野原に寝る
萩原朔太郎
この感情の伸びてゆくありさま
まっすぐにのびてゆく喬木(きょうぼく)のように
いのちの芽生(めばえ)のぐんぐんと伸びる
そこの青空へもせいのびをすればとどくように
せいも高くなり胸はばも広くなった
たいそううららかな春の空気をすいこんで
小鳥たちが食べものをたべるように
愉快で口をひらいてかはゆらしく
どんなにいのちの芽生たちが伸びてゆくことか
草木は草木でいっさいに
ああ どんなにぐんぐん伸びてゆくことか
ひろびろとした野原にねころんで
まことに愉快な夢をみつづけた
………………………………………………
5月──新緑の季節、世界が生命力であふれる時だ。
朔太郎は野原に寝転がり、光輝く生命力を感じている。
自然と調和して、自然の一部になった朔太郎。
ここには「個」の苦悩や孤独はない。
萩原朔太郎の旅の詩と言えば、
「ふらんすへ行きたしと思へども
ふらんすはあまりに遠し」
で始まる「旅上」が有名だが、こんな詩もある。
………………………………………………
閑雅(かんが)な食慾
萩原朔太郎
松林の中を歩いて
あかるい気分の珈琲店(カフェ)をみた。
遠く市街を離れたところで
だれも訪づれてくるひとさへなく
林間の かくされた 追憶の夢の中の珈琲店である
をとめは恋恋の羞(はじらい)をふくんで
あけぼののように爽快な別製(べっせい)の皿を運んでくる仕組
私はゆったりとふおうくを取って
おむれつ ふらいの類(たぐい)を喰べた。
空には白い雲が浮んで
たいそう閑雅な食慾である。
………………………………………………
ファンタジックですね。
・林の中のあかるい気分の珈琲店
・恥じらいを含んだ乙女のウエトレス
・ゆったりとフォークで食べるオムレツ
・空には白い雲
情景が浮かんで来る。
ゆったりとして、穏やかで、光輝いて、清らかで──
朔太郎はここでも世界との調和を感じている。
野原をさまよい歩いたら、こんな珈琲店に出会うかもしれません。
野原に寝転がったら、あふれ出る世界の生命力を感じるかもしれません。
せっかくのいい季節ですから、山野を歩いてみましょう!
萩原朔太郎
この感情の伸びてゆくありさま
まっすぐにのびてゆく喬木(きょうぼく)のように
いのちの芽生(めばえ)のぐんぐんと伸びる
そこの青空へもせいのびをすればとどくように
せいも高くなり胸はばも広くなった
たいそううららかな春の空気をすいこんで
小鳥たちが食べものをたべるように
愉快で口をひらいてかはゆらしく
どんなにいのちの芽生たちが伸びてゆくことか
草木は草木でいっさいに
ああ どんなにぐんぐん伸びてゆくことか
ひろびろとした野原にねころんで
まことに愉快な夢をみつづけた
………………………………………………
5月──新緑の季節、世界が生命力であふれる時だ。
朔太郎は野原に寝転がり、光輝く生命力を感じている。
自然と調和して、自然の一部になった朔太郎。
ここには「個」の苦悩や孤独はない。
萩原朔太郎の旅の詩と言えば、
「ふらんすへ行きたしと思へども
ふらんすはあまりに遠し」
で始まる「旅上」が有名だが、こんな詩もある。
………………………………………………
閑雅(かんが)な食慾
萩原朔太郎
松林の中を歩いて
あかるい気分の珈琲店(カフェ)をみた。
遠く市街を離れたところで
だれも訪づれてくるひとさへなく
林間の かくされた 追憶の夢の中の珈琲店である
をとめは恋恋の羞(はじらい)をふくんで
あけぼののように爽快な別製(べっせい)の皿を運んでくる仕組
私はゆったりとふおうくを取って
おむれつ ふらいの類(たぐい)を喰べた。
空には白い雲が浮んで
たいそう閑雅な食慾である。
………………………………………………
ファンタジックですね。
・林の中のあかるい気分の珈琲店
・恥じらいを含んだ乙女のウエトレス
・ゆったりとフォークで食べるオムレツ
・空には白い雲
情景が浮かんで来る。
ゆったりとして、穏やかで、光輝いて、清らかで──
朔太郎はここでも世界との調和を感じている。
野原をさまよい歩いたら、こんな珈琲店に出会うかもしれません。
野原に寝転がったら、あふれ出る世界の生命力を感じるかもしれません。
せっかくのいい季節ですから、山野を歩いてみましょう!
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