鳥羽法皇(三上博史)と崇徳上皇(井浦新)の溝を埋めようとする清盛(松山ケンイチ)。
弟・家盛のことなど紆余曲折はあったが、自らが白河院の呪縛を解いて平家一門を今日の形に持っていった経験から、埋めることは可能だと踏んだ様子。
実際、崇徳上皇は平家一門を頼りにしていて清盛の言葉に耳を傾ける姿勢を持っていたし、鳥羽上皇は崇徳を不当に扱ってきた罪の意識に怯えていたし、うまく転がればふたりは理解し合えたかもしれない。
しかし、理想と現実は違う。
平家一門と違って、朝廷は複雑怪奇なのだ。
たとえば、藤原忠通(堀部圭亮)と頼長(山本耕史)の対立がある。
崇徳のことをよく思っていない美福門院得子(松雪泰子)がいる。
そして何より鳥羽法皇の心の軸が定まっていない。
権力争いの場では敵対するものを排除する以外に、解決する方法はないのだ。
この点、信西(阿部サダヲ)は現実的だ。鳥羽法皇の側に立った対応だけれど。
あるいは、雅仁を天皇にすることで自分が権力を握ることを考えていたのか?
一方、溝を埋めようとした清盛は信西と比べると、甘い子供で、単純明快だ。
権力闘争の場では、鳥羽院と崇徳上皇を説得するだけではダメで、ふたりの後ろにさまざまな思惑を持つ人間たちがいることを理解していない。
雅仁親王(松田翔太)に「上皇様が情けないのではありません。武士の役目が変わってきたのです」と言い切った所は格好よかったのだが。
さて瓢箪から駒で、後白河天皇となった雅仁親王。
清盛と同じように有り余るエネルギーを持ちながら、それを何に使っていいのかわからずに悩んでいた。
生きることは無意味、「生まれ来ずともよかった」とも考えていた。
そこに聞こえてきた
♪遊びをせんとや生まれけむ 戯れせんとや生まれけむ♪
生きることは無意味と考えていた雅仁にとって、この言葉は響いたであろう。
<人生は無意味。ならばこの虚しい人生を遊び倒して楽しく生きてやろう。大博打を打って生きてやろう>
この作品を貫くモチーフだ。
天皇となった雅仁は、政治さえも遊びや博打の材料にしてしまうかもしれない。
その遊びと博打の第一弾は、崇徳上皇の排除→保元の乱。
一方、同じ♪遊びをせんとや生まれけむ♪という言葉が心に響く清盛は、これからの歴史の流れの中でどう動くのか?
壮大な博打が始まりそうである。
弟・家盛のことなど紆余曲折はあったが、自らが白河院の呪縛を解いて平家一門を今日の形に持っていった経験から、埋めることは可能だと踏んだ様子。
実際、崇徳上皇は平家一門を頼りにしていて清盛の言葉に耳を傾ける姿勢を持っていたし、鳥羽上皇は崇徳を不当に扱ってきた罪の意識に怯えていたし、うまく転がればふたりは理解し合えたかもしれない。
しかし、理想と現実は違う。
平家一門と違って、朝廷は複雑怪奇なのだ。
たとえば、藤原忠通(堀部圭亮)と頼長(山本耕史)の対立がある。
崇徳のことをよく思っていない美福門院得子(松雪泰子)がいる。
そして何より鳥羽法皇の心の軸が定まっていない。
権力争いの場では敵対するものを排除する以外に、解決する方法はないのだ。
この点、信西(阿部サダヲ)は現実的だ。鳥羽法皇の側に立った対応だけれど。
あるいは、雅仁を天皇にすることで自分が権力を握ることを考えていたのか?
