ヴィットリオエマヌエーレ2世記念堂脇に非常に幅広く大きな階段がある。初めてこの階段の前を通った時ちょうど真ん前を馬車が歩いていて、まるで古代ローマの1シーンを見ているような歴史的な雰囲気を味わった場所だ。
古代にユノ神殿があったとされるマルクスの丘に建つS・N・アラチェリ教会に通じる大階段だ。
122段を数える雄大な階段だけに、その姿から「天国の階段」とも呼ばれている。
階段自体は14世紀流行したペストの終焉に感謝して奉納されたものだという。
アラチェリ教会には17世紀、支倉常長一行が遣欧使節としてローマを訪れた際、ここに宿泊した場所で、日本とも意外なゆかりのある教会でもある。
奇跡を起こすといわれて信仰の対象になっている「聖幼子」が祀られている。アラチェリとは「神の子の祭壇」を表す言葉だという。
アラチェリ教会の隣りにはカンピドリオ広場がある。この広場にも長い階段を上がって行く。
ただ、ここは私たちが考える階段とは一風変わっていて、1段の平面が3mもあり、段の高さは数cmほどの低い高さ。
その理由は建造年代と深くかかわってくる。完成はルネサンス時代。当時の将軍たちは騎馬で移動しており、馬に乗ったまま階段を楽に昇れるようにと、高さを制限して設計された。「コルドナータ(低い段のついた傾斜)」と呼ばれる。そんな形状なので、小さな段のついたスロープとでも呼んだ方がぴったりする。
そういえば階段の先にはギリシャ神話上の双子の英雄カルトレとボルックスが馬を従えて立っている。
その奥にあるカンピドリオ広場には、ミケランジェロの構想による幾何学模様を持つ美しい広場になっている。