平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

おんな城主直虎 第34回~侍は侍どうし、てめえらで戦えや! バーカ!!

2017年08月28日 | 大河ドラマ・時代劇
「巻き込まれてどうすんだよ?
 俺ら、逃げてなんぼじゃないか」
「侍は侍どうし、てめえらで戦えや!
 他人のふんどしで相撲をとってんじゃねえや、バーカ!」

 やっぱ僕は龍雲丸(柳楽優弥)が好きだな。
 戦争はやりたいやつだけがやればいいわけで人を巻き込むな、と言いたい。
 で、逃げると「非国民」「日本から出て行け」とか言われるんだよな。

 しかし、戦争は関係ない人間が巻き込まれるのが常。
 日中戦争から始まる太平洋戦争なんか軍部が勝手に進めた戦争が国民全体を巻き込んだ。
 大空襲、沖縄戦、広島・長崎──平和に暮らしたい庶民が次々と死んでいった。
 戦争遂行のスローガンは『一億総玉砕』。
 ソ連が侵攻してきた時、真っ先に逃げたのは軍人とその家族で、庶民は取り残された。

 龍雲丸と仲間たち、気賀の町人たちは巻き込まれる庶民の象徴なのだろう。
 龍雲丸もとっとと逃げてしまえばいいのに、良心に従ったために悲惨な目に遭ってしまった。
 そう、世の中は善良な人間ほど早く死ぬのだ。

 この作品には、口先でない〝非戦〟〝反戦〟のメッセージがある。
 龍雲丸の仲間たちや気賀の人たちが無惨に死んでいくのを見せることで、そのメッセージが伝わってくる。

 だから、戦争をしたい政治家やその追随者が出てきたら龍雲丸のように言ってやろう。
「てめえらで戦えや、バーカ!!」

 ………………

 直虎(柴咲コウ)は政次(高橋一生)を失って、茫然自失。
「ああ、もうおらぬのでしたね、但馬は……。
 但馬はもう……、わたしが……」

 南溪和尚(小林薫)もめずらしく怒った。
 抵抗できなかった自分を後悔し、何か出来ないかと問うた鈴木重時(菅原大吉)に
「鈴木殿、では教えてくれますかのう?
 但馬を生きて返す術(すべ)を!」
 そう、悲惨は人々の無関心や容認が引き起こすのだ。
 悲惨を回避したいのなら、事前にしっかり「NO!」と言わなければならない。

 来週の話になりますが、直虎を復活させるのは〝民〟であるようですね。
 民たちの悲惨を目の当たりにして彼女はふたたび立ち上がる。
 この大河ドラマは〝武将目線〟というよりは〝民衆目線〟。
 直虎がどんな言葉を発するのか楽しみだ。

 それと、
 龍雲丸は結局〝自分の理想の場所〟を失ってしまったんですね。
 仲間の遺体を見た時、あのクールな龍雲丸が泣きわめいていた。
 諸行無常は世の常ながら、人のおこないは実に虚しく哀しい。


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8 コメント

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残虐シーンが続きますね (megumi)
2017-08-28 11:58:24
コウジさん  こんにちは。

今回のレビューはコウジさんらしい切り口ですね。
おっしゃることに 全て共感します。


単純にドラマの感想としては
前回に関して 自分でも予想だにしていなかった『ロス状態』に陥りました。
韓国版の「ごめん 愛してる」以来の感覚で 我ながら驚きました。

今回のエピの中には 
その政次の死にざまを台無しにしたものが多々ありました。
南渓和尚のあからさまな抗議は 直虎と政次の最後のやり取りを無駄にしたと感じました。
あそこまで心と裏腹なことを言い合っていたのに  誰に対する欺き大芝居だったのでしょう。


龍雲丸が振り向いた先の『槍を構える直虎』はいったい何を意味しているのでしょう?
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今後の「光」は? (TEPO)
2017-08-28 12:17:31
さて、「政次後」の初回。

>この大河ドラマは〝武将目線〟というよりは〝民衆目線〟
>この作品には、口先でない〝非戦〟〝反戦〟のメッセージがある。

たしかにおっしゃるとおりですね。
本作では「いくさ」は必ず主人公側の誰かが「死ぬ」場面。一度として「手柄」の場面として描かれたことはありませんでしたね。

ただこれからの物語、視聴者に対してどのような「魅力」を訴えてゆくのでしょうか。
Wiki程度の史実予習はしてしまったので、本作が「地味なヒロインの苦労物語」となることは予想しておりました。
これまでは当初の子役時代から仕込まれた小野政次の人物造形の見事さで惹きつけてきたと思いますが。
今回、直虎は記憶障害を引き起こすまでにボロボロでした。
龍雲丸はおそらく助かるのでしょうが、「辛い話」ばかりでは視聴者は「もたない」のではないかと危惧しています。
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ロス (コウジ)
2017-08-29 18:00:07
megumiさん

