大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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日々の恐怖 8月15日 サイババ

2015-08-15 19:38:24 | B,日々の恐怖


  日々の恐怖 8月15日 サイババ


 たまにお金が落ちてきた。
小さい頃は姉と二人部屋だったけど、よく部屋に小銭が落ちていた。
それは、1円から10円くらい。

「 なんであんた達の部屋はよくお金が落ちてんの!大事にしなさい!」

とよく母ちゃんに怒られた。
 中学の時、個室でふんばってて気が付いたらトイレットペーパーの上に1円があった。
同じく中学、合宿中にシャワー浴びてたら、チャリーンと音がして10円が落ちてきた。
 その10円を拾って部活仲間に、

「 落ちてきた!」

と話したら、

「 バカか、おまえ。」

と言われた。
そのとき、またチャリーンと10円が降って来た。
周りには誰もいなかった。
怖かったから、この20円は公衆電話で使った。
 高校から一人部屋になったが、たまに思い出したようにお金が落ちてくるようになった。
バイト中、そのことをチーフに話してみたら、チーフが、

「 そんなの作り話じゃん!」

と笑った。
その瞬間、完璧なタイミングでチャリーンと棚の向こうに100円が落ちてきた。
無言でチーフと顔を見合わせたのを覚えている。
 以降、バイト先でも忘れたころに金が落ちてくるようになった。
休憩中、飲み終わったコップの中に1円が入っていることもあった。
この時もチーフが一緒だった。
 俺が、

「 自作自演じゃないですよ!」

と言うと、チーフは、

「 わかってるよ!」

と怒った。
怖かったらしい
 この頃は自分の部屋にいる時も、数か月に一回ぐらいの割合でお金が降ってきていた。
小銭は、たまにボロッボロのもあったたけど、昔のお金とかではなかった。
でもある日、制服をクリーニングに出したら、

「 ポケットに入ってましたよ。」

と百円札が返って来たことがあった。
 もちろん俺は入れてないし、百円札もこの時はじめて見た。
これは親戚の子が欲しがったからあげた。
 大学に受かり、引っ越すことになった。
部屋を片付け、勉強机も捨てようとして、机の上に敷かれていた世界地図をどかして驚いた。
下には、数枚のお札があった。
全部、旧札。
これには、驚いた。
 家族は誰もこんな話を信じないので、

「 銀行行ったら換えてくれるぞ!」

とまったく気にしてなかった。
 そのお金は両親に預けて、俺は東京へ一人暮らしとなった。
それから、お金が落ちてくることはなくなった。
 チーフは、俺が前世で金貸しをしていて、貸した人が今になって返しに来ているのではないかと推理していた。
チーフは俺と出会って以降、不思議な話に、いつの間にか詳しくなっていた。
俺が人生でもっとも影響を与えたのは、間違いなくチーフだと思う。
 何年も経ったが、もうお金は降ってこない。
しかし、貯まった分がドサッとくることを期待している。










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