人には良き理解者と同行者が必要。
この作品を見ると、そのことを考えさせられる。
難聴が極まりいよいよ気難しくなったベートーヴェン(エド・ハリス)。
第九の初演は4日後に迫り合唱部分が出来ていない。
イライラがつのり当たり散らす。
音楽に熱狂的に没頭する彼だから当然生活破綻者。床の上から水を被り風呂代わり。当然下は水浸しで苦情が来る。
彼の愛した甥のカールはベートーヴェンのことを嫌っている。金の無心だけに来る。そのことがわかっていながら甥を愛さずにはいられないベートーヴェン。
こんな心に嵐が吹きまくっているベートーヴェンの前に現れたのが、女性コピスト(写譜師)のアンナ・ホルツ。
音楽の才能がある彼女はベートーヴェンの芸術の理解者でもある。
第九の譜面でのベートーヴェンの間違いを指摘するアンナ。
彼女はこう言う。
「あなたならここはロ長調にしません」
当時流行だったロッシーニなどのイタリア音楽に媚びてベートーヴェンは長調にしたのだが、ベートーヴェンの芸術を知るアンナは「そこはロ短調だ」と言う。
こうして自分の芸術の良き理解者を得たベートーヴェン。
第九の初演でアンナは難聴で指揮が困難なベートーヴェンに入りとテンポを教える。
アンナが指示を出しベートーヴェンが指揮をする。
結果、第九の初演は大成功。
この成功はベートーヴェンとアンナ、ふたりの力で勝ち取ったものであった。
アンナに絶大な信頼を寄せるベートーヴェン。
しかしアンナが愛したのはベートーヴェンの芸術であり、ベートーヴェン本人ではない。
アンナには建築家の恋人がいる。
そこですれ違うベートーヴェンとアンナ。
ベートーヴェンは愛に飢えている。
そして芸術に忠実だ。
芸術に忠実なあまりアンナの恋人の作った橋の模型を「魂が入っていない」と言ってぶち壊す。
アンナの作曲した曲も「オナラの曲だ」と言ってからかいまくる。
ベートーヴェンは天才ゆえ他人の思惑など考えないのだ。
天才ゆえの孤独。
物語はそんな対立関係をはらんだまま、ベートーヴェンの死のシーンに向かう。
ベートーヴェンの晩年は悲惨だった。
渾身の「大フーガ」はあまりにも斬新過ぎて不評。
失意のまま病に倒れる。
そこへ看病にやって来たのは……アンナ!
彼女はどんなにベートーヴェンに傷つけられても彼を見捨てなかったのだ。
アンナはベートーヴェンの欠点を含めた良き理解者であり、晩年の同行者であった。
アンナが隣にいて死に臨んだベートーヴェンは随分救われたことだろう。
そしてそれはアンナも。
残念ながら彼女の音楽の才能は優秀であっても天才ではなかった。
しかしアンナには第九の初演でベートーヴェンを助けていっしょに指揮をしたという強烈な体験がある。
その体験、記憶だけで彼女の生は意味づけられた。
人には同行者が必要である。
そう言えば第九の詩の中にも「たったひとりでも心を通わせる人がいたらその人生は成功である」といった言葉がありましたね。
この作品を見ると、そのことを考えさせられる。
難聴が極まりいよいよ気難しくなったベートーヴェン(エド・ハリス)。
第九の初演は4日後に迫り合唱部分が出来ていない。
イライラがつのり当たり散らす。
音楽に熱狂的に没頭する彼だから当然生活破綻者。床の上から水を被り風呂代わり。当然下は水浸しで苦情が来る。
彼の愛した甥のカールはベートーヴェンのことを嫌っている。金の無心だけに来る。そのことがわかっていながら甥を愛さずにはいられないベートーヴェン。
こんな心に嵐が吹きまくっているベートーヴェンの前に現れたのが、女性コピスト(写譜師)のアンナ・ホルツ。
音楽の才能がある彼女はベートーヴェンの芸術の理解者でもある。
第九の譜面でのベートーヴェンの間違いを指摘するアンナ。
彼女はこう言う。
「あなたならここはロ長調にしません」
当時流行だったロッシーニなどのイタリア音楽に媚びてベートーヴェンは長調にしたのだが、ベートーヴェンの芸術を知るアンナは「そこはロ短調だ」と言う。
こうして自分の芸術の良き理解者を得たベートーヴェン。
第九の初演でアンナは難聴で指揮が困難なベートーヴェンに入りとテンポを教える。
アンナが指示を出しベートーヴェンが指揮をする。
結果、第九の初演は大成功。
この成功はベートーヴェンとアンナ、ふたりの力で勝ち取ったものであった。
アンナに絶大な信頼を寄せるベートーヴェン。
しかしアンナが愛したのはベートーヴェンの芸術であり、ベートーヴェン本人ではない。
アンナには建築家の恋人がいる。
そこですれ違うベートーヴェンとアンナ。
ベートーヴェンは愛に飢えている。
そして芸術に忠実だ。
芸術に忠実なあまりアンナの恋人の作った橋の模型を「魂が入っていない」と言ってぶち壊す。
アンナの作曲した曲も「オナラの曲だ」と言ってからかいまくる。
ベートーヴェンは天才ゆえ他人の思惑など考えないのだ。
天才ゆえの孤独。
物語はそんな対立関係をはらんだまま、ベートーヴェンの死のシーンに向かう。
ベートーヴェンの晩年は悲惨だった。
渾身の「大フーガ」はあまりにも斬新過ぎて不評。
失意のまま病に倒れる。
そこへ看病にやって来たのは……アンナ!
彼女はどんなにベートーヴェンに傷つけられても彼を見捨てなかったのだ。
アンナはベートーヴェンの欠点を含めた良き理解者であり、晩年の同行者であった。
アンナが隣にいて死に臨んだベートーヴェンは随分救われたことだろう。
そしてそれはアンナも。
残念ながら彼女の音楽の才能は優秀であっても天才ではなかった。
しかしアンナには第九の初演でベートーヴェンを助けていっしょに指揮をしたという強烈な体験がある。
その体験、記憶だけで彼女の生は意味づけられた。
人には同行者が必要である。
そう言えば第九の詩の中にも「たったひとりでも心を通わせる人がいたらその人生は成功である」といった言葉がありましたね。