
夜中に娘がガタガタやっていた。
疲れてるから大して気にならないのに、妻が大声で、
お父さんは仕事で疲れてるから静かにしなさいと言う声のほうがよほどうるさい。
でも睡魔の方が強力ですぐ寝込んでしまった。
市場が無いし、たいした予約じゃないのでゆっくり寝ていた。
一番鳥の野鳩の声は気が付かなかったが、自宅の裏のウグイスの声で目が覚めた。
竹やぶに住んでるらしくかなり大きな声が聞こえる。
店に遅くなったと思って行ったけどまだマキ婆しかいなかった。
雲が切れて青空の方が多くなってきた。
ようやく春らしくなってきた。

どことなく春めく。
雪が消え、田んぼの水溜りに小さな空があった。

お店の酒のつまみに昨日打った十割蕎麦を揚げて塩を振って出した。
素朴な味が魅力。
死海の塩のせいもあるのかも。
天ぷらに山菜を使い、胡麻和えはコゴミとふきのとうを和えた。
初物のキノメはウズラの卵を乗せて巣篭もりにした。
かなりアケビのツルメをキノメと呼ぶことが知られてきたが、
ジモンさんたちみたいに芝の芽だなどと思う人もまだ多い。

尾瀬蕎麦が出た。
メニューに尾瀬をイメージしたぶっ掛け蕎麦としか書いてないのだが、
物好きというかはずれを恐れないというか、店はそんな信用が有るわけではないのだが。
尾瀬の高い山に残雪が残り、それは長いもで表現。
山菜のかき揚げ天ぷらは森を表し、蕗やウドの炒め煮は植物をあらわした。
卵は水芭蕉を地鮎の甘露煮は尾瀬の岩魚。
尾瀬に有るヨッピ川は地元の言葉で夜中中と意味もあり、
夜中中岩魚突きをしたと伝えられていた。
今じゃ考えられない話だ。

蕎麦と同じくらい激震ラーメンが出る。
ソウルの焼肉屋でうちと同じように豚肉を赤ワインでつけて提供するという店があったが考えることはみな同じ。
ほんとに美味しいか疑問でもあるが。
この肉を石ガマで焼いて提供する。
少し燻製がかって、これもまた好み。



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