平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

SP 野望篇~単純明快の心地よさ!

2012年02月14日 | 邦画
 この作品はひたすらアクションである。
 冒頭の傘に爆弾を仕込んだテロリストの追跡。
 街の中を走り、車の上を乗り越え、歩道橋でもつれ合い、トラックの荷台では警棒で格闘。
 そして地下鉄。線路に落ちて電車がやって来て……。
 この間、井上薫(岡田准一)はほとんどしゃべらない。
 肉体のみで見せている。
 この吹っ切れたわりきり方が心地いい。
 映画に下手なドラマはいらない、アクションだけでこんなに楽しいじゃないか、と言っているようだ。

 なのでストーリーも単純明快。
 係長・尾形総一郎(堤真一)や与党幹事長・伊達國雄(香川照之)が事件の黒幕であるらしいことを簡単にネタバレさせてしまう。
 普通なら黒幕を謎の人物にして、謎要素を作る所だが、そんな面倒くさいことはしない。
 ストーリーは脇役的なもので、主役はあくまでアクション。
 ストーリーはアクションを面白く見せるための道具でしかないようだ。

 そしてクライマックスの与党・幹事長の首相官邸への移送。
 ここはツッコミ所、満載だ。
 家を出て、テロリストに襲われれば、普通、家に戻って待機。援軍を待つのが普通。
 首相官邸には「こういう事情で遅れます」という電話を一本入れればいいだけ。
 あるいは電話を一本入れて、車をまわしてもらった方が走って移動するより断然速い。
 また、いかに夜明け前の深夜とはいえ、都会のど真ん中で、タクシーを拾えないのもおかしい。車一台走っていないのもおかしい。
 途中、ホテルに立ち寄ろうとするが、官房長官はホテルや宿泊客に迷惑をかけるからと言って、ホテルに立ち寄るのを拒否する。
 でも、そのホテルがある場所にたどり着くまでに3度テロリストに襲われているのだから、いくら何でも外を走って移動するのはヤバいと考えるのが普通。

 というわけで、後半はツッコミ所がいっぱいだが、制作スタッフはそんなことよりもアクションを重要視したようだ。
 実際、アクションシーンが面白いので、見ているとストーリーの矛盾、疑問点などが払拭されてしまう。
 ここはツッコミ所だけど、まあいいか、と許せてしまう。
 アクションで、関節技などの総合格闘技の要素を取り入れているのもいい。
 goo映画の解説に拠れば、主人公・井上が敵との格闘で行っているのは、FBIが訓練に正式導入しているフィリピン武術「カリ」や「修斗(USA SHOOTO)」、「ジークンドー(Jeet Kune Do)」であるらしい。

 というわけで、この作品では、アクションシーンだけで作品が成り立つこと、単純明快の心地よさを教えてもらった。
 単純明快こそが素晴らしい!



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