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平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

相棒15 「臭い飯」 ~前科者の烙印を押された者の疎外。娑婆に期待するほどバカをみる

2017年01月19日 | 推理・サスペンスドラマ
 いつも不満ばかり書いている最近の『相棒』だが、今回のは悪くない。

 まずトリックがある。
 監視カメラがある中、いかにして蜂矢克巳(稲健二)の所持品をゴミ袋に入れたのか。
 蓋を開けてみれば、「何~だ」という単純なトリックだったが、しっかりミステリーになっている。

 蜂矢克巳を誰が殺したか? という謎も「そう来たか」という内容。
 容疑者の米穀販売会社タキガワの社長はイタリアに行っていて、絶対的なアリバイがあり、犯行をおこなうことは不可能。
 通常のミステリーなら探偵はアリバイ崩しに頭をひねる所だが、実は別の真相があった。

 犯人の動機もしっかりしていた。
 前科者の烙印を押された者の社会からの疎外。
 娑婆に期待するほどバカをみる。
 警察も信じられない。
 権力を持つ者は犯罪を揉み消すことができる。
 そんな中でのやむにやまれぬ、正義の執行。
 犯人の叫び自体が社会派のドラマになっている。
 …………

 冠城(反町隆史)の恋愛話は要らなかったかなぁ。
 こういうのは陣川さんに任せた方がいいと思う。
 ただ、女性に対する身の処し方は、冠城らしい。
 女性の過去の過ちを責めず、女性がなおも別れた男を信じている発言をすると、それすらも受け入れる。
 自分がフラれたとわかると、クールに転身。
 カッコいいよ、冠城。
 でもなぁ、ドラマとしては消化不良。
 コーヒー好きなど、キャラクターをいろいろ作ろうとしているのはわかるんだけど、無理矢理入れ込まなくてもいいと思う。

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カルテッド~人生の〝下り坂〟にさしかかった男女4人は、どんなカルテッドを奏でるのか?

2017年01月18日 | その他ドラマ
「人生には三つの坂がある。
 上り坂と下り坂と、まさか」

 30代、人生の〝下り坂〟を感じ始めた男女4人の物語である。

 巻真紀(松たか子)はヴァイオリン
 別府司(松田龍平)もヴァイオリン
 世吹すずめ(満島ひかり)はチェロ
 家森諭高(高橋一生)はビオラ

 音楽を志して成功を夢見たが、くすぶっている。
 自分の限界もわかってきた。
 もはや、〝上り坂〟の人生は望めない。
 あとは緩やかな〝下り坂〟があるだけ。
 どこかで踏ん切りをつけて、音楽を<趣味>にしてしていれば別の人生もあったのだが、<夢>にしてしまったため、音楽以外の人生も上手くいっていない。

 彼らは、<余命9ヶ月のピアニスト>とウソをついて仕事を得ているピアニストのベンジャミン瀧田(イッセー尾形)に出会う。
 そして、孤独で惨めな瀧田の姿を将来の自分に重ね合わせる。
 瀧田は<音楽を夢にしてしまったキリギリス>のなれの果てなのだ。
 <音楽を趣味にしたアリ>になっていれば、奥さんも子供もいて、それなりに幸せな家庭を営んでいたかもしれない。
 ……………

 う~む。
 人生をしみじみと感じさせてくれるドラマだな~。
 これは、ある程度、年齢を重ねないと理解できない心境。
 若い時はイケイケで、坂をのぼることしか考えていないし、自分の限界も見えていない。

 緩やかな下り坂の4人。
 そんな彼らがどんなカルテッドを表現してくれるのか?

 ベンジャミン瀧田は言った。
「音楽はドーナッツのようなもの。
 何かが欠けている人間が奏でるもの」
 そう、4人も何かが欠けていて、心に空虚を抱えている。
 そんな彼らは今後どんな音楽を奏でてくれるのだろう?
 今回、彼らが演奏したのは、ショッピングモールでの「ドラゴンクエスト」とスメタナの「モルダウ」だったが、彼らにはもっと他の曲がある気がする。
 あるいは、同じ曲でも、彼らにしかできないもっと別な表現があっていい。

