大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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☆(  しづめばこ P574 )                          

霧の狐道44

2008-04-22 20:17:18 | E,霧の狐道
 校長は、お茶を飲むのも忘れてさらに熱を込めて話し出した。

“ 弱ったな・・・。”

俺は、校長の顔から眼を逸らせ、テーブルを見た。

“ あらっ?”

 テーブルの上が波打っている。
何か透明で凸凹したものを通して見ているようにテーブルがグニュグニュ揺れているのだ。

“ ゆらゆらしたヤツだ!”

ゆらゆらしたヤツは、湯飲み茶碗に近付いた。
俺は、湯飲み茶碗を見た。

“ あら~。”

 湯飲みのお茶が見る見る少なくなる。
そして、無くなってしまった。
校長は気が付いていない。

“ まさか、俺が飲んだなんて言わないだろうな・・・。”

 俺は校長の顔を見た。
校長は、熱に浮かれたようにまだ喋っていた。

“ ゆらゆらしたヤツが、校長に近付いているぞ・・・。”

ゆらゆらしたヤツは、テーブルからソファに移り、校長の横でソファの背を伸び上がった。

“ フッ!”

俺には聞こえたような気がした。
 突然、校長が声を上げた。

「 あっ!」

 校長の頭のバーコードが、ハラリと風に舞い上がって、次に顔の横に垂れ下がった。
チョンマゲを切られた落武者のようだ。
 俺は校長と眼が合った。
そして、俺は校長の険しい眼にたじろいた。



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