福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

地藏菩薩本願經卷上 閻浮衆生業感品第四

2020-07-21 | 諸経
地藏菩薩本願經卷上 閻浮衆生業感品第四(地蔵菩薩は、若し殺生の者には短命の報を、竊盜者には貧苦の報を説き、邪婬の者には雀鴿鴛鴦の報(鳥の苦しみ)を説き、惡口の者には眷屬鬪諍の報を説き、毀謗の者には無舌瘡口の報を、若し瞋恚の者には醜陋癃殘(醜い姿)の報を、慳悋の者にはば所求違願の報を、飮食無度の者には飢渇咽病の報を、畋獵恣情(欲情のままに獲物を捕る)の者には驚狂喪命の報を、若し父母に逆う者には天地災殺の報を、燒山林木の者には狂迷取死の報を、父母に惡毒の者には生鞭撻現受(現世で鞭打たれる)の報を説き網捕生雛(ひよこをあみでとる)の者には骨肉分離の報を、毀謗三寶の者には盲聾瘖瘂の報を、輕法慢教の者に遇はば永處惡道の報を、破用常住の者に遇はば億劫輪迴地獄の報を、汚梵誣僧(僧侶を汚す)の者に遇はば永在畜生の報を、湯火斬斫して生を傷る者に遇はば輪迴遞償(りんねたいしょう)の報を、破戒犯齋の者には禽獸飢餓の報を、非理に毀用の者にはば所求闕絶の報を、吾我貢高の者に遇はば卑使下賤の報を説き(地位濫用する者は下賤に生まれてこき使われる)、若し兩舌鬪亂の者には無舌百舌の報を、邪見者に遇はば邊地受生の報を説き、業がそれぞれ違う閻浮提の衆生を地蔵菩薩は百千万種類の方便を使って教え導く)爾時、地藏菩薩摩訶薩佛にもうして言さく、「世尊。我れ佛如來の威神力を承くるが故に、百千萬億世界に遍く是の身形を分かちて 一切の業報衆生を救拔せん。若し如來の大慈力にあらずんば即ちかくのごとくの變化を作すことあたわず。我れ今ま又た 佛の付囑を蒙むりて阿逸多の成佛に至る。已來の六道衆生を度脱せしむ。唯だ然し世尊よ願はくは慮をなしたまうことあらざれ。」爾時、佛、地藏菩薩に告げたまはく「一切衆生未だ解脱せざる者、性識無定、惡習結業、善習結果して善を為し惡を為して境を逐うて生じ、五道を輪轉して
暫くも休息なし。動やもすれば塵劫を経て迷惑障難あること魚の網に遊ぶが如し。
是を將いて長流す、入ることを脱して暫く出又すれども復た 網に遭う。是等の輩をもって
吾當に憂念す。汝じ既に是の往願をおえて、累劫に重誓して廣く罪の輩を度せば吾れ復た何をか慮んばからんや。」是の語を説く時、會中に一菩薩摩訶薩有り、名ずけて定自在王という。佛にもうして言さく、「世尊よ、地藏菩薩は累劫よりこのかた、各の何なる願を発して今ま世尊の殷勤讃歎を蒙るや。唯だ願くは世尊、略して之を説き給え」。爾時に世尊、定自在王菩薩に告げたまはく「諦聽諦聽、善く之を思念せよ。吾れ當に汝が為に分別解説せん。乃往過去の無量阿僧祇那由他不可説劫、爾時佛有り。一切智成就如來・應供正遍知・明行足・善逝・世間解・無上士・調御・丈夫・天人師・佛・世尊と号す。其の佛の壽命六萬劫なり。未だ出家せざる時、小國王となり、一隣國王と友となり同じく十善を行じ衆生を饒益す。其の隣國内の所有(あらゆる)人民は多く衆惡を造る。二王議計りて廣く方便を設け、一の王は發願すらく、早く佛道を成じて當に是の輩を度して餘りなからしむるべし。一の王は、發願すらく、若し先ず罪苦を度して是をして安樂に菩提に到ることを得せしめざれば我れ終に未だ成佛を願わず。佛、定自在王菩薩に告げてのたまはく、「一王發願して早く成佛せし者は即ち一切智成就如來是なり。一王發願して永く罪苦の衆生を度して未だ成佛を願わざる者は即ち地藏菩薩是れなり。