 舞台は静かな森林に囲まれた軽井沢の山荘。
 これが清浄で、どこか不思議な雰囲気を醸し出している。

 脚本は坂元裕二さん。
 坂元さんの作品は手強くて消化するのが大変なんですけど、がんばってみますか。

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おんな城主直虎 第2回「崖っぷちの姫」~井伊を潰さず、鶴とも夫婦にならない方法

2017年01月16日 | 大河ドラマ・時代劇
「井伊を潰さず、鶴とも夫婦にならない方法」
 おとわ(新井美羽)はひたすら考える。
 父親や母親のように思考停止にはならない。
 おとわは「答えはひとつ」ではなく、山の頂上に登るにはいくつものルートがあることを知っているのだ。

 自分の父親が犯した罪に悩む鶴丸(小林颯)に対しても、
「それは鶴がやったことではなかろう。鶴の父親がやったことで、鶴を恨むことではなかろう」
 と、しっかり区別して考えている。

 聡明なおとわ。
 和尚(小林薫)など、周囲の大人たちの言葉をスポンジのように吸収する理解力もある。

 腹も据わっている。
 今川の武将に問い詰められても目をそらさない。
 亀之丞(藤本哉汰)を逃がすために囮になった件でも、
「竜宮小僧を捜しておったのです」
 と言ってのける。

 それと行動力。
 こうと決めたら、迷うことなく突っ走る。
 亀之丞に笛を届け、囮になり、自分の存在が障害になると考えれば家出をし、「井伊を潰さず、鶴とも夫婦にならない方法」として髪を切る(=男になる。出家する)。
 これがヒロインなんですね。
 いささかデキすぎな感じもするが、君主やリーダーになる資質を備えている。
 おとわはどんな大人になるのだろう?
 現在は直虎登場までのネタをいろいろ仕込んでいる感じ。
 ………………

 作品としては、どこかファンタジーな雰囲気があるなぁ。
 竜宮小僧や井伊谷の自然のせいだろうか?
 和風ファンタジーのプリンセスが山の中を駆けまわっている感じ。
 このあたりは従来の大河ドラマファンには違和感がありそう。

 井伊直虎に関しては、資料がほとんどないらしい。
 脚本の森下佳子さんもインタビューで、
「年表もすっかすか。どうすんねん! って思った」
 と語っている。
 つまり森下さんは、すっかすかな分、おとわやまわりの人々を自由に描けるのだ。

 森下佳子さんの代表作と言えば、『仁-JIN-』や『天皇の料理番』。
 主人公を歴史や歴史上の人物と絡めて描くのがお得意な脚本家さん。
 この作品『おんな城主直虎』も、井伊直虎という資料的に真っ白な人物を戦国時代に放り込んだら、どんなドラマが生まれるかというモチーフで描かれているのだろう。
 こうした大河ドラマには、『花燃ゆ』や『八重の桜』があるが、果たしてどうなるか?

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嫌われる勇気~アドラー心理学×ミステリー! 皆さんがどう思おうが、それは私の課題ではありません

2017年01月13日 | 推理・サスペンスドラマ
 アドラー心理学×ミステリー。
 面白い発想ですね。

『すべての悩みは対人関係の悩みである』
『他者がいなくなれば、あらゆる悩みはなくなる』

 アドラーは<他人の目を気にするから悩みが生まれる><幸福になるためには他人の目から解放されなくてはならない>と説いている。
 これを刑事・庵堂蘭子(香里奈)ふうに言うと、こうなる。

『皆さんがどう思おうが、それは皆さんの課題であって私の課題ではありません』

 現実にはかなり難しいでしょうが、こう他人に言い切れる境地にはなりたいですね。
 徹底した個人主義
 天上天下唯我独尊
 ……………

 さて、第1話の犯人は、
 モデルの天野真紀(南野陽子)が社会的に偉大な存在であることが自分のステイタスになっている人間だった。
 だから真紀が落ちぶれそうになると、出版社に脅迫文を送ったり、ライバルのモデルを蹴落とそうとする。
 挙げ句の果てにはライバルのモデルを殺してしまった。
 犯人にとっては、天野真紀はつねに輝く偉大な存在でなくてはならないのだ。

 哀しくてつらい人物ですね。
 まず、自分が他人からどう見えるかというステータスにこだわっている所が自由でない。
 しかも、その拠り所が<天野真紀>や<ブランド品のコート>であるなんて。
 完全に自分を生きていない。

 もっとも、こうした心象は現代日本に多く見られる。
 たとえば、日本をやたら礼賛する人。
 日本が偉大な国であれば、自分も偉くなったような気分になっている。
 現実の自分はちっぽけな存在でしかないのに。
 これは結構イタい。

 そう言えばアメリカでも「偉大なアメリカを取り戻す」と主張したトランプ氏が大統領になるんだよな~。
 世界はあきらかに国家主義的な方向に向かっている。
 こうした流れの中で、徹底した個人主義を唱える<アドラー心理学>が注目されることは有効だろう。

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相棒15 「アンタッチャブル」 ~これでいいのか、『相棒』?

2017年01月12日 | 推理・サスペンスドラマ
 中園参事官(小野了)のヒントで、目撃者を確認し、目撃者の証言で犯人を捕まえた。
 ただ、それだけの話である。
 ここには謎解き要素やトリックはまったくない。
 昔は、あっと驚く犯人や名推理があったのにね。
 今回の右京さん(水谷豊)は目撃者の眠っていた記憶を引き出しただけ。
 しかも目撃者は不自然すぎるくらいに犯人のことを覚えている。
 これでいいのか、『相棒』?

 青木(浅利陽介)も相変わらずの便利キャラ。
 後に伏線があるとはいえ、目撃者・市原里奈(桜田ひより)のことをペラペラ話す。

〝偶然〟要素も2回あった。
 中園がそば屋で事件を追っている旧友の刑事に〝偶然〟出会う。
 右京たちは高校生が空き家に出入りしているのを〝偶然〟目撃する。
 シナリオ学校とかでは〝偶然〟を多用するな、って教わるのになぁ。

 というわけで、
 これでいいのか、『相棒』?
 ドラマとしても薄っぺらだし。
 ドラマにするなら、もう少し里奈を掘り下げようよ。

 今回のエピソードは、衣笠副総監(大杉漣)との戦いの序章という位置づけで見ればいいのだろうか?

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声優総選挙2017~声優さんの凄さを知れ! 藤原啓治さん、沢城みゆきさんもランクイン!

2017年01月10日 | 監督・俳優・歌手・芸人
 昨日、テレビ朝日でやっていた『声優総選挙2017』
 現役の声優200人が投票して選ぶ声優ランキングであるため、単なる人気投票に終わらず、実に興味深かった。
 そのランキングは!

☆第1位  山寺宏一さん
☆第2位  野沢雅子さん
☆第3位  藤原啓治さん ←おおっ!!
☆第4位  沢城みゆきさん←何とっ!!
☆第5位  関 智一さん
☆第6位  田中真弓さん
☆第7位  高山みなみさん
☆第8位  中尾隆聖さん
☆第9位  古川登志夫さん
☆第10位  大塚明夫さん

 声優を含めて、芸能人という職業は<個性><オンリーワン>であることが大事で、ランキングをつけられるものではないと思うが、納得のベスト10だ。
 特に嬉しいのは、「おおっ!!」と「何とっ!!」というリアクションを入れた、第3位 藤原啓治さんと第4位 沢城みゆきさんのランキングだ。
 僕もこのふたりは本当に上手いと思っているから。

 番組でも紹介されていたが、藤原啓治さんは役によって声を変えない。
 ほとんど地声で、演技でキャラクターの違いを表現する。
 具体的には、
『クレヨンしんちゃん』の父ひろし
『鋼の錬金術師』のヒューズ中佐
『ダークナイト』(バットマン)のジョーカー
 どれも同じ藤原さんの地声だが、まったく違う上の三人を見事に演じ分けている。
 本当に上手い声優さんだ。

 一方、沢城みゆきさんは七色の声。
『ルパン三世』の峰不二子、『ハンター×ハンター』のクラピカ、萌え系美少女、子供、あるいは『報道ステーション』のナレーションと声を使い分けて、あらゆる役をこなす。
 野沢雅子さんや田中真弓さんは、野沢さん、田中さんがやっていることはすぐにわかるが、沢城さんはエンドタイトルを見るまでわからない。
 妖艶な峰不二子と子供の声が両立できるっていうのもすごい。
 おまけに演技が的確。
 プロデューサーなら、作品のクォリティを保つために、ぜひ作品に入れておきたいと考える声優さんだ。

 あと僕が好きなのは、
☆平田広明さん~ジョニー・デップ、マット・デイモン ←上手いよな~。
☆森川智之さん~トム・クルーズ ←本当にいい声!
☆若本規夫さん ←口パク無視の若本節!(笑)
☆花澤香菜さん ←『PSYCHO-PASS サイコパス』の常守朱に痺れた!

