大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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日々の恐怖 8月26日 古い旅館(2)

2015-08-26 19:25:04 | B,日々の恐怖



   日々の恐怖 8月26日 古い旅館(2)



 Bが、

「 喉渇いたから、ジュース買うわ。」

と言って販売機の方に一人で行きました。
 ジュースを取る瞬間、Bが、

「 わ”っ・・!」

みたいな声を出して尻餅をついてたので、Aと俺はBの方へ行きました。
 販売機の隣にびしょ濡れの父、母、6歳ぐらいの女の子3人(家族?)が

「 いらっしゃいませ~。」

と不気味な笑みを浮かべながら言ってきたのです。
 なので俺はとっさに、

「 あ・・の・・・、お体拭いたほうがいいんじゃないですか?」

と言いました。
ですが、沈黙・・。
 そこで変な間が空いてしまったのですが、もう相手してられないと思ったらしいAが、俺とBの手を無理矢理引っ張って部屋へ向かいました。
 部屋は普通に古い旅館という感じで、時間も遅いので交代に風呂に入ってすぐに寝ました。
寝てる間、Aのいびきがすごくて俺だけ起きてたんですが、いびきじゃない変な声が聞こえてきました。
それで耳を澄ますと、男性のうめき声のような声です。

「 う・・・うう・・・・うおぉお・・・。」

俺は、気味が悪いので布団に潜ってビビッていました。
 それでも、

“ 寝たふりをしてても、起きてること気づいてるんやろなぁ・・。”

とも思っていました。
 するとAが小さい声で、

A「 きこえるやんな?」
俺「 うん。」
A「 やばいな、どうする?」

 時計を見れば3時過ぎです。
警察か誰かに助けを求めようとして携帯を見れば圏外でした。
 Aは震えながら目をぎょろぎょろさせて怯えてました。
俺は聞きたくなかったけれど、小さい声で聞いてしまいました。

俺「 どうなん?」
A「 お風呂の入り口、見て・・・。」

黒い影が何かをぶつぶつ言いながら少しずつ少しずつ近づいて来ます。

俺「 あれ、なんなん?」
A「 ヤバいヤツちゃう?
  もう無理、どうしたらええん?」
俺「 帰ろ!
  Bを叩き起こして、そのままダッシュで車な!」

それで、Bの布団をバッとまくり、

「 B!!このままダッシュまで車や!起きろっ!」

急いで部屋を飛び出てロビーに着くとカウンターのおじさんが、こちらを真顔で目で追ってました。
 旅館を出ようとした瞬間、ドアの前でびしょ濡れの家族3人が急に左から出てきて、

「 あ・・、ありがとうございましたぁぁぁぁぁあ!!!!」

と狂ったような声で叫んでいました。
 車まで急いで走り、エンジンを掛けようとしたら、ホントにお約束のようにエンジンが掛からないのです。
 なかなかエンジンが掛からなくて、

「 もうアカン、死んでまう。」

と思いました。

A「 俺たち、死ぬんかなぁ・・?」
B「 なんか黒い影みたいなん、そこ近づいてきてない・・・・?」

だんだん俺は、

“ なんでこんなとこで死ななあかんねん!なんで俺が死ななあかんねん!”

と思いつつ、

俺「 くそッ、腹立つわ!なんやねん!!」

と言った瞬間、一瞬シーンとなり、何故か普通にエンジンが掛かりました。
 それでダッシュで真っ暗の道を抜け、○○旅館という看板を通過したとき、あのびしょ濡れの家族3人が道路脇で見送ってくれました。

「 ありがとうございましたぁぁぁぁぁあ!」

恐怖で、もう声も出ず、アクセル踏んでダッシュで脱出しました。
 その後は、何処にも寄らず、一目散に帰りました。
帰った後、3人とも普通の生活に戻り、普通に過ごしています。
 不思議なことに、何故か旅館名は3人ともハッキリした記憶がありません。
それも、3人とも主張する旅館名の○○が違っていて、そのそれぞれを千葉県内で調べても該当する旅館は分かりませんでした。
あの旅館から宿泊の請求書が届いたら旅館名が分かるかとも思いますが、ホントに来たら怖いので考えないようにしています。








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