一方、溝を埋めようとした清盛は信西と比べると、甘い子供で、単純明快だ。
権力闘争の場では、鳥羽院と崇徳上皇を説得するだけではダメで、ふたりの後ろにさまざまな思惑を持つ人間たちがいることを理解していない。
雅仁親王(松田翔太)に「上皇様が情けないのではありません。武士の役目が変わってきたのです」と言い切った所は格好よかったのだが。
さて瓢箪から駒で、後白河天皇となった雅仁親王。
清盛と同じように有り余るエネルギーを持ちながら、それを何に使っていいのかわからずに悩んでいた。
生きることは無意味、「生まれ来ずともよかった」とも考えていた。
そこに聞こえてきた
♪遊びをせんとや生まれけむ 戯れせんとや生まれけむ♪
生きることは無意味と考えていた雅仁にとって、この言葉は響いたであろう。
<人生は無意味。ならばこの虚しい人生を遊び倒して楽しく生きてやろう。大博打を打って生きてやろう>
この作品を貫くモチーフだ。
天皇となった雅仁は、政治さえも遊びや博打の材料にしてしまうかもしれない。
その遊びと博打の第一弾は、崇徳上皇の排除→保元の乱。
一方、同じ♪遊びをせんとや生まれけむ♪という言葉が心に響く清盛は、これからの歴史の流れの中でどう動くのか?
壮大な博打が始まりそうである。
おっしゃる通りですね。
「ぎりぎりまで中立を保つ」という史実は、両勢力を慎重に評価し、かつ自らを「最も高値で」売り込むという戦略的態度とも言えるのですが、本作の見方は違うようです。未だに清盛は成長途上ということでしょうか。
もっとも、以前コメントした<忠盛:清盛>対<鳥羽:崇徳>の図式にもとづき
>紆余曲折はあったが、自らが白河院の呪縛を解いて平家一門を今日の形に持っていった経験
を背景に一旦は鳥羽院を説得した点では辛うじて「江」「天地人」レベルは免れていましたが。しかし
>権力闘争の場では、鳥羽院と崇徳上皇を説得するだけではダメで、ふたりの後ろにさまざまな思惑を持つ人間たちがいることを理解していない。
まったく同感です。
それはさておき、「清盛はいつの間にこれほど偉くなったのだろう」というのが今回の全体的感想です。
鳥羽院サイドはもとより崇徳院からも熱い視線を注がれるし、
>雅仁親王(松田翔太)に「上皇様が情けないのではありません。武士の役目が変わってきたのです」と言い切るし、
鳥羽院には意見までするわけですから。
さらに驚きなのは、雅仁はなんと清盛に嫉妬していたこと。
義朝は平治の乱で討たれてしまうので、雅仁(=後白河帝・院)こそが清盛終生のライバルではあるのですが、この時点ですでに清盛はそれほどまでの存在となっていたわけです。
結局、忠盛から受け継いだ「平家の棟梁」という地位がいかに絶大な力をもつものであるのか、ということだと思います。
前回は「初期不良」でしたが、清盛も何とか「棟梁」が板について来たようで、ようやく主人公らしくなってきました。
皆に言いたいだけ意見を言わせておいて、最後に自らの決断を述べる、というやり方もなかなかのものです。
この平家一門の評定場面で興味深いのは、忠正のみが「崇徳に近づくべきではない」と述べたのに対し、場の大勢は今後の台頭を見越してか崇徳寄りだったことです。
これは保元の乱での動きとはまったく逆。
しかも忠正は「仰せ」と敬語を使ってはいるものの、現実主義的な立場-これは忠盛時代から一貫している-で清盛に反論しています。
この忠正がなぜ、いかなる経緯で崇徳陣営に走るのか、興味深いところです。
形から入ると言うか
地位が人を作ると言うか
40才と目前にして
清盛にも「平氏の棟梁」らしい風格が
出てきましたね
体格が良いので
衣服や髪などを汚くさえしなければ見栄えはします
清盛の思考回路が
イメージしたものとは違うので戸惑いつつ見続けています
同じNHKが作っている「陽だまりの樹」という時代劇(全12話)も見ています
制作費は比べ物にならずスケールも小さいですが
市原隼人くん演じる主役に共感できるので
見やすいですよ
同じ土俵に乗せるわけにはいきませんけれど・・・ね
いつもありがとうございます。
