平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

下町ロケット ガウディ計画~あなたはPMEAの恥だ! 出ていって下さい! 出ていけ!

2015年12月15日 | 職業ドラマ
 池井戸潤作品は善と悪がはっきりしていてわかりやすい。
 まずは悪。
 彼らは、隠蔽をおこない、責任を研修医に押しつけてトカゲのしっぽ切りをおこなう。
 巻田医師(横田栄司)に関しては、人事で対応。
 四国の病院に飛ばそうとするが、巻田がフリージャーナリストの咲間倫子(高島彩)に情報を漏らして反旗を翻すと、左遷を撤回して<敗れた者の逃げ道>をつくり、味方に取り込む。
 その言いぐさがこうだ。
「言うことを聞かない駄馬は目の届くところに置いて、飼い慣らした方が安全です」

 一方、善はピュアですね。
 金儲けや出世よりも、目の前の患者を救うことを第一と考えている。
 佃(阿部寛)の場合は、情熱と技術を信じている。
 咲間倫子もそうだ。
 コアハートの臨床試験で、患者を死亡させた貴船教授(世良公則)を告発したい彼女は言う。
「好奇心や功名心でなく、真実を知りたいんです。これは人の命が関わっていることなんです」

 さて、この善対悪の勝負。
 ここはフィクションなので、善が勝つ。
 PMEAの面談では、貴船の意向を受けて、「大企業との提携が出来ないガウディなど評価に価しない」と突っぱねる滝川(篠井英介)に、
「命の尊さを会社の大小ではかることが出来るでしょうか?」
「目を逸らさず、しっかり見て下さい!」
 それでも政治的に動こうとする滝川には奥の手を出して、貴船との癒着を暴露する。
 医学の将来を真剣に語り合うことなどあり得ないキャバクラでの写真だ。
 その結果、PMEAのチーフ審査員の山野辺(大鷹明良)は滝川に対して、
「あなたはPMEAの恥だ! 出ていって下さい! 出ていけ!」
 カタルシスですね。
 これで視聴者はスッキリする。
 これぞ「水戸黄門」から続くTBSのお家芸。

 ここで面白いのが、滝川を失脚に追いやったのが、貴船との癒着の暴露という点だ。
 いくら情熱や正論を語っても、物事はなかなか動かせない。
 人の心をザワザワと動かすことは出来ても、悪の側はいくらでも言い逃れが出来て、決定打にはならない。
 決定打になるのは、スキャンダルであり違法性なのだ。
 考えてみれば、この言い逃れで、罪を免れている政治家や企業人が、現代には何と数多くいることか!
 正義はなかなか実行されない。

 なお、今回、貴船とサヤマ製作所の椎名(小泉孝太郎)から、新たな論理が提示された。
 医学の進歩のためには、多少の犠牲は仕方がない、という論理だ。
 椎名は咲間倫子の告発を「正論をふりかざした自己満足」と切って捨てる。

 さて、この対決、どう決着がつくか?

 

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