけどね。
僕的には、前3回の関ヶ原に至るまでの描写がよかったので、
すこしあっさりしている感じはあった。
関ヶ原の詳細についてはこちらを!
「関ヶ原の戦い」を布陣図で見ていこう(本ブログ)
…………………………………………………………
今作の関ヶ原で描きたかったことはこれだろう。
家康(松本潤)と三成(中村七之助)のやりとり。
「そなたとは無二の友となれたはず。行き違いがこの不幸をもたらした」
「さにあらず。これは豊臣の天下のためになしたること」
「何がそなたを変えたのか?
いくさなき世をつくるという同じ考えを持っていたのではなかったのか?」
「私は少しも変わっておりません。
この私にも戦乱を求める心があったこと。
誰の心にも火がつけば止まらぬ火種がある。
いくさなき世などなせぬ。まやかしの夢を語るな」
「それでもわしはやらねばならぬ」
人の心の中にある「戦乱」を求める心。
確かに、
人は憎悪している相手を叩き潰したいと考えているのかもしれない。
退屈で平凡な日常に絶えられないのかもしれない。
死と隣り合わせのヒリヒリとした生きている実感を求めているのかもしれない。
経済が行き詰まっているから戦争で大儲けしたいのかもしれない。
孤独に耐えられないから国家や集団と一体化したいのかもしれない。
エントロピーの物理法則に従っているのかもしれない。
すべてを無にしたいと潜在意識で願っているのかもしれない。
…………………………………………………………
「どうする家康」らしさはここ。
まずは家臣団との心の交流。
決戦を前にして家臣たちは語る。
「やはり殿といっしょに戦うのは楽しい」
「思う存分、愉しみましょう」
「おいらを家臣にして下さってよかったでしょう」
家康も回想して
「先に逝った者が皆、ここに集まっておる。わしは皆と共におる」
女性たちの戦いも。
阿茶の局(松本若菜)は単身、大坂城に乗り込んで茶々(北川景子)と対決。
阿茶は、吉川広家や小早川秀秋らはすでに調略されているので三成に関わらない方がいいと説く。
一方、茶々はこれを秀頼を出陣させないためのハッタリだと考えている。
バチバチの駆け引きと戦い。
こういう女性の戦いを入れる所が本作の特長だ。
茶々は秀頼を出陣させる気満々だったようだ。
確かに秀頼と毛利輝元(吹越満)の軍3万が出陣していたら結果は変わっていただろう。
3万という兵の数もそうだが、福島正則(深水元基)ら豊臣家中の武将たちが動揺する。
毛利輝元としては、いくさが長引くと見て出陣の時を待っていたようだが、
三成が崩れるのが速すぎた。
結果、判断を誤った輝元は茶々に叱責されることに。
今回のメインエピソードは「家康と三成」だが、
サブエピソードの「家康と家臣団」「阿茶と茶々」「茶々と輝元」も面白い。
サブエピソードを加えることで作品が豊かになる。
いはく、
『兵士同士のぶつかり合いはよかったのですが、大谷吉継の切腹がカットされたり、
島津義弘・豊久、松平忠吉、池田輝政、山内一豊、安国寺恵瓊などの重要武将の出番がなかったり、
戦後処理がスルーされてたのは残念でした。関ヶ原に力を入れるなら全部描かないと』
まあ、島津義弘・豊久、松平忠吉、池田輝政、安国寺恵瓊らは前振りがなかったので
仕方ないんですけどね。
僕的には、前3回の関ヶ原に至るまでの描写がよかったので、
すこしあっさりしている感じはあった。
関ヶ原の詳細についてはこちらを!
「関ヶ原の戦い」を布陣図で見ていこう(本ブログ)
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今作の関ヶ原で描きたかったことはこれだろう。
家康(松本潤)と三成(中村七之助)のやりとり。
「そなたとは無二の友となれたはず。行き違いがこの不幸をもたらした」
「さにあらず。これは豊臣の天下のためになしたること」
「何がそなたを変えたのか?