 日本のアニメは海外でも人気で、高い評価を受けているが、実は声優さんもスゴい!
 皆さん、とんでもない技術をもった人たちだ。
 今回の番組のように、もっと声優さんの凄さにスポットを当てるべき!

 最後にゲストとして乃木坂46の生駒里奈さんが出演していた。
 生駒ちゃん、相変わらず見事なワイプ芸。
 アニメが大好きだからランキングの発表に目を輝かせていた。
 本人もソフトバンクのCMのギガちゃんで声優をやってるんだよな~。

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おんな城主直虎 第1回 「井伊谷の少女」~幼年期の終わり、とわたちに大人の世界がやって来た

2017年01月09日 | 大河ドラマ・時代劇
・とわ(新井美羽)
・亀之丞(藤本哉汰)
・鶴丸(小林颯)
 作品はこの三人の物語になっていくのだろう。
 三人がそれぞれの役割を果たし、友情、愛情を育みながら井伊の家を盛り立てていく。
 そんな作品全体が予想される第一回だった。

 それにしても子供が野山を動きまわる姿を見るのは心地よい。
 冒頭、とわたちがおこなっていたのは大きな山や谷を舞台にした鬼ごっこ!
 小さな公園でしか鬼ごっこができない現代と比べると豊かだな~。
 しかし、彼らも無邪気ではいられなくなっていた。
 亀之丞は病気がちで何の取り柄もない自分に悩んでいる。
 鶴丸は井伊家における自分の父親の立場に薄々気づいている。
 一方、とわは……?
 まだ無邪気!(笑)
 普通、女の子の方が早熟なんだけど……(笑)
 しかし、聡明なので、婚姻の話など説いて聞かせればすぐに理解する。
 亀之丞の良いところもしっかり理解していた。

 そんな三人に<大人の世界>がやって来た。
 今川を裏切り、北条に内通しようとする亀之丞の父・直盛(宇梶剛士)。
 それを阻止せんとする鶴丸の父・小野和泉守(吹越満)。
 結果、直盛は今川によって殺され、亀之丞も命は危うくなる。
 鶴丸は自分の父親がしたことに違和感あるいは嫌悪感を抱く。
 彼らは、謀略と権力争いに明け暮れる<大人の世界>を垣間見てしまったのだ。
 そんな現実を前に、三人はどんな大人になっていくのだろう?
 ………………

 今回のもうひとつの主人公は<井伊谷>だろう。
 一面の緑。
 川が流れ、畑があり、山に足を踏み入れれば豊かな森がある。
 山には水が溢れ、滝もある。
 洞窟もあれば、井伊家発祥の井戸もあり、本当に〝竜宮小僧〟が住んでいそうだ。
 近くには菩提寺の龍潭寺があり、生活と寺が一体化している。

 脚本家の森下佳子さんは、もしかしたら今回、一番これを描きたかったのかもしれない。

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下町ロケット ガウディ編 再放送~技術者、医者、ジャーナリストのプライドと情熱

2017年01月04日 | 職業ドラマ
『下町ロケット ガウディ編』の再放送。
 すでに見ている作品なので少しだけ見るつもりだったのだが、結局、最後まで見てしまった。
 やはり『下町ロケット』は燃える!

