新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

バルセロナ建築巡礼③ カサミラの屋上でサグラダファミリアを眺め、細くとがった三日月を見つけた

2020-01-21 | バルセロナ

 まだカサミラの屋上を散歩している。建物の天辺は、自然の下辺と混じりあう場所。その接点であることを強く認識させるような空間を、ガウディは意図的に構成しているように思える。

 そして、その接点のスペースで造形の喜びをあふれんばかりに表現しているのが、ガウディの建築だと感じてしまう。

 喜んで写真を撮りまくっているうちに、私の影が兵士たちの造形の足元に溶け合ってしまった。

 それにしてもバルセロナの青空は、本当に青い。

 陽が傾いて少しずつ夜が忍び寄ってくる。

 遠近法の学習のように造形が手前に、奥に、入り乱れる。

 小さく開けられたアーチの向こうに、サグラダファミリアの姿がすっぽりはまった。

 見事にアーチ越しに見えるサグラダファミリア。これもガウディが仕掛けたたくらみの1つだろうか。

 こんな角度で見ると、妊婦さんのよう。

 兵士たちの列をシルエットにして、太陽は空をオレンジに焦がす。

 もう夕日は沈んだ。とんがった頭の連続は山並みにも見える。

 上空に細い三日月が浮かんでいた。

 さあ、もう夕食の時間だ。そろそろ街に戻ろう。

 

 

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

バルセロナ建築巡礼② カサミラの屋上は唯一無二のワンダーランド

2020-01-17 | バルセロナ

建物最上階の部屋に着いた。放物線アーチの回廊が出迎えてくれる。

こうしたアーチ型の回廊は、グエル公園の通路でも見かけたし、今回入ることは出来なかったがサンタテレサ学院にもある。通過しながら、一種異空間に侵入するかのような気持ちにさせられた。

 この部屋にはカサミラの模型が展示されていた。

 同じものでも材質が違うと別の建物のようにも見えてくる。

 また、ガウディデザインの椅子も展示されていた。

 窓から屋上が見える。さあ、屋上へ!

 屋上はまさに別世界。まるで武装した兵士たちが勢ぞろいしているような、煙突や換気口が立ち並ぶ。次の戦いに備えて英気を養う戦団のようだ。

 セメント、砂、砕いた陶器、磨いていない石などによって造られたものだ。

 大きめの造形に近づいてみると、威圧感さえ感じる。

 ニョキッとカーブする形も独特だ。そしてバルセロナの強烈な陽光にとても似合っている。

 さあ戦場へ!と意気込む軍団のように見えてくる。

 後方にはバルセロナの丘が見渡せる。ただ、床面も凸凹しているので、足元に注意が必要だ。私も2度つまずきそうになった。

 3人の兵士。何とユニークなんだろう。

 最初に見上げた中庭への楕円形空間を見下ろす。このように2つの中庭に通じるぽっかり空いた2つの穴の周囲に、起伏に富んだ立体通路が張り巡らされているのが屋上というわけだ。見下ろすとちょっと怖い。

 後方に立っているのは、軍団の大将?

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

バルセロナ建築巡礼① グラシア通りでカサミラに入館。「直線なんて自然界には存在しない!」

2020-01-13 | バルセロナ

バルセロナ。スペイン第2の都市で、カタルーニャ州の州都。強い民族意識を持ち続け、何度もスペインからの独立の叫びをあげて中央政府との対立が絶えない、600万人の大都市だ。

 ただ、今回はそうした政治的側面はひとまず置いておき、文化的芸術的なバルセロナを歩いてみた。まずは建築巡礼。街歩きの中で著名な建築を訪ねるなら、グラシア通りが一番だ。北側の交差点で目に飛び込んでくるのがカサミラだ。

 カサミラが完成したのは1910年のこと。アントニ・ガウディ作の新しい建築を見て、街の人達は驚きの声を上げた。それより4年前に完成していたカサバトリョが、パステルカラーに彩られた優しさを伴うものだったのに、新しいビルは褐色に覆われ、その形は嵐の海辺に押し寄せる怒涛の波を連想させる荒々しさに満ちていたからだ。

 人々はこの建築にラ・ペドレラ(石切り場)という、潤いのかけらもない呼称をつけた。それほど意外性に満ちたものだった。

 ガウディは「直線?そんなものは自然界には存在しない」という哲学を持っていた。その自然に調和する建物、自然と調和する街づくりのためには、こうした無限にくねり続ける形態が必然だったのかも知れない。

 ファザードの壁面は、彫刻家カルロス・マニが石膏模型を作り、これを石工たちが現場で実践した。壁面は各階ごとに前後に波打って突き出し、へこむ。

 そして鍛鉄製の手すりが、岩肌に絡む海藻のようにからみつく。この手摺りは、ガウディの仕事に深くかかわった建築助手ジュジョールによるものだ。

 中庭への入口は、鉄製の門扉になっている。まるで珊瑚を思わせる形だ。

 入って見上げれば、青い空が目に染みる。

 2,3階からも鉄の手摺りを間近に見ることが出来る。これはくず鉄をリサイクルして造られたものだそうだ。

 天井にもうねるような形が刻まれている。ここにもあるのは曲線だけ。

 自らが水中に漂っていて、見上げた水面に描かれた波紋を見つけたような気持ちにさせられた。

 現在でもここに住んでいる住民がおり(世界遺産に住んでいる人がいるんだ!)、出入り禁止のエリアがあるが、一部見ることの出来る部屋もあった。

 20世紀初頭のブルジョアの住まいを再現したという。

 確かに古き良き時代の雰囲気も感じられるが、やっぱりおしゃれ。

 なぜか、クリムトの「接吻」の絵が飾ってあった。

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする