平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

天地人 第46回「大坂城炎上」

2009年11月17日 | 大河ドラマ・時代劇
 「慈悲の心が刀に勝った」

 確かに勝ったのだろうけれど、勝ったのは淀(深田恭子)であり、秀頼であり、幸村(城田優)。
 兼続(妻夫木聡)が勝ったのではない。
 家康(松方弘樹)に「約束など昔のこと。すべては徳川の世を盤石にすること」と本音を聞かされても動かない。
 それどころが「慈悲の心をもって豊臣の義を示せ。天下人のまことの義を示せ」と偉そうなことを言っている。
 だから兼続にこう言いたい。
 義を示すために他人をけしかけるな。使うな。
 あくまで生きることを説け。
 義を示したいなら自分が行え。上杉の家老職を捨てて大坂城で戦え。
 そうすれば福島(石原良純)たちもついてきたかも知れない。
 一応、兼続が知謀の将なら大坂城の堀も埋められず、何とか和平に持ち込み豊臣家は存続したかもしれない。
 史実とは違ってしまうが、これがこの物語の文脈。

 また、自分が大坂城で戦うことが出来ないのなら、兼続はもっと悩め。
 福島のように家康に蹴り飛ばされて「お許し下さい、太閤殿下」と叫べ。
 兼続より福島の方がずっと立派だ。
 ところが兼続は「正義をふりかざしても流血を増すのみ」、お産になぞらえて「新しい世の産みの苦しみ」などとわかったようなことを言っている。
 完全に評論家。
 また「かなわぬ夢もある」「次の世でかなえてほしい」と完全に世捨て人。
 兼続はすでに55歳らしいが、もっとあがかなくては! 戦わなければ!
 もっとも、まわりが「兼続は素晴らしい」「さわやか」「なかなかの男」とほめてばかりだから、気づかないんでしょうね。

 「天地人」の兼続は大河史上、最低最悪の主人公である。
 評論家で、目の前に敵がいても世捨て人を決め込む。
 おまけに<慈悲の義>を示すために他人を利用するなんて。
 この作家は一体何を考えているのか?
 敢えてこの慈悲の義を示すという物語でやるなら、淀たちが自発的に千姫を助けるべきだったでしょうね。
 兼続はかかわらない。
 そのことを知って「さすが。慈悲の心をもって秀頼様はまことの天下人になられた」と言うのみ。
 その方が史実に合ってる気がするし。
 というわけで墓の下の兼続は怒っているでしょうね。
 「わしはこんな厚顔無恥なやつではない」と。



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6 コメント

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ハァ??? (平ちゃん)
2009-11-17 16:46:56
コウジさん

案の定、兼続が千姫を助けちまいました(笑)

立派な裏切り者である上杉・直江に「義」を組み込もうとこじつけた結果、兼続の「慈悲の心が刀に勝った。」というセリフが出てきた。素直に認めてしまえば潔いのに‥‥「家と領土の民を守るためなら手段は選ばない。悪魔にでも魂を売る」と。

それにしても、「天地人」の大坂の陣はちゃちかった。ほとんど宮本信子の説明で済まされた。城田幸村が奮戦するシーンもなく心に響かなかった。気の毒な城田幸村‥。駅etcにあったポスターで騒いでいた割に子供騙しだった。

あと、前々から思っていたこと‥。このドラマを観ていると、家康のことがどんどん嫌いになる。あの悪代官調、歌舞伎のような話し方。この偏り様、作者が徳川方を嫌っているように思えてならない。この大河が終わるまでに、一体何割くらいの人が徳川から離れていくだろう(悲)

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「偉丈夫」だった兼続 (TEPO)
2009-11-17 17:19:11
>墓の下の兼続は怒っているでしょうね。

