ミステリーにおけるミスリード。
読者や視聴者が真犯人や真相にたどりつかないようにするために、犯人らしき人や別の事件を設定すること。
今回は、それをやっていた。
まずは、仲川茂夫(志垣太郎)。
選挙に出る仲川は、過去の過失スキャンダルを隠蔽するために、それを公表しようとするかつてのクラスメイトを爆弾で殺そうとした。
ふたつめのミスリードは、元教師・岩田浩司(近藤正臣)。
岩田は、愛していた女性を死に追いやったかつての教え子に復讐するため、爆弾を仕掛けた。
いずれも『相棒』の作家さんが作り上げたミスリードである。
視聴者は、このミスリードで「犯人は仲川かしら?」「いや、岩田に違いない」などと思ってしまう。
だが、真相は別にある。
ところで、このふたつのミスリード、あまり説得力がない。
何しろ爆弾が爆発すれば、仲川も岩田も死んだり、重傷を負ったりしてしまうのだから。
リスクが大きすぎる。
もっとも教師・岩田の場合は、自分も死ぬ覚悟で、自殺するつもりで、爆弾を仕掛けたと考えることも出来る。
しかし、何も関係ない右京(水谷豊)や女生徒たちを岩田が道づれにするとは思えない。
これらの点で、今回のミスリードは失敗している。
犯人の人物像も疑問だ。
仲川に恨みがあるのなら、他の人を巻き込む爆弾など使わずに仲川だけを何とかすればいい。
むしろ今の時代、スキャンダルとして告発した方が、仲川のダメージは大きいだろう。
あるいは犯人は、インターネットで紹介されていたアメリカの『同窓会殺人事件』にヒントを得て、犯行を思いついたようだが、現実に実行してしまう短絡性は、実際の人間としてどうだろう?
犯人の頭が少しおかしくなっているのなら、別だが。(黒猫がいたり、表情が狂気で歪んでいたり、犯人にはそれを匂わせる描写がありましたけどね)
というわけで、今回の『相棒』については、いっぱい????がついてしまう。
冒頭の<お土産に爆弾があった>という掴みは面白かったが、爆弾事件という設定は間違っていたのではないか?
ドラマとしては<過去の罪を背負って生きる>ということ。
どうなんでしょうね、第三者だから言えることかもしれないのですが、岩田も仲川たちも早く告白した方がよかったのでは、と思ってしまう。
結局、誰にも言えず背負って生きることで、40年の歳月を<罪の意識>で後ろめたく過ごしてしまったわけだし。
なので、『同窓会』はもっと早く行われるべきだった。
早く行われて、「寿子先生が亡くなったのは僕たちのせいなんです」「いや、それは違う、実は私のせいなんだ」という会話がなされていたら、彼らの人生は変わっていたかもしれない。
人生は、ほんのわずかなことで悪くなったり良くなったりするんですね。
読者や視聴者が真犯人や真相にたどりつかないようにするために、犯人らしき人や別の事件を設定すること。
今回は、それをやっていた。
まずは、仲川茂夫(志垣太郎)。
選挙に出る仲川は、過去の過失スキャンダルを隠蔽するために、それを公表しようとするかつてのクラスメイトを爆弾で殺そうとした。
ふたつめのミスリードは、元教師・岩田浩司(近藤正臣)。
岩田は、愛していた女性を死に追いやったかつての教え子に復讐するため、爆弾を仕掛けた。
いずれも『相棒』の作家さんが作り上げたミスリードである。
視聴者は、このミスリードで「犯人は仲川かしら?」「いや、岩田に違いない」などと思ってしまう。
だが、真相は別にある。
ところで、このふたつのミスリード、あまり説得力がない。
何しろ爆弾が爆発すれば、仲川も岩田も死んだり、重傷を負ったりしてしまうのだから。
リスクが大きすぎる。
もっとも教師・岩田の場合は、自分も死ぬ覚悟で、自殺するつもりで、爆弾を仕掛けたと考えることも出来る。
しかし、何も関係ない右京(水谷豊)や女生徒たちを岩田が道づれにするとは思えない。
これらの点で、今回のミスリードは失敗している。
犯人の人物像も疑問だ。
仲川に恨みがあるのなら、他の人を巻き込む爆弾など使わずに仲川だけを何とかすればいい。
むしろ今の時代、スキャンダルとして告発した方が、仲川のダメージは大きいだろう。
あるいは犯人は、インターネットで紹介されていたアメリカの『同窓会殺人事件』にヒントを得て、犯行を思いついたようだが、現実に実行してしまう短絡性は、実際の人間としてどうだろう?
犯人の頭が少しおかしくなっているのなら、別だが。(黒猫がいたり、表情が狂気で歪んでいたり、犯人にはそれを匂わせる描写がありましたけどね)
というわけで、今回の『相棒』については、いっぱい????がついてしまう。
冒頭の<お土産に爆弾があった>という掴みは面白かったが、爆弾事件という設定は間違っていたのではないか?
