「本朝文粋」「新羅の賊の勑符 前中書王(注1) 人の為に作る」
「安けれども危うきを忘れず。況や虎視方に久し。治なれども亂を忘れず(注2)。況や風聞已に成れる者をや。昔李将軍の辺を守りし、胡人敢て南下せず。楊大尉の鎮守に在りし、敵国も亦以て子の如く来りき。且つは兵機を警め、且つは耕機を勤め、生民をして業を楽しみ、死士をして戦を駐めしめよ。」
(注1)醍醐天皇の第11皇子。臣籍降下して源 兼明と名乗ったが、晩年になって皇籍に復帰し中務卿となったことから前中書王と呼ばれる。914年から987年。このころ新羅は滅亡途上にありましたから入寇はなかったと思います。
(注2)易・繋辞傳「安くして危うきを忘れず。存して亡ぶるを忘れず。治まりて乱るるを忘れず。」