いつもありがとうございます。
昨日はインターネットに繋がらず、ご返事できずすみませんでした。

『ロス状態』になりましたか。
今後は直親のように、回想シーンでの登場になるんですかね。
でも、政次が直虎に遺したものは、いろいろあって引き継がれていくんでしょうね。
あるいは、今後は囲碁の対局(=政次)なしで、直虎がたくましく物事を判断していくのでしょうか。
僕は次回以降の直虎の変化・成長に注目していきたいです。

韓国版の「ごめん 愛してる」はロス状態になるほど、よかったんですね。
僕は現在放送中の日本版を2話まで見て挫折した口なので、韓流ドラマもパワーが落ちたな~と思っていました。
ずいぶん昔ですが、僕の中では『冬ソナ』『アイリス』そしてmegumiさんに教えてもらった『ソウル1945』で止まっています。
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谷間 (コウジ)
2017-08-29 18:12:19
TEPOさん

いつもありがとうございます。
昨夜は、megumiさんの所でも書きましたが、インターネットに繋がらず、リセットしたり設定をいじくりまわして、パソコンと格闘していました。

さて、直虎ですが、おっしゃるとおり、注目は今後の展開ですよね。
前回がああだったので、今回は穏やかにいくのかなと思っていたら、龍雲丸の仲間たちの死という、さらなる爆弾を放り込んできた。
脚本の森下さん、なかなか視聴者をゆったりさせてくれませんね。
政次を始めとして、これまで積み上げてきたものを、どんどん壊している。

今回と前回は連続ドラマとしては、大きく落ち込んだ谷間のパートですよね。
これからはV字回復で、のぼっていくのでしょうか?
そうでないと、本当に「辛い話」ばかりに終始してしまいますよね。
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横に逸れますが (megumi)
2017-08-29 20:41:26
コウジさん  こんばんは。

韓国版の「ごめん 愛してる」は ドラマとしては雑な面もあります。
秀作かと問われれば さて どうでしょう。
でも すごく心に響くんです。
音楽も「雪の華」(元歌は中島美嘉さん)で合っていました。
私はドラマ好きなくせにドライな感想を持ちがちなのですが
見終わった後は放心して 毎日 思い出しては泣いてばかりいました。
男性には どう映るか分かりませんが・・・。
16話のミニシリーズですので 機会があれば どうぞ。

日本版リメイクは 別物だと見切って最初から見ませんでした。
あの素晴らしい余韻を壊されたくない思いが強かったのです。


直虎に関してですが
政次は実在の人物なので死なせるしか無かったと思いますが
龍雲丸は架空ですから何でも有りでしょう。
直虎が彼と恋に落ちたりしたらイヤなので 来週から見るまいと思います。
政次(森下版)が不憫過ぎますから・・・。(笑)
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見比べ (コウジ)
2017-08-30 11:04:47
megumiさん

「ごめん 愛してる」に関しては、韓国版と見比べてみるという手はありますね。
日本版と、どこがどう違うのか?
megumiさんの言う「素晴らしい余韻」とは何なのか?

龍雲丸は生き残ると考える方が多いようですね。
僕としては、直虎の成長のためには、彼の死も必要かと思ってしまいましたが。
さて森下さんはどう描くんでしょうね。
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何度もすみません (megumi)
2017-08-30 16:30:51
コウジさん  こんにちは。

見比べる必要は無いと思いますよ。
時間が勿体無いです。

日本版を見てもいない私が言うのもおかしいですが
お国柄や時代背景もまるで違うのに あの世界観は出せません 無理です。
2005~2011年まで 韓国ドラマを飽くほど見ましたが
あれほどの衝撃はなかなか・・・。
韓国版もドラマとしての粗は有るんですよ。
でも 好き!
「ごめん 愛してる」は 韓国語で「ミアナダ サラハンダ」(年下に向かって言うため口的な言い方)です。
その頭文字の音を取って『ミサ廃人』がたくさん出たというのも頷けます。

私も 見るまでは小馬鹿にしていましたが 
ネットの友人がしっかり勧めるし ビデオテープまで送って来たので しぶしぶ見ました。
そしたら しっかり心を掴まれました。
音楽を聴くだけで涙がこぼれました。
(リアル友人は車の中で聴くと 涙で運転ができなくて困ると言ってました)


龍雲丸も死んだ方がいいと思いますが 何か悪い予感・・・恋に落ちそう。
来週は予告編になつが居たようなので 見るかなぁ。(笑)
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ミサ廃人 (コウジ)
2017-08-31 08:52:34
megumiさん

>見比べる必要は無いと思いますよ。
じゃあ、見るのをやめようかな~←全然、自分の意思がない!(笑)
日本版は、吉岡里帆さんが出ていたから、途中まで見ていたんですけどね。

『ミサ廃人』という言葉があるんですか。
世の中には、静かなブームというのがあるんですね。
一方、『廃人』なれるほど、のめり込めるものがあるのは素晴らしい。
以前も書きましたが、僕は最近、そういう作品に出会えていないんです。
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