平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

いだてん 第24回 「種まく人」~四三、韋駄天として被災地を走りまわる! シマのまいた種は人見絹江という形で芽吹いた!

2019年06月24日 | 大河ドラマ・時代劇
「ぬしは韋駄天が何の神様か知らんとか?
 人々んために走って食いもんば集めて運んだ神様たい」

 災害の際、まず必要なのは『食べること』だ。
 だから四三(中村勘九郎)は食べ物を担いで走る。
 雨露をしのぐ住処はとりあえずバラック・仮設住宅。

 お腹がある程度ふくれてくると、今度は『心』を満たすことだ。
 ここで登場するのが『娯楽』『芸能』。
 だから孝蔵(森山未來)はしゃべる。
 しゃべってみんなを笑わせる。
「復興節」という歌も自然発生した。

 四三や治五郎先生(役所広司)も動いた。
「復興運動会」
 運動会でお祭り騒ぎをする。
 体を動かしてクタクタになれば夜はぐっすり眠れる。

 大自然に比べれば人間は無力でちっぽけな存在だが、こうして圧倒的な自然をいなして克服してきた。
 自然を憎んだりするのではなく、まずは受け入れ、すこしずつ立ち上がる。
 よろける脚でまずは一歩を踏み出す。
「逆らわずして勝つ」とはまさにこのことだ。

 増野(柄本佑)のように、人々がよろよろと歩くことしかできない中、走れる四三はやはりすごいな。
 走ることで食物だけでなく元気も与えている。
 まさに韋駄天。
 もっともスヤ(綾瀬はるか)に言わせれば、四三は神様なんかじゃなく「バカが走ってるから皆が笑ってる」だけらしいが(笑)


 すべてが失われた大地。
 しかし、そこには種がまかれる。
 シマ(杉咲花)のまいた種は、人見絹江(菅原小春)という形で芽吹いた。
「女子スポーツの普及が今の私の生きがいです」という想いが人見絹江を動かした。

 種をまくことは誰にでもできる。
 四三の場合は走ることで、孝蔵はしゃべることで、シマは手紙を書くことだったが、自分たちにできることをやればいい。
 では僕たちはどんな種をまくのだろう?

 一編の詩のようなエピソードでしたね。
 韋駄天という神様を描いた叙事詩。

 戦争で東京はもう一度焼け野原になるんだけど、人々はまたもや立ち上がった。
 オープニングで四三が復興した東京の街を楽しそうに見るシーンがあるが、やっとその意味がわかった。
 復興してオリンピックをやれる喜び。
 これが四三の笑顔の理由なのだ。
 もっとも四三や治五郎先生の願った東京オリンピック開催は、太平洋戦争を経て1964年まで待たねばならないようだが。


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2 コメント

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不在ゆえの存在感 (TEPO)
2019-06-24 18:49:41
「シマちゃん推し」の私としては、彼女の「不在ゆえの存在感」を味わいました。
もはや彼女の生還はないだろう、と割り切った上で。

まず、彼女を愛した(無論その「愛」の意味は相違する)二人の男性の前に「幻」の形で登場しました。四三には走る姿で、そして増野氏には応援席で手を振る姿で。
いずれの場面も、すでに「異界にいる存在」らしい美しい表情でした。そして

>シマのまいた種は、人見絹江という形で芽吹いた。
>「女子スポーツの普及が今の私の生きがいです」という想いが人見絹江を動かした。

シマの生前の活動の痕跡(書いた手紙)がこのタイミングで結実したという演出も見事で、真剣な表情で走る絹江、そして共にアンカーだった村田富江と完全に同着だった、というリレー劇を感動的なものにしました。

ところで、「あまりにも良い夫」である増野氏はこれまで「空気のような存在」と思っていましたが、ここに来て演じる柄本佑さんの演技力が光っているように思います。
特に、シマの幻を見ている時の表情と、シマが消えて幻だったことが判明した時の表情との落差が素晴らしい。

また、教員になってからのシマちゃんと高座の五りん君の髪型は同じで、顔もそっくりなことに気づきました。
その点まで計算してのキャスティングだったのでしょうか。

なお、上に「生前」(つまりシマの死は確定)と書きましたが、正確にはあくまでも「生死不明」です。
そしておそらくこの方が「不在」感は強い。
関東大震災でも、3.11でも、「不明」の方が圧倒的に多いんですよね。
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五りんのドラマ (コウジ)
2019-06-25 18:25:03
TEPOさん

いつもありがとうございます。

増野氏の表情、五りんの髪型。
よく見ていらっしゃいますね。
全く気づきませんでした。
五りんはシマのことを心に抱えて、志ん生のもとに来たようで、今後どのようなドラマが待っているのでしょう。

「生死不明」
実はこれが一番つらいのかもしれませんね。
遺体があれば諦めがつく。
手厚く葬ってあげることもできる。
前に進むこともできるかもしれない。
この点では増野氏のドラマにも期待です。

孝蔵が四三をしっかり認知したのは今回がはじめてかもしれませんね。
・物資を運んできた四三を見る孝蔵。
・落語「まんじゅう怖い」を演っていて、その前を四三が走り抜けていって「おい、サゲまでやらせろ」
これからは孝蔵シーンが意味を持ってくるんでしょうね。
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