新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

階段紀行・日本 東京編⑦ 旧岩崎邸には我が国の西洋建築をリードしたジョサイア・コンドルの階段が。

2021-05-04 | 階段紀行・日本

 上野公園の側、不忍池裏手にしゃれた洋館が建っている。旧岩崎邸。三菱財閥の岩崎家本邸として1896年に完成した。

 設計はジョサイア・コンドル。我が国に西洋建築を導入した先駆者で、御茶ノ水にあるニコライ堂や千代田区の三菱一号館、さらに初代の東京国立博物館も彼の手になるものだ。

 そこの階段にはしっかりと赤じゅうたんが敷かれて、いかにも財閥の屋敷、といった雰囲気が漂う。

 手すりの一本一本の支柱にもしっかりと装飾が施されているのがよくわかる。政財界の重要人物を迎えるのにも恥ずかしくない丁寧な造りが特徴だ。

 一方、プライベートな部屋への階段と思われるものもあった。これも使い込まれた年輪を感じさせるものだった。

 2階に上がって、中庭や遠景を眺める展望テラスは、ベランダの柵にイスラム風のデザインがなされて、とても洒脱なスペースになっていた。

 上野公園の噴水広場横にある国立科学博物館は、堂々たる新古典主義の建築。1931年の完成。

 正面玄関前にはゆったりとした空間が設けられている。

 その空間に、地下へ通じる半円形の階段が存在する。

 緩いカーブで、一段一段の段差がとても少ない。着物姿の女性でも楽に歩けるような勾配で下降しており、建物のいかめしさとは対照的な優しさが感じさられる。

 館の左側にはシロナガスクジラの実物大模型、右側にはSLと巨大な構造物に囲まれているだけに、一層ほっとさせる階段となっている。

 

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