いくさなき世をつくるという同じ考えを持っていたのではなかったのか?」
「私は少しも変わっておりません。
この私にも戦乱を求める心があったこと。
誰の心にも火がつけば止まらぬ火種がある。
いくさなき世などなせぬ。まやかしの夢を語るな」
「それでもわしはやらねばならぬ」
人の心の中にある「戦乱」を求める心。
確かに、
人は憎悪している相手を叩き潰したいと考えているのかもしれない。
退屈で平凡な日常に絶えられないのかもしれない。
死と隣り合わせのヒリヒリとした生きている実感を求めているのかもしれない。
経済が行き詰まっているから戦争で大儲けしたいのかもしれない。
孤独に耐えられないから国家や集団と一体化したいのかもしれない。
エントロピーの物理法則に従っているのかもしれない。
すべてを無にしたいと潜在意識で願っているのかもしれない。
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「どうする家康」らしさはここ。
まずは家臣団との心の交流。
決戦を前にして家臣たちは語る。
「やはり殿といっしょに戦うのは楽しい」
「思う存分、愉しみましょう」
「おいらを家臣にして下さってよかったでしょう」
家康も回想して
「先に逝った者が皆、ここに集まっておる。わしは皆と共におる」
女性たちの戦いも。
阿茶の局(松本若菜)は単身、大坂城に乗り込んで茶々(北川景子)と対決。
阿茶は、吉川広家や小早川秀秋らはすでに調略されているので三成に関わらない方がいいと説く。
一方、茶々はこれを秀頼を出陣させないためのハッタリだと考えている。
バチバチの駆け引きと戦い。
こういう女性の戦いを入れる所が本作の特長だ。
茶々は秀頼を出陣させる気満々だったようだ。
確かに秀頼と毛利輝元(吹越満)の軍3万が出陣していたら結果は変わっていただろう。
3万という兵の数もそうだが、福島正則(深水元基)ら豊臣家中の武将たちが動揺する。
毛利輝元としては、いくさが長引くと見て出陣の時を待っていたようだが、
三成が崩れるのが速すぎた。
結果、判断を誤った輝元は茶々に叱責されることに。
今回のメインエピソードは「家康と三成」だが、
サブエピソードの「家康と家臣団」「阿茶と茶々」「茶々と輝元」も面白い。
サブエピソードを加えることで作品が豊かになる。
「関ヶ原」は何度も描かれているので誰もが各人なりの「関ヶ原」像をもっており、それに合わせる形で勝手な期待をもつものですが、どこに力点を置くかは脚本家の自由なんですよね。
ただ、私は「関ヶ原」に2話くらい使うのかと思っていましたが、戦後処理まで一挙に1話に収めてしまったのは意外でした。
もっとも、この後いきなり「大坂の陣」というわけにはゆかないので、家康の征夷大将軍就任と幕府の成立に1話(多分来週)、そして大坂冬の陣、夏の陣があるので、残りの「尺」を考えるとこんなところなのかもしれません。
小早川秀秋については、有名な「聞き鉄砲」のエピソードとセットとなった「優柔不断な秀秋」像が「定番」ですが、本作ではこれを採りませんでした。
家康が本軍の前線投入を見せて「東軍優勢」を印象づけ、これを見た秀秋があくまでも自分の判断で大谷陣を攻撃していました。
大きな前振りは無かったものの、それなりにしたたかな武将像として、むしろすっきりとキャラが立ったように思いました。
戦場もさることながら、「アチャチャチャ(阿茶・茶々)の闘い」は見応えがありましたね。
私としては、大阪城から戻ってからの阿茶が「あ-あ、おっかないおなごだわ!」とぼやくシーンが良かったと思います。
「女傑」イメージ一本槍では平板になりかねなかった阿茶の人物像に、「人間味」が加味されて深みが与えられたように感じました。
>家臣団との心の交流
先週のスポットライトは無論鳥居元忠でしたが、家康が平岩親吉とも会話を交わしていたところを「ちょい見」していた息子が「この人も死ぬの?」と聞いてきました。
一見「フラグ」にも見えるシーン、別にすぐに死ぬわけではなくても登場が最後になる(=演じる俳優さんがクランクアップする)家臣に対する一種の「セレモニー」で、その回の後で公式HPで「インタビュー」が掲載されるようです。
たとえば服部半蔵の第38話がそうでした。
今回は井伊直政の番でした。
家康が手ずから負傷した直政の手当をした話は結構有名で、「影武者徳川家康」では家康に成り代わったばかりの影武者次郎三郎が迎えた最初の(正体が露見しない上での)試練として描かれていました。
今回直政を演じた板垣李光人さん、最初に登場した家康襲撃の場面では千代配下の「くノ一」かと思いましたし、岡崎城クーデター未遂事件の際にも偽亀姫を演じるなど、女性的で優しげな顔立ちなので、小姓時代は似合っていました。
最近になって老けさせるために髭をつけるようになりましたが、もう少し自然な髭の方が良かったように思います。
ついでにもう少しツッコむと、本作は展開が早いためか、キャラの「老けさせ方」が荒っぽいように感じました。
壮年だった秀吉が突然「水戸黄門」のような鬘になったり、青年武将だった本多忠勝が娘稲が登場した途端髭を生やしたり、とか。
「関ヶ原」時点での家康は60歳前で、現在の私よりも10歳以上若いのにあの「しみ」。
特殊メイクの技術―「坂の上の雲」で死の床にあった秋山好古については見事でした―と努力には敬意を表するものの、少し「やりすぎ」な感じがします。
鬘をもう少し白くするくらいで充分なのでは、と。
いつもありがとうございます。
>本作は展開が早いためか、キャラの「老けさせ方」が荒っぽいように感じました。
後半が駆け足の感は否めないですよね。
三河の一揆、武田との抗争に時間をかけすぎたという意見もあるようです。
家康のしみは僕も気になりました。
今はテレビの画像がクリアですので目立つんですよね。
>演じる俳優さんがクランクアップする家臣に対する一種の「セレモニー」
そうだったんですね。
ということは直政も半蔵ももう回想以外では見られないということ……。
半蔵はまだ見せ場があると思っていたので残念です。
関ヶ原に関しては、おっしゃるとおり作家の切り口がありますし、予算もありますし、尺の問題もありますし、すべてを描けばテーマがぼけて散漫になってしまいますし、視聴者すべてを満足させるのは難しいですよね。
茶々と阿茶、茶々と毛利輝元──このやりとりを入れたのはラスボス茶々を描くためのフリなんでしょうね。
そして茶々は従来の視野の狭い女性ではなく、秀頼が戦場に姿を見せれば勝てるという戦術眼を持った女性として描かれていました。
というわけで、登場人物がいい感じに動いて来ているのに残りの話数が少ないというのは残念でもったいないですね。