大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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霧の狐道40

2008-04-13 18:52:42 | E,霧の狐道
 校長室に入って、俺は校長に促されて応接ソファに座った。
フワフワして尻が落ち着かない。
 向かいの壁の上には歴代の校長の写真が掛けてある。
俺は歴代校長全員に睨まれているように感じた。
テーブルには、飲みかけのお茶が入った湯飲み茶碗が置いてあった。
 校長はテーブルを挟んで向かいに座った。
そして、校長はテーブルから茶碗を取って、お茶を一口飲んだ。
俯き加減に茶碗を取った拍子に、校長のバーコード頭が至近距離で見えた。
頭の真ん中は毛が無く、両側には毛がある。
左側の毛を伸ばしてバーコードのように頭の真ん中に被せてある。

“ どうして、頭から髪がパラッと落ちないんだろう。
 接着剤で付けてあるのかな・・・?
 いや、頭の油で貼り付いているんだろな・・・。”

 校長は、湯飲み茶碗をテーブルに置いて俺を見た。
そして、俺に質問した。

「 どうして、掃除をサボったのかな?」
「 体育館の通気口を見に行ったのです。」
「 どうして?」
「 ウサギが小屋から昨日逃げて、それで通気口に逃げ込んだんで、
 ニンジンを置いたら出てくるかと思ったから・・・。」
「 ウサギが昨日逃げたと言う話は聞いていないが・・・。」
「 それは、ウサギ小屋に、六匹全部いたからです。」
「 全部いたのに、どうして一匹逃げるんだ?」
「 そのときは、七匹いて、一匹を俺が逃がしてしまったんです。」
「 ウサギはもともと六匹だろ?」
「 いや、六匹だけど、七匹です。」
「 ・・・・?」



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