日々の恐怖 8月19日 傘(2)
それで、4年前の11月でした。
その日は午後から天気が崩れてしまい大雨でした。
私のその日のスケジュールは、授業とバイトです。
授業を終えた頃に雨が降り出したので、持ってきた折りたたみ傘を使い移動します。
バイトもいつも通りにこなし、夜24時に仕事を終えました。
まだ雨は降っていました。
雨が激しかったため、持っていた折りたたみ傘では防ぎきれないと思い、バイト先で傘を借りることにしました。
バイト先の傘とは、急な雨の際にお客さんに貸す傘で、雀荘名と管理番号が書かれたテプラが貼ってあるものです。
大きめのビニール傘で、番号は1~10番まであります。
お客さんに貸す際に、誰にいつ貸したかを控えておくために番号がついています。
私は店長に了解を得て、7番の傘を借りて店をでました。
当然ですが、辺りは真っ暗でした。
さらに大雨ということもあり、寒かった記憶があります。
公園へと続く細い道へと入りました。
電灯が無いため細い道に入るとすぐに、それまでよりもさらに暗くなります。
こんな日だし遠回りでも車通りのある道で帰れば良かったと思いましたが、いつもの癖で公園まで来てしまいました。
ここまで来てしまったら、さすがに引き返すのは面倒なので、そのまま帰ろうと足を進めたのを覚えています。
公園内は階段で分けられていますので、ここでは仮に階段を上る前にある広場を1階とします。
1階には遊具の他にトイレと電灯とベンチがあります。
トイレにも電気があるため、入り口の細い道よりは少し明るく感じますが、それでも夜は暗く寂しい場所となっています。
普段から歩き慣れていますが、人とすれ違ったことは数えるほどしかありません。
さらには雨ですので、人がいるなんて全く考えていませんでした。
でも、赤い服を着た女性がベンチに座っていました。
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