復た過去無量阿僧祇劫において佛あり、世に出でたまふ。清淨蓮華目如來と名ずく。其の佛の壽命四十劫なり。像法の中に一の羅漢有り、福をもって衆生を度す、次に因って教化す。一女人に遇う、字を光目という。食を設けて供養す。羅漢之に問ふ。「欲願は何等ぞ。」光目答へて言はく「我母の亡じたる日をもって資福救拔せんとす。未だ我母の生處は何趣なるかを知らず」。羅漢之を愍みて爲に定に入り觀。見するに、光目女の母は惡趣に墮して極大苦を受く。羅漢光目に問うて言はく「汝の母は在生に何なる業を作し、今惡趣の在りて極大苦を受く。」光目答へて言はく、「我母の所習は唯だ好んで魚鼈之屬を食噉す。所食の魚鼈は多くは其の子を食し、或は炒、或は煮、恣情に食噉す。其の命數を計るに千萬も復た倍す。尊者よ慈愍して如何が哀救したまへ」。羅漢之を愍んで爲に方便を作して光目に勧めて言はく、「汝、志誠に清淨蓮華目如來を念じ兼ねて形像を塑畫すべし存亡報を獲ん」。光目聞き已りて即ち所愛を捨て尋で佛像を畫きて之を供養す。復た恭敬心を以て悲泣瞻禮す。忽に夜後において夢に佛身の金色なること晃耀は須彌山の如く大光明を放ちたまふことを見たてまつる。而も光目に告げたまはく「汝母は久しからずして當に汝が家に生ずべし、纔に飢寒を覺えば即ち當に言説すべし」。其後、家内の婢、一子を生ず。未だ三日に満たざるに而も言説す。稽首悲泣して光目に告げたまはく「生死の業縁・果報、自ずから受く。吾は是れ汝が母なり。久しく暗冥に處す。汝と別れてよりこの方、累りに大地獄に墜ち、汝の福力を蒙りて方に生を受くることを得れども下賤の人となりて又復た短命なり。壽年十三にして更に惡道に落ちん。汝何の計りごとかありて吾をして脱免せしめん」光目、説を聞きて母と知ること無疑なり。哽咽び悲しみ啼て婢子にもうす、「既に是れ我母ならば本罪を知るべし。何なる行業を作してか惡道に墜ちたまへるや」。婢子答へて言く「殺害・毀罵の二業を以て受報す。若し福をもって吾難を救拔することを蒙るにあらざれば是の業を以ての故に未だ解脱すべからず」。光目問言「地獄の罪報、其事云何」。婢子答言「罪苦の事、稱説するに不忍。百千歳中に卒しく白すれども竟り難し」。光目聞已啼涙號泣す。而して空界に白さく「願はくは我母永く地獄を脱して十三歳を畢るとも更に重罪及び惡道を歴ることなからしめたまへ。十方の諸佛慈哀をもって我を愍み我れ母の為に發するところの廣大誓願を聴きたまへ。若し我母永く三塗及び斯の下賤乃至女人の身を離れて永劫受けざることを得ば、願はくは我今日より後、清淨蓮華目如來像の前に対して。却後百千萬億劫中に應にあらゆる世界のあらゆる地獄及び三惡道の諸の罪苦の衆生を誓願して救拔し、地獄惡趣畜生餓鬼等を離れしむべし。如是の罪報等の人盡く成佛し竟りて、我れ然して後に方に正覺を成ぜん」と。誓願を發し已りて、具に清淨蓮華目如來の而も之に告げて曰はうを聞く。「光目よ、汝の大慈愍、善能く母の為に如是の大願を発す、吾れ汝母を観ずるに十三歳を畢りて此の報を捨て已って生じて梵志と為り壽年百歳らん。是の報を過ぎて後、當に無憂國土に生じて壽命不可計劫なるべし。後に佛果を成じて人天を広く度すること數は恒河沙の如くならん」。佛定自在王に告げたまはく「爾時の羅漢、福を以て光目を度する者は即ち無盡意菩薩是なり。光目の母は即ち解脱菩薩是れなり。光目女は即ち地藏菩薩是れなり。過去久遠劫中如是の慈愍をもって恒河沙の願を発して廣く衆生を度す。未來世中若し男子女人有りて善を行ぜざる者、惡を行ずる者乃至不信因果の者、邪婬妄語の者、兩舌惡口の者、大乘を毀謗する者、如是の諸業の衆生は必ず惡趣に堕すべし。