>自らが白河院の呪縛を解いて平家一門を今日の形に持っていった経験を背景に一旦は鳥羽院を説得した点では辛うじて「江」「天地人」レベルは免れていました
同感です。
戦略も裏付けもなく、理想を説くだけでは主人公として薄っぺらいですし、説得力がありませんしね。
この点、清盛は少なくとも、自分の経験という裏付けがありました。
しかし、欲を言うと、TEPOさんが書いていらっしゃるとおり
>両勢力を慎重に評価し、かつ自らを「最も高値で」売り込むという戦略的態度
というふうにしてほしかったですよね。
主人公は必ずしも<公明正大な優等生>ではなくてもいいわけで、この方がリアリティがありますよね。
清盛の目標は、最終的には<武士が統治する世>を作るわけですから、鳥羽院、崇徳上皇の対立を利用して踏み台にするようなスタンスであってもいい。
また
>「清盛はいつの間にこれほど偉くなったのだろう」というのが今回の全体的感想です。
というのも同感です。
朝廷における発言力もそうですが、今までとキャラクターが違うような。
前回までと今回の清盛の間を埋めるエピソードがミッシングリングのように欠けているような。
この点、ちょっと残念ですね。
忠正に関してはどう描かれるんでしょう。
頼長の調略を受けるのか、戦国時代の真田家のように保険としたのか。
楽しみです。
いつもありがとうございます。
>清盛の思考回路がイメージしたものとは違うので戸惑いつつ見続けています
確かに。
TEPOさんの所でも書きましたが、清盛がちょっと違うような。
低視聴率などのプレッシャーで作家さんも筆が乱れ始めたのかな、とも。
それと、やはり、父・忠盛の存在は大きかったですね。
忠盛が作品を安定させていたような気がする。
次回は鳥羽院もいなくなるようですし、いよいよ松山ケンイチさんの実力が試される時かもしれませんね。
「陽だまりの樹」は手塚治虫先生の原作ですよね。
マンガで読んだことがあります。
破綻のないしっかり構成された作品というイメージですが、たまにはこういう作品を見たくなりますよね。
崇徳院と鳥羽法皇、やっと歩み寄りかけましたが、崇徳院を帝に戻すというなんて鳥羽院も変わりましたね。ここら辺は少し涙が出ました。
しかし、権力の世界は優しくないのも事実です。
信西さんは非情ですが、彼の判断は妥当です。
そして、彼の夢が実現しつつありますからね。
今回の勝者は信西でしょうね。
後白河が政治を博打や遊びの材料にしたのは、彼がもう一人の清盛だからでしょうね。
実際に後白河は公家が見下していた庶民やの娯楽を好んでました。
それ故に彼はそういった連中と交流してたそうです。だから、後白河は武士や公家達と戦えたんだと思います。
「陽だまりの樹」はコミックでしたか
近頃は コミック原作が本当に多いですね
「テルマエ・ロマエ」(2巻までは既読)を濃い顔の日本人キャストで作っちゃうのには驚きました
私は市原隼人くんは好きですが
成宮寛貴くんがどうしても苦手なのです
そんなわけで
「相棒」は卒業しようと思います
そろそろ 行き詰まり感もありましたからね
いつもありがとうございます。
権力を目指す人には、信西のような謀略や非情さが必要ですよね。
こちらが<いい人>でいれば、たちまち相手に寝首をかかれてしまう。
なので、僕は疲れそうなので、そういったものには関わりたくないですね。
>後白河は公家が見下していた庶民やの娯楽を好んでました。
それ故に彼はそういった連中と交流してたそうです。
そうなんですか。
面白いですね。
そういった人物が歴史の表舞台でどんな舞を演じるのか、実に楽しみです。
「テルマエ・ロマエ」、面白そうですね。
>濃い顔の日本人キャストで作っちゃうのには驚きました
確かに、これはキャスティングの勝利ですね。
あれを当たり前にイタリア人でやっていたら、これほど話題にはならなかったでしょう。
そして同じキャスティング繋がりで、成宮さん。
僕は役者さんの好き嫌いで見る見ないは決めないのですが、「相棒」もネタ切れなのか、物語として物足りないものが多くなってきましたね。
新シリーズはどうなるんでしょう。