鈴木 正三(道号:石平老人)は明暦元1655年六月二十五日77歳で没しています。正三は、三河武士として徳川家康,秀忠に仕え関ヶ原・大坂の陣に参加したが元和6 (1620) 年出家。越前大安寺の大愚宗築,京都妙心寺の愚堂東寔 ,江戸起雲寺の万安に師事。江戸牛込天徳寺境内の了心庵で,庶民に仁王坐禅を説いた。また「世法即仏法」を説き、「万民徳用」では農民に対しては「一鍬ー鍬に、南無阿弥陀仏、なむあみだ仏と唱え、一鎌一鎌に住して、他念なく農業をなさんには、田畑も清浄の地となり、五穀も清浄食と成て、食する人、煩悩を消滅するの薬なるべし 」と説き、商人には「一筋に正直の道を学ぶべし・・一筋に国土の為、万民の為とおもひ入りて・・欲を離れ商いせんには・・・すなはち無碍大自在の人と為りて乾坤中に独歩すべし」と説いた。
山本七平は『日本資本主義の精神 ーなぜ一生懸命働くのか~』で「・・職人が物を作り出す
ことをー仏の徳用とし、また商人が完備した流通機構を作り出すことも人を自由にするという発想はきわめて近代的であると言わねばならない・・・これが新しい職業観の確立となり、同時に日本資本主義の倫理の基礎となっても不思 議ではない」とのべ日本に於行ける近代資本主義精神の基礎となったと述べました。構造改革や市場原理主義という愚かな考えに染まっている現代の日本にはいまや今昔の感がありますが・・・。
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