若し善知識勧めて一彈指間も地藏菩薩に歸依せしむるに逢ては、是の諸衆生は即ち三惡道報を解脱することを得ん。若し能く志心に歸敬し及び瞻禮讃歎し、香華衣服種種珍寶或は復た飮食、如是を奉事する者は、未來百千萬億劫中に常に諸天に在りて勝妙の樂を受け、若し天福盡らば人間に下生し、猶百千劫常に帝王となりて能く宿命因果本末を憶せん。定自在王よ、如是の地藏菩薩は此の如きの不可思議大威神力有りて廣く衆生を利す。汝等諸菩薩當に是の經を記して廣宣流布すべし」。定自在王佛に白して言さく「世尊願はくは慮をなしたまふことあらざれ、我等千萬億の菩薩摩訶薩、必ず能く佛の威神を承けて廣く 是の經を演べて、閻浮提において衆生を利益せん」定自在王菩薩世尊に白し已りて、合掌恭敬禮を作して退く。
爾時四方の天王は倶に座より起ちて、合掌恭敬して佛に白して言さく、「世尊。地藏菩薩は久遠劫より來た、如是の大願を発して云何今に至って度すれども猶ほ絶えず更に廣大誓言を発したまへるや。唯願はくは世尊、我等がために説きたまへ」。佛四天王に告げたまはく、「善哉善哉、吾れ今、汝及び未來現在天人衆等を廣く利益せんが為の故に、地藏菩薩が、娑婆世界閻浮提の内・生死道中において、一切罪苦の衆生を慈哀・救拔・度脱する方便の事を説くべし」。四天王言く「唯然り。世尊よ願樂して聞かんと欲す」。佛四天王に告げたまはく「地藏菩薩は久遠劫來今に至るまで衆生を度脱して猶ほ未だ願を畢えず、此世の罪苦衆生を慈愍す。復た未來無量劫中を観ずるに因蔓斷えず。是を以ての故に又た重願を発す。如是に菩薩は娑婆世界閻浮提中において百千萬億の方便を以て而も爲に教化す。四天王よ、地藏菩薩は若し殺生の者に遇はば、宿殃短命の報を説き、若し竊盜者に遇はば貧窮苦楚の報を説き、若し邪婬の者に遇はば雀鴿鴛鴦の報を説き、若し惡口の者に遇はば眷屬鬪諍の報を説き、若し毀謗の者に遇はば無舌瘡口の報を説き、若し瞋恚の者に遇はば醜陋癃殘の報を説き、若
し  慳悋の者に遇はば所求違願の報を説き、若し飮食無度の者に遇はば飢渇咽病の報を説き、若畋獵恣情の者に遇はば驚狂喪命の報を説き、若し悖逆父母の者に遇はば天地災殺
の報を説き、若し燒山林木の者に遇はば狂迷取死の報を説き、若し父母に惡毒の者に遇はば返生鞭撻現受の報を説き、若し網捕生雛(ひよこをあみでとる)の者に遇はば骨肉分離の報を説き、若し毀謗三寶の者に遇はば盲聾瘖瘂の報を説き、若し輕法慢教の者に遇はば
永處惡道の報を説き、若し破用常住の者に遇はば億劫輪迴地獄の報を説き、若し汚梵誣僧の者に遇はば永在畜生の報を説き、若し湯火斬斫して生を傷る者に遇はば輪迴遞償(りんねたいしょう)の報を説き、若し破戒犯齋の者に遇はば禽獸飢餓の報を説き、若し非理に毀用の者に遇はば所求闕絶の報を説き、若し吾我貢高の者に遇はば卑使下賤の報を説き、若し兩舌鬪亂の者に遇はば無舌百舌の報を説き、若し邪見者に遇はば邊地受生の報を説く。如
是等の閻浮提の衆生、身口意業惡習の結果、百千の報應あり。今ほぼ略して説けり。如是等の閻浮提衆生は業感差別あり。地藏菩薩は百千の方便を以て而も之を教化したまふ。是の諸衆生は先ず如是等の報を受け、後に地獄に墮して動もすれば劫數を經て出期あることなし。是故に汝等、人を護り國を護りて、是の諸の衆業をして衆生を迷惑せしむることなかれ。四天王、聞き已って涕涙悲歎合掌して退く。

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