 再見して思ったのは<仕事をする人間のプライドと情熱>だ。
・技術者は少しでも良い品をつくるために精魂を傾ける。
・医者は患者の命を救うために全力を尽くす。
・ジャーナリストは弱者のために権力に立ち向かい、正しいことを報道する。
・官僚(PMEAの審査員)は公正平等な判断をおこなう。
・経理担当者(佃製作所の経理部長)は会社の正確な財務状況を経営者に伝え、やりくりする。

 こんなふうに、それぞれが自分のフィールドでプライドと情熱を持って仕事をしていれば、社会はより良くなるだろう。
 しかし、現実は……

・データ偽装
・出世争い
・権力への迎合、忖度(そんたく)
・接待と賄賂
・粉飾決算

 日々のニュースを見ていると、これらのことがはびこっているように思える。
 権力を持っている強者は圧倒的に強く、弱者は泣き寝入りか、媚びを売るか、排除されるしかない。
 これでは<希望に溢れる社会>など、つくれるわけがない。
 ………………

 <規制緩和>についても言及がなされた。
 サヤマ製作所の椎名直之(小泉孝太郎)は、物事に100%はなく、10人の患者のうち4人が命を落とすかもしれない薬を使うべきだ、と語る。
 その薬を使えば、4人は命を落とすかもしれないが、6人は救われるからだ。
 だから規制だらけの日本はダメなんだ、とも語る。
 これに対して、佃航平(阿部寛)は明確な反論ができない。
 技術者として100%に近づける努力をするだけだ、とだけ語る。
 確かに佃が反論できなかったように、白黒を明確にすることは難しいだろう。

 ただ、椎名の考え方には危険がともなう。
<大きなものを生かすために小さなものは犠牲になってもいい>
 という発想に発展する可能性があるからだ。
・会社を守るために個人が犠牲になる。
・国家を守るために個人が犠牲になる。
 これらのことが当たり前になる社会になってはいけない。
 そうした社会にならないために、個人の自由や人権にこだわらなくてはならない。
 ………………

『下町ロケット』の世界は、ある意味、理想社会だ。
 技術は裏切らず、ロケットや心臓の弁は成功するし、悪は罰せられる。
 皆が自分の仕事に誇りを持っている。
 この作品を見ることで、人は自分の仕事を見直し、社会をもう一度、信じてみようという気になる。

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相棒15 「帰還」~恨みとか憎しみとかじゃなくて、楽しいって動機じゃダメなんですか?

2017年01月02日 | 推理・サスペンスドラマ
「恨みとか憎しみとかじゃなくて、楽しいって動機じゃダメなんですか?」

 ついに『相棒』にもこういう犯人が出るようになってしまったのか……。
 犯罪や暴力を楽しむ犯人。
 狂気の犯人。

 これに対して、右京(水谷豊)は〝あなたが一生知り得ないこと〟として、犯人にこう語る。
「人間はいつもギリギリの縁に立っています。
 誰だって人の体が簡単に壊れること、心が簡単に操れることを知っているんです。
 それでも自らの意思でそうなしないことを選んでいる。
 間違いを犯せば後悔し、自分を責め、縁の下から這い上がろうとする。
 そういう人間そのものの姿をあなたは知らない。
 あなたは永遠に理解できない。
 あなたが人生の本当の楽しみを知ることはない、今までもこれからも。
 哀れな人だ」

 人は誰でも過ちを犯す。
 そして、それを悔い改めることが人間であり、生きることだ、と右京さんは言っている。
 今までの『相棒』の犯人って、反論することはあっても、犯した罪に対して何らかの後悔や反省があったんですよね。
 動機にもそれぞれ一応の理があった。
 ところが今回の犯人にはそれがない。
 人として決定的なものが欠けている。

 こうした犯人像という点で、今までの『相棒』とは異質なエピソードと言えるだろう。
 松本清張は〝犯罪の動機こそが人間ドラマだ〟と主張していて、『相棒』もそれを踏襲していたが、今回はそれを放棄。
 これから右京はサイコな快楽殺人者とも向き合うことになる。
 ときどき『ON 異常犯罪捜査官 藤堂比奈子』のエピソードが出てくるようになるのだろうか?
 ………………

 亘(反町隆史)は思いとどまった。
 怒りや憎しみの中で犯人を銃で殺すこともできたのだが、逮捕の道を選んだ。

 おそらく、これは甲斐亨(成宮寛貴)のダークナイト事件に対するアンサーだろう。
・思いとどまった亘。
・踏み込んで実行してしまった亨。
 成宮寛貴さんが芸能界を引退して、亨の再登場が難しくなってしまったため、『相棒』としては〝思いとどまる亘〟を描いておく必要があった。

 サイコな犯人の登場といい、亨の件の決着といい、『相棒』の転機となるエピソードだった。

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