何も引っかからなかったなぁ。
主人公の結婚話だったんですけどね。
フツーはすごく盛り上がるはず。
原因は、
よくある恋愛ドラマのパターンに、美和(井上真央)と楫取(大沢たかお)を当てはめただけだからだ。
お互いに惹かれ合っているが、ふたりは亡き夫や妻や姉への思いがあり、なかなか一歩踏み出せない。
迷った末の、楫取のプロポーズのせりふがこれ。
「私が寿を忘れられんようにお前も久坂のことが忘れられるわけがない。
これ(手紙)はずっと持っておればええ。
いっしょにやって行こう。私の妻になってほしい」
完全に、どこかにあったせりふをコピペしたようなテンプレせりふだ。
これを、高橋留美子先生の名作『めぞん一刻』と比較してみよう。
五代君との結婚が決まって、響子さんが亡き夫・惣一郎さんの遺品を返そうとする時のやりとりだ。
まず、五代君は墓の前で惣一郎に語りかける。
五代「正直いって、あなたが妬ましいです…。
遺品を返したところで、響子さん、絶対にあなたのことを忘れないと思う。
…忘れるとか…そんなんじゃない…あなたはもう響子さんの心の一部なんだ…。
だけど、俺、なんとかやっていきます。
初めて会った日から響子さんの中に、あなたがいて、そんな響子さんを俺は好きになった。
だから…あなたもひっくるめて、響子さんをもらいます」
おおーーーっ、何と泣けるせりふだ!
大河ドラマの脚本家なら、これくらいのせりふを書いてほしい。
単なるきれいごとでなく、「あなたが妬ましい」と負の感情を言わせることで、せりふにリアリティが出て来る。
さらに、ここで上手い所は、五代の話を少し離れた場所で、響子が隠れて聞いているという状況設定にしたことだ。
響子を前にしていたら、さすがに五代は「妬ましい」と本音を言えないし、「あなたもひっくるめて、響子さんをもらいます」などと恥ずかしいことも言えない。
一方、響子も隠れて聞いているから、五代の大きな愛を知って、心の中でこうつぶやける。
響子「惣一郎さん…あたしがこの人に会えたこと、喜んでくれるわね?」
遺品返還をめぐる作劇も上手い。
響子は惣一郎の墓前に語りかける。
響子「惣一郎さん、あなたの遺品…これからお義父さんにお返ししてきます」
五代「あの…響子さん、遺品ね、無理に返さなくても…」
響子「いいの。これでいいの」
響子は結局、亡き夫の遺品を返すわけだが、これは五代といっしょに生きていく決意を表している。
だから、以下のせりふがせつない。
桜の花びらが舞い散る墓前で、響子、五代と手を繋いで
響子「あたし、あなたに会えて、本当によかった」
そして、青空をバックに
響子「…さようなら、惣一郎さん…」
つらいけれど、前に進もうとする響子の気持ちを見事に描き出している。
なのに美和は、
美和「はい。よろしくお願いします」
この違いは何かというと、作家が主人公たちに感情移入してるかどうかなのだろう。
おそらく高橋先生は五代君と響子さんになりきって、彼らが何をしゃべり出すかを耳を澄まして聞いている。
一方、この大河ドラマの脚本家は、テンプレせりふを楫取ふうにアレンジして、それで終わり。
プロポーズにふさわしい状況設定をつくりだす工夫もしない。
テンプレートで、単にストーリーを追いかけるだけの脚本はやめてほしい。
主人公の結婚話だったんですけどね。
フツーはすごく盛り上がるはず。
原因は、
よくある恋愛ドラマのパターンに、美和(井上真央)と楫取(大沢たかお)を当てはめただけだからだ。
お互いに惹かれ合っているが、ふたりは亡き夫や妻や姉への思いがあり、なかなか一歩踏み出せない。
迷った末の、楫取のプロポーズのせりふがこれ。
「私が寿を忘れられんようにお前も久坂のことが忘れられるわけがない。
これ(手紙)はずっと持っておればええ。
いっしょにやって行こう。私の妻になってほしい」
完全に、どこかにあったせりふをコピペしたようなテンプレせりふだ。
これを、高橋留美子先生の名作『めぞん一刻』と比較してみよう。
五代君との結婚が決まって、響子さんが亡き夫・惣一郎さんの遺品を返そうとする時のやりとりだ。
まず、五代君は墓の前で惣一郎に語りかける。
五代「正直いって、あなたが妬ましいです…。
遺品を返したところで、響子さん、絶対にあなたのことを忘れないと思う。
…忘れるとか…そんなんじゃない…あなたはもう響子さんの心の一部なんだ…。
だけど、俺、なんとかやっていきます。
初めて会った日から響子さんの中に、あなたがいて、そんな響子さんを俺は好きになった。
だから…あなたもひっくるめて、響子さんをもらいます」
おおーーーっ、何と泣けるせりふだ!
