今日承和二年(八三五)一月八日は宮中真言院にて後七日御修法が初めて修せられた日です。(「東寺長者補任」に「大僧都空海、詔命を奉り中務省において 初めて後七日法を修す。年六十一歳(これは62歳の間違い)。此の間、勘解由司庁を請申して堂舎を結構し、仏像を造立す。年中行事僧衆威儀皆悉く青龍寺の風を移す。」とあります。)これは承和元年(八三四)十二月十九日の大師の「宮中真言院の正月の御修法の奏状」により行われるようになったものです。
「宮中真言院の正月の御修法の奏状
承和元年十一月乙未、大僧都伝灯大法師空海上奏してもうさく、空海聞く、如来の説法に二種の趣あり。一には浅略趣、二には秘密趣なり。浅略趣といっぱ諸経中の長行偈頌これなり。秘密趣とは諸経中の陀羅尼これなり。浅略趣は大素・本草(古代中国の薬草の本)等の経に病原を論説し薬性を分別するが如し。もし病人に対って方経を被き談ずるとも痾を療するに由なし。必ずすべからく病に当たって薬を合わせ、方によって服食すべし、すなわち病患を消除」し性命を保持することを得ん。しかるに今講じ奉るところの最勝王経は、ただその文を読み空しくその義を談じてかって法によって像を画き壇をむすんで修行せず。甘露の義を演説することを聞くと雖も,おそらくは醍醐の味を嘗むることを闕きてん。
伏して乞ふ。今より以後、もっぱら経法によって経を談じ、七日の間まさに解法の僧二七人、沙弥二七人を択んで別に一室を荘厳し、諸尊の像を陳列し、供具を奠して真言を誦せん。しかればすなわち顕密の二趣、如来の本意に契ひ、現当の福聚、諸尊の悲願を獲てん。
承和元年十二月乙未勅す、請によってこれを修して永く恒例となせ。」
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