平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

鎌倉殿の13人 第37回「オンベレブンビンバ」~本当の幸せは身近な所にある

2022年09月26日 | 大河ドラマ・時代劇
 義時(小栗旬)・政子(小池栄子)VS 時政(坂東彌十郎)・りく(宮沢りえ)
 対立、分裂する北条家。

 そんな中、時政は家族で酒を飲もうと言う。
「オンベレブンビンバ」
「ホントカクウソワカ」
 おそらく、この呪文の言葉は役者さんのアドリブだろう。
 段取りだけ決めて、呪文は好きなようにしゃべって下さい、と指示されている。
 その後はナスの苗の埋めかえ。
「ナスの苗はもっと間を開けるんだ」
 楽しそうな時政。
 笑う政子と実衣(宮澤エマ)。

 これが幸せなんですね。
 幸せは権力から遠い所にある。
 権力闘争がなければ北条親子はこんなふうに暮らしていた。
 幸せの青い鳥は身近な所にいる。
 …………………………………

 権力闘争は熾烈だ。

 時政、りくが推す次期鎌倉殿・平賀朝雅(山中崇)は京でつぶやく。
「これから鎌倉で何が起こるかわからぬ。
 ひとつ手を間違えると命取りぞ」

 三浦義村(山本耕史)もそれがわかっている。

 義時は泰時(坂口健太郎)に権力闘争の過酷を伝える。
「そなたに来てもらったのは父の覚悟を知ってもらうためだ」
 義時が守ろうとしているのは何だろう?
 それは「鎌倉」だ。
 武家政権の鎌倉を守るために何でもする。

 一方、時政は?
「わしは何も要らん」
「わしの宝はりくだ。りくの喜ぶ顔以外、何も要らん」
 この時点で、時政は権力闘争から脱落しているんですね。
 権力を求めているのなら「何も要らん」などと言わない。
 時政は「わたしは強欲なのです」という悪女りくに引っ張られてしまった。

 権力闘争は強欲な者が勝つ。
 権力を手に入れたくてギラギラしている者が手に入れる。
 この点、時政、平賀朝雅、そして実朝(柿澤勇人)は負けている。

 義時は権力にギラギラというよりは、背負ってしまった業に殉じて生きている感じ。

「オンベレブンビンバ」と笑って暮らせば、人生はそれなりに快適であり、
「わたしは強欲なのです」と何かに固執すれば、人生は修羅になる。

「オンベレブンビンバ」は幸せを呼び込む呪文だが、
 これを唱えたことで北条一家は一時の幸せを得ることが出来た。



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2 コメント

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最後の団欒と巫女だった大姫 (TEPO)
2022-09-26 23:00:26
>権力闘争は強欲な者が勝つ。

果たしてそうでしょうか?
強欲なりくの悪巧みは所詮浅知恵。
そもそも、息子の仇である平賀朝雅を担ごうとしている段階で浅はか。
今回も、三浦を抱き込もうとして「朝雅→善哉」と持ちかけたものの、本物の策士義村の目には「朝雅→りくの孫」というりくの本音はお見通し。

今回は、退場する時政が、りくの色香に迷ったただの馬鹿親父ではなかったことを示すため、三谷氏がキャラ・時政に贈った「はなむけ」だったように思います。
義時が解説していたとおり、時政は、りくの言うとおりにすれば必ず行き詰まることを承知の上で、敢えてりく(との心中)を選んだというわけです。

「オンベレブンビンバ」という意味不明の副題の鍵は、今は亡き八重、阿野全成、畠山重忠も含め、北条家の一同がりくの男児出産を祝うため顔を揃えた最も幸せだった場面(第21話)の回想でした。

>おそらく、この呪文の言葉は役者さんのアドリブだろう。

しかし「正解」の「オンタラクソワカ」は由緒正しい「虚空蔵菩薩の真言」です。
大姫は愛する源義高を失って「壊れかけて」おり、りくの出産祝いの場だというのに「おじじ様、元気を出してください。赤ちゃんに命を吸い取られている」とKYぶりを発揮した上で、時政に「授けた」のが問題の呪文でした。

ここに来て、時政が「赤ちゃん(=政範)に命を吸い取られている」という大姫の予言は見事に的中していることが分かります。
あの時大姫のKYが許容されたのは、彼女が頼朝の娘であることもあったでしょうが、彼女が「壊れかけて」いることに対する一同の了解があったためかもしれません。
「狂気」の中には、「正気」の人間が背負う現世のしがらみから外れることにより、むしろ真実に迫る感受性に結びつくものがあるのかもしれません。
現代の聖書学は、聖書に登場する「悪魔憑き」は現代で言う精神疾患であると教えていますが、福音書に登場する悪霊は、しばしばイエスの正体を言い当てています。

ところで、のえは義時が都で「高い官職」につくことを期待していました。

時政:りく=義時:のえ?

だとしたら、時政の命運が見えているこの時期ですので、やや不吉な感じがします。
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大姫の予言 (コウジ)
2022-09-27 08:42:17
TEPOさん

いつもありがとうございます。

そうなんですよね。
強欲な者は一時的には勝つ。
しかし、最終的には滅びる。
これが正しいですよね。

そして、何が「勝利」か、は人に拠ってさまざま。
権力の頂点に立つことを「勝利」と考える人もいるでしょうし、幸せな家庭を持つことを「勝利」と考える人もいる。

>時政がりくの色香に迷ったただの馬鹿親父ではなかった
この時政の掘り下げ、よかったですよね。

りくも政範の遺髪を手に取って何かを考えているシーンがありましたが、これもりくがただの「強欲な女性」でないことの表現ですよね。
次回、りくはどのように掘り下げられるのか?

>時政が「赤ちゃん(=政範)に命を吸い取られている」という大姫の予言は見事に的中している
この考察、まったく気づきませんでした。

>「狂気」の中には、「正気」の人間が背負う現世のしがらみから外れることにより、むしろ真実に迫る感受性に結びつくものがあるのかもしれません。
これも深い人間観ですね。
数学者や物理学者には、ファナティックで何かが欠けている人が多いですが、そういう人間だから違ったものが見えて来るんでしょうね。

後半のトラブルメーカーは、のえなんですね。
残りの回数をどう描いていくか?
クライマックスをどう作っていくか?
「真田丸」では大坂の陣という最後の大舞台がありましたが、今作はどう描いていくんでしょうね。
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