こういう青年の成長物語って好きです。
内容はベタですけどね。
たつ(南沢奈央)を亡くして仇討ちを主張する官兵衛(岡田准一)。
怒りの感情をどこにぶつけていいかわからない。
命を捨ててもいいと思っている。
この気持ちを清算するため、父・職隆(柴田恭兵)は堺に鉄砲買い付けにいくことを命じる。
旅は青年を成長させる。
その道中で官兵衛が見たものは、至る所にあるいくさの悲惨、民の苦しみ、追い剥ぎなどの人心の乱れ。
面白い人物にも出会った。
浪人・荒木村重(田中哲司)は諸国を旅して天下の情勢をうかがっている。この乱世を、北条早雲や斎藤道三のように自分が浮かび上がる好機と考えている。
堺には新奇なもの、面白いものが溢れている。
堺の豊かさの裏には、いくさによって得ている利益があることを知り、うわさの織田信長(江口洋介)は鉄砲を買い集めていることを知る。
そしてキリスト教という新しい思想。
どんどん動いている世の中を見て、官兵衛は思う。
「世界はとてつもなく広い。俺にはわからないことばかりだ」
官兵衛は、自分が小さな世界に生きていたことを知り、小さなことにとらわれていたことを感じる。
世の中にはいろいろな人間がいて、面白おかしく、未来に向かって全力で生きていることも。
気持ち次第で、人生の見え方は大きく変わってくることも。
哲学者ソクラテスは<無知の知>(=自分は何も知らないということを知っているから賢い)と唱えたが、知らないということは無限にさまざまなことを吸収できるということだ。
自分の考えに凝り固まってしまうと、新しい考え方を受け入れられなくなってしまう。
さて、ここで、信長と官兵衛の比較。
信長は、斎藤道三の仇を討ってほしいというお濃(内田有紀)に対し、「仇討ちなど下らぬ」と返した。
信長にとっては<仇討ち>など小さなことで、<新たな秩序の世の中をつくること>の方が重要なのだ。
この点で、信長は官兵衛より大きく、一歩前を歩いている。
竹中半兵衛(谷原章介)に関しても、信長は<利より義にこだわる男>として評価している。
この竹中半兵衛評は、官兵衛の父・職隆に通じるものがある。
職隆もまた赤松に「播磨国半国を与えるから寝返れ」と誘われて断った。
半兵衛=職隆。
おそらく官兵衛は父・職隆から学んだように半兵衛からも多くのことを学んでいくのであろう。
最後に官兵衛。
官兵衛は摂津にいく路銀をほしいと頼んできた荒木村重に予想外のお金を渡した。
おそらくこのことを村重は忘れないだろう。
<小寺官兵衛>という名前がしっかり頭に刻まれたはずだ。
お金に苦労したことのないお坊ちゃんと言ってしまえばそれまでだが、これを気持ちよく無意識に出来ることがすごい。
また、このお金はめぐりめぐって、別の形で官兵衛の所に返って来るであろう。
人生の収支とはこういうことだ。
だから一時的な欠損や失敗を必要以上に嘆かなくていいし、物事は長い目で見ることが大切なんだと思う。
内容はベタですけどね。
たつ(南沢奈央)を亡くして仇討ちを主張する官兵衛(岡田准一)。
怒りの感情をどこにぶつけていいかわからない。
命を捨ててもいいと思っている。
この気持ちを清算するため、父・職隆(柴田恭兵)は堺に鉄砲買い付けにいくことを命じる。
旅は青年を成長させる。
その道中で官兵衛が見たものは、至る所にあるいくさの悲惨、民の苦しみ、追い剥ぎなどの人心の乱れ。
面白い人物にも出会った。
浪人・荒木村重(田中哲司)は諸国を旅して天下の情勢をうかがっている。この乱世を、北条早雲や斎藤道三のように自分が浮かび上がる好機と考えている。
堺には新奇なもの、面白いものが溢れている。
堺の豊かさの裏には、いくさによって得ている利益があることを知り、うわさの織田信長(江口洋介)は鉄砲を買い集めていることを知る。