大河ドラマの脚本家なら、これくらいのせりふを書いてほしい。
単なるきれいごとでなく、「あなたが妬ましい」と負の感情を言わせることで、せりふにリアリティが出て来る。
さらに、ここで上手い所は、五代の話を少し離れた場所で、響子が隠れて聞いているという状況設定にしたことだ。
響子を前にしていたら、さすがに五代は「妬ましい」と本音を言えないし、「あなたもひっくるめて、響子さんをもらいます」などと恥ずかしいことも言えない。
一方、響子も隠れて聞いているから、五代の大きな愛を知って、心の中でこうつぶやける。
響子「惣一郎さん…あたしがこの人に会えたこと、喜んでくれるわね?」
遺品返還をめぐる作劇も上手い。
響子は惣一郎の墓前に語りかける。
響子「惣一郎さん、あなたの遺品…これからお義父さんにお返ししてきます」
五代「あの…響子さん、遺品ね、無理に返さなくても…」
響子「いいの。これでいいの」
響子は結局、亡き夫の遺品を返すわけだが、これは五代といっしょに生きていく決意を表している。
だから、以下のせりふがせつない。
桜の花びらが舞い散る墓前で、響子、五代と手を繋いで
響子「あたし、あなたに会えて、本当によかった」
そして、青空をバックに
響子「…さようなら、惣一郎さん…」
つらいけれど、前に進もうとする響子の気持ちを見事に描き出している。
なのに美和は、
美和「はい。よろしくお願いします」
この違いは何かというと、作家が主人公たちに感情移入してるかどうかなのだろう。
おそらく高橋先生は五代君と響子さんになりきって、彼らが何をしゃべり出すかを耳を澄まして聞いている。
一方、この大河ドラマの脚本家は、テンプレせりふを楫取ふうにアレンジして、それで終わり。
プロポーズにふさわしい状況設定をつくりだす工夫もしない。
テンプレートで、単にストーリーを追いかけるだけの脚本はやめてほしい。
ここ数回「舞台裏」の話ばかりしていますが、おそらく当初の脚本家たちが「降りて」しまい、小松さんしか引き受け手がいなかった、というコウジさんの推察どおりなのだろうと思います。
しかし「あの」小松さんなので、なまじ作品への思い入れがないのことが却って幸いして「天地人」の時みたいな破綻を来さずに済んでいるのではないか、とも思います。
その代わり、素人にでも書ける平板なテンプレート展開になってしまうのでしょう。
ところで、今回私は「とうとう仁先生が咲さんに告白した」かのような錯覚を覚えました。
話は変わりますが、今年の「紅白」紅組の司会はその咲(NHK的には八重)の綾瀬はるかさんに決まったそうですね。
最近では大河もしくは上半期の朝ドラのヒロインが起用されるのが慣例なのだそうですが、井上さんは落選したのか、遠慮したのか……。
研究熱心な綾瀬さんは編集のきくドラマや映画では演技力のある女優さんですが、生放送向きでないことは一昨年の紅白で立証済みなのに……。
他方、井上さんにはかつて朝ドラ経由で立派に紅組司会の役を果たした実績があるのに……。
とにかく井上さんには気の毒なことです。
彼女は脚本の犠牲者であり、脚本家さんたちにしても結局のことろ企画の犠牲者だったと思います。
いつもありがとうございます。
おっしゃるとおり、<破綻>はないんですよね。
極めて安全運転。
あらかじめ作ったプロットどおりに話を進めて、主人公や登場人物たちの気持ちを深く掘り下げようとしない。
寿や久米次郎なんかの気持ちを掘り下げたら、物語が破綻してしまいますからね。
深い芝居が出来ない井上真央さんらが本当に気の毒です。
紅白の紅組の司会は綾瀬さんなんですね。
井上真央さんでいいのに。
審査員やゲストとしてでも呼ばれないんですかね。
NHKには、『花燃ゆ』の低迷の原因を、「井上真央には華がなかった。綾瀬はるかだったら……」と考えている幹部がいるそうですが、そんなことが関係しているのかもしれません。
企画決定に関しては、一部週刊誌の報道と僕の安倍嫌いに拠るものなので明確な根拠はありませんが、政治的なものが働いた感じは否めませんよね。
テレビ東京では、『花燃ゆ』が決定したためボツになった『信長燃ゆ』が新春ドラマとしてオンエアされるようですが、どのような切り口で信長を描いているのか興味があります。