私は怒りたくないのですでに破綻している本編には触れずに総括的考察を続けます。今回は妻夫木兼続のミスキャスト論。これまでコウジさんや私が書いてきたことを繰り返すのではなく一点事実を指摘するにとどめます。
Wikiによると「『歴史サスペンス劇場』で紹介された際には、豊臣秀吉154cm、徳川家康157cm、織田信長169cmであるのに対し直江兼続は180cm以上であった」とのこと。「墓の下の兼続」は偉丈夫だったようです。妻夫木さんは171cmで現代青年としてはけっして大柄ではありません。目の保養のために美男美女を見たいという層-この人たちが高視聴率を支えている-も配慮するならば、たとえば今回幸村を演じた城田優さん(189cm)を起用する手もあったように思います。
秀吉や家康の前に大人しく控えているだけだとしても、体が大きければビジュアルにも迫力があり、随分と雰囲気が違っていたのではないかと思います。
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有り難や、有り難や (コウジ)
2009-11-18 12:11:52
平ちゃんさん

いつもありがとうございます。
千姫を助けてしまいましたね。
ここで兼続をヒーローにしてはいけないのに。
秀忠の世に期待するから、徳川に味方するという理屈もひどかった。
それに家康が兼続の手を取って「有り難や、有り難や」ということも。
ここまで悪で描かれた家康なら、もっと非情でこれはやらないと思います。

幸村の活躍。
1カットだけ、いい絵がありましたね。
真田丸から戦況を見ている幸村。
数万の兵士の動くCGがすごくよかった。
CGの時代ならではですね。
でもその他は……?

また、これは意見の分かれる所でしょうが、大坂の陣でお決まりの<秀頼と淀が自刃する>シーンが欲しかったですね。
彼らはどんな気持ちで死んでいったかを具体的に描いてほしかった。
今回の文脈からすると、晴れ晴れとした気持ちで死んでいったのでしょうが、それを見たかったです。

徳川支持派の我々としてはこの家康の描かれ方はきついですよね。
歴史を見る立場が違うと、こんなに人物像が違ってくるのかといういい例ではありましたが。

次回は最終回。
どうまとめてくるのか、ある意味楽しみですね。
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そうだったんですか (コウジ)
2009-11-18 12:24:08
TEPOさん

いつもありがとうございます。
兼続は180cm以上の偉丈夫。
そうだったんですか。
まあ、この作品の兼続は完全にアレンジされた形の兼続なので仕方がないのですが、現実派で偉丈夫の兼続を見てみたい気もします。
おっしゃるとおり、他の武将と並んだ時の視聴者の印象も違って来ますよね。
脚本家も<偉丈夫>を意識して書けば、また違って来たかもしれません。
やはりキャスティングは大事ですよね。

ところで兼続は55歳と言っていましたが、全く55歳に見えなかったですね。
若すぎる。30代ぐらいにしか見えなかった。
貫禄というのは人生の年輪を重ねて生まれるものでしょうが、脚本の浅い描き込みのせいで、妻夫木さんは人生の年輪を実感できず、こうなってしまったのかもしれませんね。

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こんにちは (aoi)
2009-11-21 09:55:42
全くその通り…と思ってコメントとTBさせていただきました。

コント大河ですよね。
そもそも兼続って秀吉のことを悪く言ってたのにいつの間にか豊臣の義って…。
行き当たりばったりの言動の連続で目眩がします。
松方さんの演技力をかなり疑ってしまうのですが、これは脚本と演出する側が悪いんでしょうね。
見事に誰にも得になってないドラマだと思います。笑

こんな物作るのにNHKは受信料取ってるのかと思うと腹立たしいです。
次回作は幕末という流れといい、今のNHKは「江戸幕府=悪的」な昔の時代劇みたいな偏向がありますけど、作ってる人達のおつむが古いんでしょうか。
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ありがとうございます (コウジ)
2009-11-21 11:13:14
aoiさん

コメント、TBありがとうございます。
>行き当たりばったりの言動の連続で目眩がします。
そうなんですよね。
なので僕はずっと思っていたのですが、<兼続はあくまで生き残るための現実路線をとっている人物>という形で描かれるべきでしたね。
そうすれば一貫した。
なのに<義>とかを持ち出して。

来年の「龍馬」はどうなるんでしょうね。
僕は龍馬ファンなので、これを今回みたいに描かれるとつらい。
「JIN」の内野龍馬がいいから、がんばってほしいのですが。

ともかく迷いながらも進む一貫した人物像を描いてほしいです。

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