平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

天地人 第16回「信玄の娘」

2009年04月20日 | 大河ドラマ・時代劇
 結局描き込みが浅いんですよね。

 例えば吉江(山本圭)。
 その前のシーンでは兼続(妻夫木聡)のことを批判していたが、次のシーンでは直江信綱(山下真司)と共に「ひるまず前に進め。わしらがずっと支える」。
 この変化が起きた理由は?
 <武田との同盟の大切さを再認識した>というせりふぐらいで、ほとんどなされていない。
 まあ彼らは脇役だからこれでいいのでしょうが。

 では今回のメインの菊姫(比嘉愛未)はどうか?
 武田を守るために輿入れして来た真剣な思いが<雪割草>ひとつで納得してしまっていいのか?
 この納得の背景には「約束は出来ない」としか言えない景勝(北村一輝)の無器用な誠実さを菊姫が理解したからだと推測出来るが、景勝と菊姫もその間理解し合うために言葉を交わしていないんですよね。
 だから<雪割草>ひとつで納得してしまっていいのか?という疑問が出てしまう。
 少なくとも菊姫がこだわって景勝から本音を聞き出すやりとりがほしかった。
 まあこだわらずに見てしまえば「そういうことなんだ」と見られなくもないのですが、それはいずれ視聴者の作品離れに繋がる。
 視聴者は<人と人とのぶつかり合い><葛藤>を観たいのだ。
 それがダメならば、せめて派手ないくさシーンを見せてほしい。

 <葛藤>と言えば兼続もそう。
 御館の乱のことで責任を感じているのなら家老職を簡単に受けてはならない。
 「このいくさの罪を背負うのはわしなのじゃ」と言う景勝の言葉に感動してこの人を支えていこうと改めて思った故なのだろうが簡単すぎる。脳天気すぎる。
 仮に家老就任を容認するにしても、罪の結果得た家老職なのだから父や弟と祝いの酒を酌み交わしてはならない。

 <脳天気>といえばお船(常盤貴子)もそう。
 雪割草を見て「華姫様が導いてくれた」と都合のいい解釈。
 華姫が恨みの中で死んでいったと考えればそんな前向きな解釈は出来ないはず。
 「恨みの中で死んでいった華姫が雪割草になって出て来た」と怖い解釈をすることも出来る。

 この様に描き込みが少なく葛藤があっさりと解消されてしまうこの作品。
 ドラマでなく脳天気に歴史事実を追っているという感じは否めない。


コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする