現在東博の総所蔵作品数は約12万件、うち国宝89件、重要文化財でも648件という、国内でも質量ともにトップの作品数を誇っている。
あまりにも多いのでまずは目についたものを時代順にさらりと見て行こう。
「火焔型土器」紀元前3000~2000年 縄文中期の作品。
土器ではあるが、その力強さ、豪快さの上に装飾性も伴っていて、縄文人のセンスまで感じられる逸品だ。
「みみずく(土偶)」紀元前2000~1000年、縄文後期。
まるで現在の人形としてもおかしくないほどのユーモラスでかわいい土偶。耳に張り付けた円板は大きめのピアスみたいだ。
「銅鐸」1~3世紀 弥生時代。
弥生時代を特徴付ける日本特有の青銅器。祭りの鉦として生まれたが。次第に装飾性の強いものになっていった。
「埴輪・正装女子」6世紀、古墳時代。
有力者の墓に添えられる副葬物だが、華やかに着飾った姿。全身が表現されていてとっても愛らしくほほえましく感じてしまう。
「扇面法華経冊子」 12世紀 平安時代。
ぐっと時代は過ぎて平安時代になると、非常に繊細な作品が登場する。模様の入った扇型の紙面に貴族や庶民の暮らしの様子が描かれ、さらに法華経の経文が書かれている。貴族の美意識に高さがうかがわれる国宝だ。
「源頼朝坐像」13~14世紀 鎌倉時代。
いわずと知れた鎌倉幕府の初代将軍である源頼朝の像。鎌倉・鶴岡八幡宮に伝来されていたものという。この大胆な足の組み方がすごいなあ。
「松林図屏風」 16世紀 安土桃山時代。
今回の最後は、近世水墨画の傑作として国宝指定された長谷川等伯の作品。遠くからだと一見して全体がぼんやりした感じに見えるが、近づくと荒々しいとさえ思える力強い筆致に驚く。一瞬の永遠という言葉が浮かんでくる。