福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

「神祇秘抄」・・9/22

2024-03-09 | 諸経

「神祇秘抄」・・9/22

九、神の變する所の事

問、神の變する所、無盡云々。其の姿如何。

答、神は情非情に及び一偏に堕すべからず。或は人と為り、畜と為り、或いは鬼と為り、或いは虵(じゃ)と為り、又草木と為り、山河と為る。只利生に依る。又化用无邊なるが故なり。弘法大師曰、法身三密は繊芥に入りて而も迫らず、大虚に亘り而も廣からず、草木瓦石を簡ばず、何者にも遍せず鬼畜人天を擇ばず。何物をか摂らざらん、と(吽字義「法身三密入纎芥而不迮。亙大虚而不寛。不簡瓦石草木不擇人天鬼畜。何處不遍何物不攝。故名等持。」)。

又經に云、草木國土悉皆成佛(溪嵐拾葉集に「中陰經云。一佛成佛法界ヲ觀見スルニ草木國土悉ク皆成佛ト。」あるが中陰経にはこれはない)、法身周遍神體之を以て覺知すべし。暫く人と現れ甚だ利益す。爰を以って役の優婆塞は此れ神の變作なり。其の故は魔縁、此の州を競ひ、天下忽ちに常闇の刻と成んと欲す。神、兼ねて彼の瑞相を鑒知し役行者の身を現し、魔界を降伏し、剰へ鬼を仕ふと云々。是則ち巌戸再開す天照太神の徳化なり。此の役行者、顕密二教の明徳なり。然れども在世の間、其の機无きに依り弘通すること能はず。但し峯中に於いて末世の為結縁を貽(のこし)て顕密二教の表示を表す。彼葛木山法花を以て體と為し、之を一乗の峯と名く。法喜菩薩の浄土なり。花厳経の説相分明なる哉。(大方廣佛華嚴經諸菩薩住處品第三十二「海中有處。名金剛山。從昔已來。諸菩薩衆。於中止住。現有菩薩。名曰法起」。)紀伊國西浦伽陀と云所あり(現在の和歌山市加太か。ここにはかって役行者開基と伝わる伽陀寺跡あり、伽陀寺は葛城二十八宿第一の行場とされていた)役行者伽陀を誦し給所なり。仍って名とす。境より之を始るに葛木一山法花八軸廿八品の文字を以て左右に分けて各三町に之を敷給ふ。峯皆是各別なり。則ち安位は金剛砂寺と號す。(かって葛木山中に安位寺という寺あり)。観音品に當る。之に加て役行者七生御本尊十一面の像を安置云々。

又二上(二上山)は陀羅尼品廿六、毘沙門天此處に生まれる也(鎌倉時代の『諸山縁起』「第二十六経塚(陀羅尼品)」の項に「二上山岩屋」と記されている。役行者は法華経二十八品を經筒に入れて葛木の峯に埋めて修験道の聖地としたがその26番目の「陀羅尼品」が爰の二上山の經筒に埋められているということ。)。次に亀瀬は亀甲を造り作禮而去(諸経文の結末の句)の四字を書く。(葛城二十八宿の最後の第二十八番経塚は大和川の「亀の瀬」にある亀石。諸山縁起の亀尾宿の處に「作禮而去、石屋去、文字亀甲在、此の峯の草木悉く以て一乗の字に非ざるは無し、一切草木皆是説法」とある)。我仏法萬劫に至って衆生を利せんと誓って、埋め賜ふの所也。

次神山と云處は法喜菩薩の所居、神體は一言主なり(神山を金剛山と葛木山の二つを一つにして神山と表現。また一言主と役行者と天照大神を同一視している。)。又天照大神同體なり。又役行者なり。我朝に於いて天巌戸と號すは金剛山云々(天岩戸のこと異説之多し)。日本紀に云、高間原に神留り御すと云は(続日本紀の聖武天皇即位宣命に「高天原に神留り坐す皇親神漏岐神漏美の・・」大祓詞等「高天原に神留まり坐す 皇親神漏岐神漏美の命以て」
高間とは金剛山、神は法喜菩薩、則ち吾神の一體也。次金峯山は密教の峯、吉野河頬(つら)の一の護法と云より熊野膳岡に至る。大日経等の三部の秘經、又分峯各々三町に之を敷き給ふ。次山上金剛蔵王は天照太神の化現なり。密教擁護し利益衆生の為に

出世し給ふ。彼の山をば菩提の峯と名く。次高野山は胎蔵八葉の谷九峯之に在り(高野山は外八葉、内八葉といわれる)。又大峯は金界、五智の峰峰四谷連なる。大師曰、高野山、我

彼の山に住む事八萬劫云々(高野口伝)。高野山内に摩尼山と云秘所之在り。是則ち太神宮内外(伊勢神宮の内宮と外宮)・荒祭(伊勢神宮の荒魂の宮)・高御前(多賀の宮)、鎮座也。神體則ち本来不生の寶珠なり。故に大師、已證所得の法門、衆生不覚の密蔵かな。

 

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