大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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霧の狐道46

2008-04-26 19:20:15 | E,霧の狐道
 校長が窓の方を向いている間に、俺はソッと校長室を脱出した。
今度何かが起こったら、それこそ致命的だ。
俺は廊下を歩きながら思った。

“ あのゆらゆらしたヤツ、何処に行ったんだろう?
 ソファの影に入って、その後は見失ったし・・・・。
 まだ、校長に何か悪さをしているかも知れないな・・・・。
  ま、それは、いいか・・・・・・・。
 掃除をサボったのを、家に連絡されないだけでもメッケモノだし・・・。”

もちろん、俺の頭には校長の話なんて一言も残っていない。
 俺は校長室から教室へ向かう途中、職員トイレの前を通過した。
職員トイレの前は、水溜りがまだ少し残っている。
でも、職員トイレの中は、もう、静かになっていた。

“ 片付いたみたい・・・。
 なかなか、スゴイ騒ぎだったけど・・・・。
  あれだけ大洪水が起これば、隅々まで汚い所も洗い流せるし、大掃
 除が出来たと思えば、それは、それで良かったとも思えるし・・・・。
 ま、良しと前向きに考えて・・・・・。”

俺は、職員トイレの中がちょっと気になったが、中を見るのは止めて置くことにした。
こんなところでマゴマゴしていて山下先生に見付かったら、また説教が初めから始まりそうだ。
 俺は職員トイレを後に、教室に急いだ。
由紀ちゃんとの約束に、大幅に遅れているからだ。

“ マズイなァ・・・。
 もう、一時間も経っているぞ。
 由紀ちゃん、怒ってるだろうなァ。”

このとき、職員トイレの前の水溜りを過ぎて、俺が歩いていた後ろの廊下には、小さな動物の濡れた足跡が点々と付いていたことに、俺は気が付いていなかった。
そして、その小さな濡れた足跡は、時間とともに乾いて消えて行った。




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