上野公園へは京成上野駅側から入ろう。
京成上野駅出口横に鳥の像を伴った碑が立っているのを見つけた。よく見るとこれは「川柳発祥の地」という記念碑だった
川柳は17音で表現する句の一種。1765年に「誹風柳多留」という川柳の雑誌が、この付近にあった「柳多留」の版元から発刊され、その後全国に広まったのだという。
像の金色の鳥は何だろうと思ったら、そばに添えてあった句で判明した。
「羽のある いいわけほどは あひる飛ぶ」
この句は「柳多留」の編者呉陵軒可有の作だという。
階段を上って公園内に入るとすぐ、太田蜀山人(南畝)の狂歌が刻まれた碑を見つけた。狂歌は31文字の作品で、和歌から派生したもの。
碑の一首は「一めんの 花は基盤の上野山 黒門前に かかるしら雲」
上野の山は江戸時代から桜の名所だったことがうかがわれる。碑は年月が経って字が読みにくくなっているが、蜀山人に直筆をここに刻み込んだものという。
ここで、「黒門って何?」と疑問がわいた。調べてみると江戸期は上野の山のほぼ全体が寛永寺という寺の敷地だった。その入口に建てられた黒い門のこと。上野戦争によって一部破壊されてしまった。
しばらくはここに残されていたが、今は別の場所に移転している。
その黒門の記録を残そうと、近年造られたのが、この滝。
夕方になると、色付きの照明が投射される。
ちょっと異色の空間に変身する。
正面の大階段はなかなかの貫禄。幅も高さも十分な風格さえ感じる。この石段付近は江戸時代崖のようになっていて、袴の後ろ姿に似ているとして「袴腰」と呼ばれていた。
階段横にあるのは、昔街灯が灯されていた柱。なぜかこれだけが残されている。
階段を上り切ったところで、西郷さんの姿が見えてくる。