校長は、お茶を飲むのも忘れてさらに熱を込めて話し出した。
“ 弱ったな・・・。”
俺は、校長の顔から眼を逸らせ、テーブルを見た。
“ あらっ?”
テーブルの上が波打っている。
何か透明で凸凹したものを通して見ているようにテーブルがグニュグニュ揺れているのだ。
“ ゆらゆらしたヤツだ!”
ゆらゆらしたヤツは、湯飲み茶碗に近付いた。
俺は、湯飲み茶碗を見た。
“ あら~。”
湯飲みのお茶が見る見る少なくなる。
そして、無くなってしまった。
校長は気が付いていない。
“ まさか、俺が飲んだなんて言わないだろうな・・・。”
俺は校長の顔を見た。
校長は、熱に浮かれたようにまだ喋っていた。
“ ゆらゆらしたヤツが、校長に近付いているぞ・・・。”
ゆらゆらしたヤツは、テーブルからソファに移り、校長の横でソファの背を伸び上がった。
“ フッ!”
俺には聞こえたような気がした。
突然、校長が声を上げた。
「 あっ!」
校長の頭のバーコードが、ハラリと風に舞い上がって、次に顔の横に垂れ下がった。
チョンマゲを切られた落武者のようだ。
俺は校長と眼が合った。
そして、俺は校長の険しい眼にたじろいた。
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