膵臓の病で余命幾ばくもない山内桜良(浜辺美波)。
他人が自分の領域に入るのがイヤで他人を拒んでいる「僕」(北村匠海)。
そんな「僕」の心の中に桜良はズケズケと入ってくる。
他人を拒み、一定の距離を保っている「僕」は、膵臓の病のことを知っても気を遣ったり、悲しんだりしないからだ。
これが親友の恭子(大友花恋)だったら泣き叫んで、桜良は否応なしに『自分が死ぬ存在であること』を認識してしまう。
死を前にした人間にとって、気を遣われたり、哀しい顔をされることは逆につらいのだ。
一方、「僕」はいつもと同じ距離とそっけない態度で自分に接してくれる。
桜良にとって「僕」は普通の日常を与えてくれる存在であった。
桜良はそんな「僕」と『死ぬまでにやりたいこと』を実行していく。
…………
この作品、録画していてお涙頂戴の「闘病もの」かと思って放置していたが、実際に観てみると必ずしもそうではない。
むしろ「僕」の成長物語だった。
「君、先生になりなよ」
「みんなと友だちになる練習をしよう!」
「真実か挑戦かゲームをやろう」
「僕」が桜良から学んだことは『他人と向き合うこと』だった。
他人を拒む「僕」は教室でいつもひとりで本を読んでいる。
必要なことしか話さないし、得意なのは図書委員の仕事(=図書館の本の分類をすること)だ。
「君にとって生きるってどういうこと?」と問われた桜良はすこし考えて、こう答える。
「誰かと心を通わせること。
誰かを好きになったり、嫌いになったり、
手を繋いだり、ハグしたり、すれ違ったり。
楽しいのに鬱陶しくて、好きなのに嫌いで、まどろっこしいんだけど、それがわたしの生きている証明」
桜良が人間関係のマイナスの部分、面倒くさい部分も肯定している所が興味深い。
死にゆく人間にとっては、自分の目の前で起こることすべてが愛おしいのだ。
死を目前にしていない人間は、このことになかなか気づかない。
桜良も「僕」と関わることで得られる日常に救われていた。
「僕」は心を閉ざしているので、なかなか心を通わせることができなかったが、桜良にとっては、それが面白くて楽しい時間だった。
「僕」の心がすこしずつ開いて、ふたりの距離が縮まっていくのも喜びだった。
ネタバレになるので書かないが、
桜良が最後に語った言葉なんか、せつないんだけど、歓喜にあふれていてせつなさを圧倒してしまう。
ハードディスクの録画を消さなくてよかったと思える作品でした。
心の栄養、ビタミンをもらった作品でした。
他人が自分の領域に入るのがイヤで他人を拒んでいる「僕」(北村匠海)。
そんな「僕」の心の中に桜良はズケズケと入ってくる。
他人を拒み、一定の距離を保っている「僕」は、膵臓の病のことを知っても気を遣ったり、悲しんだりしないからだ。
これが親友の恭子(大友花恋)だったら泣き叫んで、桜良は否応なしに『自分が死ぬ存在であること』を認識してしまう。
死を前にした人間にとって、気を遣われたり、哀しい顔をされることは逆につらいのだ。
一方、「僕」はいつもと同じ距離とそっけない態度で自分に接してくれる。
桜良にとって「僕」は普通の日常を与えてくれる存在であった。
桜良はそんな「僕」と『死ぬまでにやりたいこと』を実行していく。
…………
この作品、録画していてお涙頂戴の「闘病もの」かと思って放置していたが、実際に観てみると必ずしもそうではない。
むしろ「僕」の成長物語だった。
「君、先生になりなよ」
「みんなと友だちになる練習をしよう!」
「真実か挑戦かゲームをやろう」
「僕」が桜良から学んだことは『他人と向き合うこと』だった。
他人を拒む「僕」は教室でいつもひとりで本を読んでいる。
必要なことしか話さないし、得意なのは図書委員の仕事(=図書館の本の分類をすること)だ。
「君にとって生きるってどういうこと?」と問われた桜良はすこし考えて、こう答える。
「誰かと心を通わせること。
誰かを好きになったり、嫌いになったり、
手を繋いだり、ハグしたり、すれ違ったり。
楽しいのに鬱陶しくて、好きなのに嫌いで、まどろっこしいんだけど、それがわたしの生きている証明」
桜良が人間関係のマイナスの部分、面倒くさい部分も肯定している所が興味深い。
死にゆく人間にとっては、自分の目の前で起こることすべてが愛おしいのだ。
死を目前にしていない人間は、このことになかなか気づかない。
桜良も「僕」と関わることで得られる日常に救われていた。
「僕」は心を閉ざしているので、なかなか心を通わせることができなかったが、桜良にとっては、それが面白くて楽しい時間だった。
「僕」の心がすこしずつ開いて、ふたりの距離が縮まっていくのも喜びだった。
ネタバレになるので書かないが、
桜良が最後に語った言葉なんか、せつないんだけど、歓喜にあふれていてせつなさを圧倒してしまう。
ハードディスクの録画を消さなくてよかったと思える作品でした。
心の栄養、ビタミンをもらった作品でした。
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