大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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霧の狐道35

2008-04-03 19:10:53 | E,霧の狐道
 始業式のあと、直ぐに俺は山下先生に呼ばれた。
山下先生は俺に言った。

「 おまえ、時と場所を考えろ。」
「 ・・・・?」
「 おまえ、校長が話しているとき、ずっと横を向いていただろ。」
「 はァ・・・。」
「 それを見つけた校長が、おまえに言ったんだよ。」
「 何を?」
「 “校長の話とカラスの鳴き声と、どちらが重要か言って見なさい”だ。
 そのとき、おまえは“カラス!”って言ったんだぞ。
 バカか、おまえは。」
「 アハハハ、それホントのことだけど・・・。」
「 あとで、おまえの名前を校長に聞かれたよ。」
「 まさか、言ったんじゃ・・・・?」
「 バカか、おまえは!
 言ったよ。」
「 そんなァ~。」
「 相手は、校長だぞ。
 それに言って悪いことは無いだろ。」
「 でも、名前を覚えられると、ろくなことが無いし・・・。」
「 それは、おまえが悪いことをするからだよ。
 悪いことをしなければ、問題ないだろ。
 ちょうど、いいじゃないか。
 これから、悪いことをしないって心掛けるようになるから・・・。」
「 悪いことなんてしてませんよォ~、いつも・・。」
「 ダメダメ、おまえの悪行は前の担任から聞いている。」
「 前の担任の先生の湯飲み茶碗に、カエルを入れたことですかァ?」
「 なにィ~、おまえ、そんなことしたのか?」
「 えっ、これじゃ、なかったのか・・・、ハハ。」
「 う~ん、ホント、ろくでもないことをしでかす・・・。」

“ このあと、俺は山下先生に続いて、校長からも散々油を絞られたなァ・・・。”

でも、このときのことは、山下先生は親に連絡しなかったから、ホント、ラッキーだったと俺は思っている。


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