陽光煌く地中海へ!憧れと共にコートダジュールに向かったのは、もう10年も前の冬12月だった。だが、この旅はその初日、いや前日から予想外のアクシデントが待っていた。
コートダジュールの中心地ニースへは、イタリア北部の街トリノから出発した。
トリノは1861年のイタリア統一の原動力になった場所。王宮や大聖堂訪問、カフェ巡りなどを楽しみ、たっぷりの喜びを胸に詰め込んだ。
中でも、雄大なアルプス山脈の景観は忘れられない光景だった。
そして、次の目的地ニースへ。トリノ駅で切符を買い、電車に乗り込んだ。
だが、この移動が意外な事態に遭遇することになる。
まだイタリア国内のクーネオ駅に差し掛かった時、電車が突然ストップしてしまった。「イタリアからフランスに抜ける線路が雪崩によって埋まってしまった」との車内アナウンスが。
1時間たっても2時間たっても、一向に動く気配がない。係員にはいくら問い合わせても「わからない」のままだ。このままでは列車内で夜を明かすことになるのか・・・。
そんな時「トリノへ引き返す電車が一本だけ運行する」との情報が流れた。「じゃあ」と、とりあえずトリノに戻ることにした。
だが、翌日この路線が1日で復旧するかどうかも不明。思い起こせばこの路線はあのアルプス山脈の山越えをしてフランスに向かうもの。復旧の可能性はあまり期待できない。
それなら「山越えよりも海沿いを走る路線の方が間違いないのでは」と判断し、方向を換えて港町ジェノヴァに移動することにした。
ジェノヴァに着いたのはもう夜。土砂降りの雨は降っていたが雪ではない。駅前のホテルにチェックインをして、予約していたニースのホテルには1日遅れるとの連絡を入れてようやくこの長い1日を終えた。果たして、明日はフランスに入れるのだろうか?