平成エンタメ研究所

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映画「ビブリア古書堂の事件手帖」~びっしり本が詰め込まれた薄暗い店内の奥に美少女がいる

2020年09月06日 | 邦画
 映画「ビブリア古書堂の事件手帖」
 テレビドラマの剛力彩芽版じゃなくて、栞子役を黒木華さんが務める黒木華版だ。
 やはり地味な役は黒木さんがよく似合う……(笑)

 物語は、原作の「それから」(夏目漱石)、「晩年」(太宰治)を組み合わせたもの。

「それから」パートでは、大輔(野村周平)の祖母・五浦絹子(夏帆)のせつない恋愛話をふくらましている。
 50年前の絹子と田中嘉雄(東出昌大)を具体的に描いている。

「晩年」パートでは、栞子が持つ稀少本「晩年」を狙う謎の男・大庭葉蔵との戦い。
 サスペンスな展開になっている。

 いわば、恋愛ドラマとサスペンスドラマを両方、愉しめるというわけだ。
 ……………………

 本作の魅力と言えば、やはり「ビブリア古書堂」の雰囲気・匂いだろう。
 天井までいっぱいで、木製棚にぎっしり詰め込まれた本。
 店内は薄暗く奥行きがあり、御堂のようで、まさに「古書堂」という言葉がふさわしい。
 これが「古書店」だと明るくなってしまう。
 そんな薄暗い店内の奥──机に積み上げられた本の山の中に美少女・栞子さんがいる。

 何と幻想的な光景だろう。
 ビブリア古書堂に足を踏み入れることで、観客は異世界にトリップする。

 しかも、薄暗い古書堂の奥にいる美少女は名探偵。
 本の査定をしただけで、その本に関わった人たちのドラマを読み取る。

 本は読者をここではない異世界に誘うものだが、この作品はさらに面白い仕掛けを施している。
 古書「それから」が大輔の祖母の恋愛話に展開していったように、本が異世界への扉を開くのだ。
「それから」を読んで、漱石の書いた物語世界に浸るのは通常の読書行為。
 だが、この作品はそれだけでは満足しない。
 古書「それから」を通して、大輔の祖母の恋愛話の世界に誘っていく。
 この点で、映画版が大輔の祖母の恋愛話をていねいに描いたのは正解だ。

 ビブリア古書堂。
 これが街にあったら素敵だろうな。
「幻想スポット」が街中にある感じ。
「異世界への扉」がある感じ。

 でも現在はスクラップ&ビルドで街からこういうスポットが失われてしまった。


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2 コメント

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Unknown ()
2020-09-06 17:09:03
こんにちは。

近くにこういった場所があるといいですね。

コウジさんは私よりだいぶ年上だと思いますが、昔はこういった雰囲気の店はありましたか。
返信する
名曲喫茶・ミニシアター (コウジ)
2020-09-07 11:40:29
沼さん

いつもありがとうございます。

僕の場合は、名曲喫茶ですかね。
渋谷ありましたが、木造三階建てでクラシックをガンガン鳴らすんです。
古い映画を上映するミニシアター(床に座布団を敷いて見るんです!)もいっぱいありました。
僕は紙の「ぴあ」世代です。

現在では、神田の古書街などは落ちつく場所です。
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