そしてキリスト教という新しい思想。
どんどん動いている世の中を見て、官兵衛は思う。
「世界はとてつもなく広い。俺にはわからないことばかりだ」
官兵衛は、自分が小さな世界に生きていたことを知り、小さなことにとらわれていたことを感じる。
世の中にはいろいろな人間がいて、面白おかしく、未来に向かって全力で生きていることも。
気持ち次第で、人生の見え方は大きく変わってくることも。
哲学者ソクラテスは<無知の知>(=自分は何も知らないということを知っているから賢い)と唱えたが、知らないということは無限にさまざまなことを吸収できるということだ。
自分の考えに凝り固まってしまうと、新しい考え方を受け入れられなくなってしまう。
さて、ここで、信長と官兵衛の比較。
信長は、斎藤道三の仇を討ってほしいというお濃(内田有紀)に対し、「仇討ちなど下らぬ」と返した。
信長にとっては<仇討ち>など小さなことで、<新たな秩序の世の中をつくること>の方が重要なのだ。
この点で、信長は官兵衛より大きく、一歩前を歩いている。
竹中半兵衛(谷原章介)に関しても、信長は<利より義にこだわる男>として評価している。
この竹中半兵衛評は、官兵衛の父・職隆に通じるものがある。
職隆もまた赤松に「播磨国半国を与えるから寝返れ」と誘われて断った。
半兵衛=職隆。
おそらく官兵衛は父・職隆から学んだように半兵衛からも多くのことを学んでいくのであろう。
最後に官兵衛。
官兵衛は摂津にいく路銀をほしいと頼んできた荒木村重に予想外のお金を渡した。
おそらくこのことを村重は忘れないだろう。
<小寺官兵衛>という名前がしっかり頭に刻まれたはずだ。
お金に苦労したことのないお坊ちゃんと言ってしまえばそれまでだが、これを気持ちよく無意識に出来ることがすごい。
また、このお金はめぐりめぐって、別の形で官兵衛の所に返って来るであろう。
人生の収支とはこういうことだ。
だから一時的な欠損や失敗を必要以上に嘆かなくていいし、物事は長い目で見ることが大切なんだと思う。
いかにもコウジさんらしいご感想だと思いました。
私も、「軍師」を看板とする知将官兵衛にして、若い頃には感情に流される時期もあったのか、と思って見ていました。しかし……
ある他ブログによると、官兵衛の姉妹が婚礼当夜の敵襲で落命したのは史実なのだそうです。ただし、それは官兵衛の実の妹だったらしいのですが。
だとすると、「実の妹」を「初恋・幼なじみの許嫁」に改変したところが作者の創作ということになります。
おそらく、この時期の官兵衛に「青春物語」が必要だ、という理由からこの創作がなされたのだと思います。
先週、赤松氏が策士だと書きましたが、実は作家さんの方がなかなかの仕掛け人だと見ました。
それだけの仕掛けを張ることによって作者が意図したのは話を「ベタな」王道に乗せることだったわけです。
しかも、視野を広げる「成長物語」の中で、荒木村重、今井宗久と堺の街、宗久を介して間接的に信長・秀吉、そしてフロイスにまで出会わせており、これでもか、と言わんばかりに効率的に伏線を詰め込んでいます。
期待できる構成力だと思いました。
おっしゃるとおり、今回の作家さんは巧みですね。
荒木村重なども、ここで登場させている。
人物の配置、描かれ方にムダがなく、昨今の大河のような行き当たりばったり(?)はなさそうです。
主人公・官兵衛も正統派の主人公で、坂口安吾が『二流の人』で描いたような屈折はなさそうですね。
本当に安心して楽しめる大河ですが、前回も書きましたが、深みが……。
これを機会に、安吾の『二流の人』と司馬遼太郎の『播磨灘物語』を読み返して、比べてみようと思っています。