大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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霧の狐道48

2008-04-30 19:26:23 | E,霧の狐道
 俺は、これ幸いと教室から逃げ出した。
そして、下靴を履いて校舎から外に出た。
 日が暮れてくると急に涼しい風が吹いて来る。
外は薄暗く、玄関先にあるイチョウの葉っぱが風に吹かれてパラパラ散っていた。
 グランドに出ても、誰も人はいなかった。
俺は、溝に転がっていたサッカーボールを拾い上げ、ゴールに蹴っ飛ばして時間を潰していた。
夕日の射すグランドに立っていると、再び、俺の頭の中で、何かがキ~ンと音をたて始めた。

“ あ、まただ・・・。”

音はどんどん大きくなり、体が揺れる感覚に襲われた。

“ 前は、しばらくしたら収まったな・・・。”

俺は、しゃがんで眼を瞑り、じっと音と揺れが収まるまで待った。

“ ・・・・・・・。”

少し時間をおいて、音と揺れは徐々に収まり、静まった。

“ ああ、やっぱり収まった・・・・、良かった。”

俺は音と揺れが収まったことにホッとして、眼を開けた。
 グランドの砂の粒々が妙に鮮明に見える。
眼を少し上げて校舎を見ると、校舎の手前に植えてあるサルビアの赤が眼に染み込んで来る。

“ ここから見える風景って、こんなのだったかなァ・・・。”

 俺は左右をキョロキョロ見た。
そして、遠くに眼をやると、太陽は山にほとんど沈み、西の空は夕焼けの終わりに近い、暗い赤に染まっていた。

“ 気分は悪くないが、何かちょっと変・・・。”

変と言っても、何がどう変なのかは分からない。

“ ま、いいか・・・。”


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