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日々の恐怖 8月29日 ヨタヨタ

2015-08-29 18:05:05 | B,日々の恐怖



   日々の恐怖 8月29日 ヨタヨタ



 あまり怖くもないし、もしかしたら不思議でもないかもしれませんが、先日体験した話をします。
 免許を取って数年になりますが、普段ほとんど車を運転しないこともあり、未だに運転に慣れません。
 たまにやむを得ず車を運転する時は、法定速度をほぼ守ってヨタヨタ走っています。
後ろに大名行列を作ることはザラですし、原付に追い越されることもしばしばです。
はっきり言って迷惑なドライバーだと思います。
 先日、お仕事の都合で仕方なく車を使いました。
何とか仕事を終え、後は帰るだけ。
もう夜中近くなっていましたし、疲れてちょっと眠かったこともあるので、いつにも増して安全運転で帰路につきました。
 田んぼや林、小さな山などが続く田舎の県道です。
交通量もほとんどありませんでした。
 しばらく走っていると、前方にジョギングしている人がいることに気づきました。

“ こんな夜中に頑張るなあ・・・。”

と思いながら、少し右に寄って追い越しました。
 ところが、確認のためサイドミラーを見ると、追い越したと思ったジョギングの人(多分中年男性)が、私の車のすぐ後ろを走っています。

“ あら・・!?”

と思って振り返ったら、男性はみるみる車に追いついて、助手席のすぐ外を併走し始め、私に向かってニヤっと笑いました。

“ あんた、随分ゆっくりだね。よっぽど運転下手なんだね。”

そんな感じの笑いに思えたので、

“ ああ、私はついに原付どころかジョギングの人にも追いつかれたのか・・・。”

と思って、愛想笑いを返しつつお辞儀しました。
 その後、何度か外を見ましたが、そのたびにおじさんが私を見てニヤっとしてきました。

“ 随分頑張るおじさんだなあ、すごいなあ・・・。”

と思いつつも、蔑むような笑いにちょっとムッとしたこともあり、あとは無視して運転に集中しました。
 市街地に入り、信号待ちの時にチラッと横を見ると、おじさんはいなくなっていました。
家についた後、父にこの話をしました。

「 失礼な話だよね。」

と何気なく言ったつもりだったんですが、父の顔色が変わります。

「 確かにお前の運転はノロいが、さすがにジョギングでずっと併走は無理だろ。」

言われてみれば、たしかにその通りです。
 おそらく40キロくらい、いくら私でも20キロは出していたでしょう。
ちゃんとスピードメーターを見ていないあたりがダメなんでしょうが・・。
おじさんは、少なくとも5分以上は併走していたと思います。
 私がボヤッとしていてずっとノロノロ徐行していたとか、おじさんがマラソン選手級のスピードと持久力を持っていた、という可能性もゼロではないのですが・・・。
今になって不気味だなと思いました。









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