ドラマとしては<過去の罪を背負って生きる>ということ。
どうなんでしょうね、第三者だから言えることかもしれないのですが、岩田も仲川たちも早く告白した方がよかったのでは、と思ってしまう。
結局、誰にも言えず背負って生きることで、40年の歳月を<罪の意識>で後ろめたく過ごしてしまったわけだし。
なので、『同窓会』はもっと早く行われるべきだった。
早く行われて、「寿子先生が亡くなったのは僕たちのせいなんです」「いや、それは違う、実は私のせいなんだ」という会話がなされていたら、彼らの人生は変わっていたかもしれない。
人生は、ほんのわずかなことで悪くなったり良くなったりするんですね。
コメントありがとうございます。
5回もご覧になっているのですか。
僕は近藤さんの「帰って下さい!」は印象に残っていないのですが、5回も見ると、役者さんの微妙な表情など、ディティルを深く味わえるんでしょうね。
僕も昼間の再放送を録画して見直してみようかな、と思いました。
(近畿地方では本放送を含めて3回目ですが)
近藤さんが貰った羊羹を早速頬張りながら
爆弾を作ったのは先生がどうか尋ねると
「帰ってください!」って怒鳴るシーンが
印象的でした。
コメントありがとうございます。
近藤さん、よかったですね。
以前も書きましたが、ボケた雰囲気と正気のメリハリがとても面白かった。
志垣さんも、おっしゃるとおり、精力・野心満々という感じでしたね。
あの濃いまゆ毛のせいでしょうか(笑)
脚本の荒っぽさについては、苺杏仁さんを始め、さまざまな方が指摘されているとおり。
いい役者さん、同窓会といういい素材なのに、もったいなかったですね。
いつもありがとうございます。
そうなんですよね、今回のエピソードは、岩田の姫小百合の恋と、仲川の恋愛沙汰との対比で描かれると、もっとテーマがはっきりしましたよね。
<純情・素朴>と<恋愛ゲーム・男のずるさ・女の執着>みたいな対立図式で。
『アリス』なんかもそうでしたが、最近の『相棒』は、古き時代への回帰みたいなモチーフが多いですね。
現代はそれだけ息苦しく、殺伐としているのかもしれません。
今回はモチーフはいいのに、ちょっと不完全燃焼なところがありましたね。その原因が、ミスリードでミスしてる、ところなんでしょうね。
それでも「相棒」ってすごいなと思ったのが、グァムの不幸な事件が実際起こっていて、その犯人の短絡的な行動が仲居さんの行動とつながってしまうところでした。ネットでみて、爆弾作っちゃって、他に死人が出たってどうでもいいと考えるところとか。
それに比較して、同窓会メンバーが、長い時間罪の意識を抱えて、言うべきか、言わないべきかと悩んでいた純情さと奥ゆかしさ。こうした日本人の美徳を失いたくないと思いだした回でした。ちょっと地味目でしたが、姫小百合の言葉も花も綺麗でした。
近藤正臣さんはいい味を出していましたね。
岩田はボケ老人を演じていたのでしょうが、瞬間的にマジになる。
そのメリハリ、演じ分けが面白かったです。
ご指摘のツッコミどころに関しては、おっしゃるとおりですね。
寿子が死んだのは、もしかしたら他の真相があるのでは?とか、いろいろ勘ぐってしまいます。
まあ、普通に面白かったというところでしょうか。前回のように右京さんや享くんが物語に埋没することはなかったし、ただもう少し活躍して欲しかったというところでしょうか。
ただ、ミスリードというほど大したものには思えませんでした。同窓会と不倫話を二つ絡めてやろうとして、どっちつかずになったように見受けられました。仲居さんが犯人なのは、わりと早く分かりましたよ。
近藤正臣と志垣太郎という豪華ゲストなので、そのキャラを使ってスタッフが笑わせようとしたところが、いくつかあります。
まず、右京さんが、近藤さんに新聞記事の歌を見せて、近藤さん、「いい歌だ」と一言。でも、自分の歌だろ。
次に、右京さんや享くんの質問が核心をつくと、近藤さん羊羹を貪り食いながら、「今は体調が悪いので」
最後は志垣太郎の選挙ポスターの標語「誠心誠意」。志垣さんのイメージと違うだろう。
ツッコミどころも結構あります。
まず私が教員だから目につくんでしょうが、普通部活の引率は、男子生徒には女の先生ではなく、男の先生がつきます。いざとなったとき危ないこともありますから。
次に、仲川くんを探しに行った女先生、教師なんだから、生徒を必死で探さなきゃならないのに、のんきに岩田先生との愛のための姫小百合の写真を撮ってました。もう少し熱心に仕事しようよ。
最後に、爆弾は仲居の爆弾女が作ったものなのに、岩田先生は右京さんと享くんに化学肥料を見せようとする。どうして他人が作った爆弾の成分が分かったんだ?
脚本家さん、「相棒」はまだ2回目なんで、頑張ってもっといい作品を作ってくれるといいですね。